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【読書】史上最強の哲学入門

2021/01/17

「史上最強の男を観たいか?!」
「おおおおおおお!!!」

そんな書き出しから始まる本書、分かり易くて楽しいまさに最強の哲学入門だった。

この本を読もうと思ったきっかけは、研究室の先生とのお話だった。
学会で発表する内容の打ち合わせをしていた(というかお叱りを受けていた)時に、「そもそも科学とは~」という話をされた。
自然科学の始まりは哲学だと講義で習ったと私が言うと、「いや、そもそも哲学は~~」という話になった。
そしてこの本を貸してくれた。


この本の中で興味を引かれたポイントは3つある。
細かく言えばもう少しあるけれど、とりあえず3つ紹介したい。

1つ目は、「巡り巡って」という考え方だ。
本書によれば、西洋の哲学は直線なのに対し東洋の哲学はらせんらしい。
哲学に限らず、「情けは人の為ならず」といったような他人にした行いはいつか自分に返ってくるよという考え方は日本ではごく一般的だと思う。
日本は明治維新の時に西洋の文化や制度をごっそり取り入れたけれど、こういった部分にはそれ以前の歴史が色濃く残っている。
本当に日本という国は折衷が得意だなあと、本の主題とは全く関係のないところで妙に感心した。

2つ目は快楽主義という言葉である。インパクトが強すぎる。
なんなの、酒池肉林の世界なの?
快楽主義とは、苦しくない辛くない、いわゆる普通の状態を維持し続けようという主義主張である(違ったらごめん)。
食欲や性欲といった一過性の快楽を良しとしているわけではない。
ストレスがたまった、何かを頑張った等ことあるごとにすぐ食べ物に走る私は間違っていると思わされた。

3つ目は“現代言語学の祖”ソシュールさんだ。
初めての日記にも書いたが私は文字を書く人話す人が大好きである。憧れている。言葉を綺麗に使える人になりたいとここ5年間くらいずっと言っている。
言葉とは区別するためにあるもので、区別する必要のないものには名前はつかないとソシュール先輩は仰ったそうだ。
例えば日本には緑~青の色の名前が沢山あるのに対し、北極圏には白の名前が沢山あるらしい。
つまりこれは、地域によって価値が異なるということだ。

私は日本で生まれ育ったからきっと日本語の価値観がしっくりくるんだろうけれど、日本語では収まらない私の価値観を埋めてくれる言語もきっとある。
いつかちゃんとソシュールさんの唱えた説とついでにいくつかの言語を勉強しようと決めた。


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全体を通じて非常に分かりやすい楽しい本だった。
哲学に興味があるけれど勉強したことがない人はぜひ読んでみてほしい。



おわり。

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