慣行栽培?オーガニック?自然農?
このnoteをご覧頂きありがとうございます。
前回の記事では、4つの課題を解決するために製造・販売している
バイオスティミュラント(BS)の説明と弊社資材の紹介について述べさせて頂きました。
今回は農業をする上で耳にしたことのある様々な〇〇農法などの分類と
目的ごとに適した農法について述べていきたいと思います。
【慣行栽培と特別栽培と有機栽培】
農業従事者だけでなく、野菜を購入する一般の方も慣行栽培や有機栽培は聞いたことがあると思います。
一般的に慣行栽培は、化成肥料や農薬を基準内であれば使用しても大丈夫で、農協さんの指導などは当たり前といって良いくらいこの栽培方法です。
一方、有機栽培は「オーガニック」と呼ばれるもので、化成肥料や化学的な農薬の使用を禁じており、自然由来のもので栽培される方法です。
個人的にはたかだか100年ほど前に化学肥料が使われ出したに過ぎない栽培方法なので、慣行栽培=化学肥料や農薬での栽培方法というのは腑に落ちませんが…。
実際、記録として残っているものでは
古くは、西暦350年くらいにアリストテレスが「植物体栄養源説」を唱え、植物は植物自体が養分になると記したり、
新しいところでは、西暦1861年にはルイ・パスツールが「有機物溶液の変化と微生物の増殖には因果関係がある」とし、腐植や発酵には微生物が関係していると説いたり、
1913年にハーバーボッシュ法という空気中の窒素を固定するという現代の化学肥料の基盤ができるまで、基本的には有機栽培が当たり前でした。
つまり、慣行栽培=有機栽培という考え方だったんです。
なので、今の慣行栽培=化成肥料や農薬というのは何とも言えないなぁと。
さて、個人の考えや歴史云々の話は置いておいて、
現代では慣行栽培=化成肥料や農薬での栽培と認識されているので、
その分類で表していきたいと思います。
慣行栽培と有機栽培の違いについては上記で述べましたので、
「特別栽培」について説明します。
「特別栽培」のことは「特栽(とくさい)」と表記されたりすることもあります。
これはどういうものかというと、慣行栽培で設けられた化成肥料や農薬の使用回数がざっくり半分以下で栽培された方法のことを呼びます。
基本的に慣行栽培は地域ごとに使用回数の基準が異なっており、
その基準の半分以下の使用でかつ使用資材と回数を明記することとなっています。
つまり、
慣行栽培>特別栽培>有機栽培
100> 50 >0
というイメージで認識して頂ければ良いかと。
前回のこの記事でも述べましたが、
有機栽培での農薬というものは、バイオスティミュラント資材の側面が非常に強いため、有機栽培の数値を0で示しました。
また、有機栽培と似た言葉で有機的栽培というものあったりします。
有機栽培は国際基準である有機JASの認証を受けた栽培方法で、
有機的栽培は化学肥料や化学農薬の使用はしない栽培方法だけど、有機JASの認証は受けてない方です。
生産者の方が使っていません!というものをそのまま信じるしかないので、信憑性が定かではないというデメリットがあります。
有機JASの認証には費用がかかりますし、生産工程の資料が非常に手間なので、認証を受けていない有機的栽培農家も結構いらっしゃいます。
そして、この慣行栽培、特別栽培、有機栽培、有機的栽培以外に
ここ10年ほどで流行り出したのが、自然栽培や自然農法、自然農、協生農法と呼ばれる農法やBLOF理論などのより具体的な理論に落とし込んだ手法など、様々なものがあります。
では、それぞれの農法の違いとその目的を簡単に説明したいと思います。
【〇〇農法や▲▲理論】
様々な栽培方法を調べてみても、はっきりと定義で分類されているわけではなく、提唱者が勝手に名前を付けている場合が多いのかなと感じます。
その中でも調べた上でこんな感じなのかなというものをフローチャートでまとめてみました。
あくまでも有機JASというものは国際基準に従って法律で定められている認証制度になるため、自然栽培でも自然農法でも自然農、協生栽培でも全て有機JASの認証を受けることは可能です。
個人的な印象では、自然栽培より右側の方法は家庭菜園やコミュニティでの菜園で可能な方法であり、営農という観点からは非常に厳しいものなのかなと思います。
また、BLOF理論や弊社の【生態系理論】などはどの農法においても活用することできるもので、理論を踏まえた上でどういった栽培をするかという違いがあるのかなと。
このように様々な栽培方法がありますが、気を付けなければいけないポイントがあります。
それは栽培する土壌やその環境がこれまでどのような使われ方をしているかで、やりたい栽培方法を実践できないかもしれないということです。
化成肥料や農薬などで荒廃している土壌でいきなり有機的栽培や自然栽培などを実践しようとしてもほぼ間違いなく失敗するでしょう。
耕作放棄地として数年放置された土壌であれば場合によっては可能かもしれませんが。
結局のところ農法がどうであれ、自然の循環や生態系を認識した上で農業に落とし込んで実践することが非常に重要なことだと思います。
【目的は営農かコミュニティか】
「農業を始めたい、学びたい」
「栽培がうまくいってない」
「売り方がわからない」
「コミュニティに農業を組み込みたい」
このような相談を頂くことがよくあります。
そのため、【農業のはじめかた】という資料を用いて説明をしております。
どのご相談に対しても一番初めに伺うのが、見出しの文言で
「目的は営農かコミュニティか」
です。
どんな農法であっても、結局は農業を行う目的次第で適した方法が変わるのかなと思っています。
めちゃくちゃ広大な面積や小さい農地が飛び地でいっぱいある場合など、
管理が大変だったり、近隣生産者さんとの関係の問題もあるため、
フローチャートの有機的栽培より右側に位置する栽培方法を実践するには向かない場合もあります。
個人的な考えですが、
日本における農業というものは「作って売る」
これが基本になっています。
農家さんは栽培するのが仕事で、流通や販売をするのは農協さん。
最終的に食べてくれる消費者さんのことを意識せずに作ることが非常に多いのが今までの農家さんのやり方になります。
1946年に農協法やJAS法が制定され、栽培方法や栽培品目、規格などが決められることで、戦後復興がスムーズにいきました。
それにより、農家さんは作ることのみが仕事として確立してしまう流れになったのかなと。
それが良い、悪いということは全くなく、何かしら農業に関わりたい、仕事にしたいという方が何を目的にするかで方法が違うということを強くお伝えしておきます。
私自身、「コミュニティとしての農業」という形が今後の社会において非常に有用なものではないかと思っています。
弊社が運営するオーガニック農園もそうですが、これまでの活動で
某大企業さんの障がい者就労の場と再雇用の場としての農園
空き団地のリノベーションに伴うコミュニティ農園
とあるクリニックさんの周辺で遊べる農園
都心部において農に触れる体験ができるオーガニック農園
など様々なコミュニティ農園の構築のお手伝いをしてきました。
農業を稼ぐツールではなく、コミュニケーションをとるためのツールとして活用し、収穫物をシェアすることで楽しむことを目的とする方法です。
このようなコミュニティとしての農業であれば、規格や栽培方法などに縛られることはなく、虫が食べたり、曲がっていたり、傷がついたものでも食べて楽しむことが可能になります。
資金的に大規模な機械やハウスなどの設備を用意することが難しいため、作れるものを作る、採れるものを食べるという限られた栽培になってしましますが、そんな形の農業も自然なのかなと思います。
〇〇農法でなければダメだ
農薬や化成肥料はダメだ
あれは安全じゃない
このやり方が正しいんだ
このような考え方ではなく、場合によってはこれもアリ、あれもアリというような柔軟な受け入れ方で農業に関わっていけると、無理なく続くのかなと。
農業の可能性は幅広いので、楽しむことが一番です。
自然とともに生きる農業を。
ざっくりとしたお話になりましたが、ここまでお読み頂きありがとうございます。
次回は、弊社がmissionで掲げる「農と食の社会課題MAP」について説明したいと思います。