野菜の栽培はココを押さえれば大丈夫!
このnoteをご覧頂きありがとうございます。
前回の記事では、農業塾にてお話している【種のこと】について述べさせて頂きました。
今回はこれまた農業塾にてお話している「野菜の分類と栽培するためのポイント」について述べさせて頂きます。
【野菜の分類と〇〇科の相性】
現在、私たちが一般的に食卓で食べることのある野菜には
様々な分類があり、それぞれに相性が存在します。
まず、大きく分けると野菜は人間が食べる可食部によって葉茎菜類、根菜類、果菜類の3つに分類されます。
葉や茎、花(蕾)の部分を食す葉茎類
根や根茎の部分を食す根菜類
果実や種子の部分を食す果菜類
これはあくまで人間が食す部位で分類しているため、
意外と葉茎類の花芽部分や根菜の葉や花の部分も美味しかったり、
穀物類の新芽が栄養分多くて健康食品に使われていたり、
野菜の生長過程を知っていると食べるポイントも変わってきます。
スーパーに並んでいる野菜が野菜の全てではないというとこが農業の面白いところでもあります。
その中でも一般的に日々見かけることのある野菜の科は大体10種類ほどあり、
アブラナ科、イネ科、ウリ科、キク科、シソ科、セリ科、ナス科、バラ科、ユリ科、マメ科などです。
よく見かけるけど、種類の少ない科目も述べるとアオイ科、サトイモ科、ショウガ科、ヒユ科、ヒルガオ科、ヤマノイモ科などもいます。
一方、学術的にはAPG植物分類体系という分類では、200前後の科で分類されています。
植物学的な分類は科目の分け方が違うものも多く、確定しているわけではありません。
【植物同士の相性:コンパニオンプランツ】
野菜がどう分類されているのか、どんな名前で一般的にどんな野菜がいるのかは認識頂けたかと思いますが、
この科目別の野菜たちは植物同士の相性というものが存在します。
「コンパニオンプランツ」という言葉を耳にされたことがあるかもしれませんが、これは野菜の相性を考慮して良い相性を組み合わせて栽培する技術です。
このコンパニオンプランツとは、アレロパシーという植物や微生物が放出する化学物質により、他の生物に何らかの作用を与える現象を活用しており、良い影響、悪い影響のどちらの場合もあり、複数のアレロパシーが合わさることで効果を発揮するものもあります。
アレロパシーも影響を与える側と影響を受ける側によって種類があり、
植物が化学物質を放出し、植物が影響を受ける「コリン」
植物が化学物質を放出し、微生物が影響を受ける「フィトンチッド」
微生物が化学物質を放出し、植物が影響を受ける「マラスミン」
微生物が化学物質を放出し、微生物が影響を受ける「抗生物質」
わざわざ名称を覚える必要は全くないですが、植物もしくは微生物によって別の植物もしくは微生物に作用が起こり、環境が変化するくらいの認識をして頂ければと思います。
科目ごとに相性があり、それによって連作障害や生育不良が起こる可能性が高くなるため、一緒に植えると良いもの、ダメなもの、前作で栽培していたら次作はやめた方が良いものなど参考になるかもしれません。
【分類による栽培ポイント】
様々な野菜同士の相性を見て頂きましたが、最後に生態学理論における栽培のポイントを紹介したいと思います。
栽培のポイントはあくまでも野菜を効率的かつ収量を増やすために、どの時期にどんなことを意識していれば良いかということになります。
基本的な水の管理や気候による播種のタイミングなどは別ですのでご留意ください。
上記のタイプ別栽培ポイントの違いを見比べるとおわかりかもしれませんが、
基本的に大事なところは実はほとんど同じなんです。
それぞれのポイントの理由と方法の簡単な説明は以下のとおり
根が張りやすい土作り
土壌消毒や除草剤、化成肥料の多用などで土壌が荒廃している
団粒構造を構築するために微生物と有機物をしっかりと投入し、
排水性、保水性をともに向上させた土壌を作る
肥料は入れすぎると虫が湧く
有機肥料を含め、窒素成分を初期から直接的に投入してしまうと
アンモニア態窒素、硝酸態窒素へと変容し、害虫や病気の発生原因となる
肥料成分は有機物や光合成で充分
発芽しないことには始まらない
発芽させないとそもそも何も作れないため、発芽が最重要
発芽は自然条件に左右されやすいが、葉面散布剤を播種後散布したり、
種を液肥に漬け込むことで発芽を促進することは可能
ミネラルがあれば元気になる
酸性雨や土壌消毒などでミネラルが消失している
ミネラル補給で、生り疲れの軽減、花芽数の増加、サイズUP、分結促進、
食味向上、連作障害の軽減、耐病性UP、裏作の解消など様々なことが起こる
葉面散布は定期的に
十数年ほど前なら意識する必要はなかったもの
高温や雨天、曇天続きなど天候不順が続くことが増えたため、
葉面散布による光合成促進がほぼ必須というくらい重要に
収穫ひと月前の葉面散布が重要
野菜の可食部によって異なるが、基本的には収穫前の葉面散布による
養分補給を実施することでサイズや食味の向上に繋がる
特に芋類や穀物類、マメ類など可食部が太るタイミングが収穫ひと月前
収穫後の葉面散布や残渣鋤き込みが次につながる
収穫後の残渣を焼いたり、片づけて持ち出す人が多いが、
土壌の養分を吸い上げて生まれた有機物のため、基本的には鋤き込む
多年生のものは、御礼肥を土壌に散布するより
葉の黄化前に葉面散布により根へ養分転流することが重要
【植物の生態をしっかりと知ることが大事】
栽培のポイントと理由は何となくでもご理解頂けたかと思います。
しかし、今まで当たり前と思って栽培していた方法が染みついていると、
なかなか実践したり、慣行栽培から切り替えることが難しいのが現状です。
生産者さんから
「〇〇を作っていて、▲▲という状態(病気や生育不良)なんだけど、何をしたら良い!?」
という質問をよく受けます。
何度か生態系理論についてお伝えしていたとしても、皆さんこのような感じです。
何故そのような質問になるかというと、対処療法での栽培が染みついているからなんです。
生態系理論における栽培やバイオスティミュラント資材を使いこなせるかどうかは、対処療法ではなく、根本から整える原因療法での栽培を意識する必要があります。
そのためには、植物がどういった生育過程と一言で語るのは簡単ですが、実際のところ、
収穫する可食部はどこでどういったタイミングで肥大するのか
種を残すタイミングはいつなのか
そもそも土壌は整っているのか
多年生のモノは次期の養分を補給できているのか
播種するタイミングは間違ってないか
日長時間は足りているのか
養分転流する温度帯はどうなのか
などなど、全く書き切れないですが、植物の生態を知ること。
これが何よりも大事なんです。
植物のみならず、動物も微生物も一緒に生きているのが生態系です。
ざっくりでもそれを頭に入れておくと栽培が凄く楽になるかもしれません。
ここまでお読み頂きありがとうございます。
次回は、弊社のバイオスティミュラント資材のもととなる「植物が持つチカラとその効能」について説明したいと思います。