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【読書】愛しなさい、一度も傷ついたことがないかのように

踊りなさい、誰も見ていないかのように
愛しなさい、一度も傷ついたことなどないかのように
歌いなさい、誰も聞いていないかのように
働きなさい、お金など必要ないかのように
生きなさい、今日が最後の日かのように

アルフレッド・D・スーザ

踊りと観客、
歌と聴衆、
労働と対価。
それと等しく、愛と傷。

愛したら絶対に傷つく、傷ついたら次が怖くなる。
それでもなお構えず、遠回りをせず、愛しなさいと。
要はそういうことだろう。

きついことを言う。
こちとら大人だ、予防線くらいは張らせてほしい。

愛したい、自分が傷つくことがないように。


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ここ2ヶ月程、体調がおかしかった。
病院に行くタイミングを図りながら(もしこれが不治の病だったら私はどうするかなあ)と空想していた。

多分まず第一に母親に報告するだろう。
会いにいくのは面倒だし、電話は苦手だしと理由をつけてLINEでぺろっと言う。
「できる間は働くし、できなくなったらその時考えるけど多分この辺の病院に入院すると思う」とか母親の都合丸切り無視で決めたことを述べるだろう。

その後、私を撮ってくれる人を探す。
遺影と、後はこれから死にゆく自分の様を私の意思を尊重して写真に収めてくれる人。
もしくは、珍しい病気だったら、自分をサンプルとして使ってくれる先生を探す。
ワクチンの話にも書いたけれど病気で死ぬなら科学の礎になりたい、好きなので。

なんにせよ最後になんらかの形で自分の人生に意味を持たせる。
有終の美は無理でも、死に際に蒔いた種が花を咲かせてくれることを願うくらいはしておきたい。
ただで枯れてしまってはつまらない。

結局、体調不良は全然大したことはなくて薬をちょこっと出されて終わったのだけれど、自分が最後まで格好つけたい見栄っ張りなんだというのがよく分かった。

そりゃあ自分が傷つくかもしれん人付き合いを積極的にする訳がない。
心底納得がいった。


ーーーーー

人付き合いに限らず、私は基本的に見栄っ張りでビビりで、自分が否定されたり傷つけられることが何よりも怖い。
だから恋愛には予防線を張るし、友人関係は受動的だ。

いつかビビリに通じる根本の出来事を私が見つけられたら、その時に「一度も傷ついたことがないように人を愛せる」ようになるのだと思う。

それはだいぶ先な気もするし、すぐそこにある気もする。
いずれにせよ必要なのは勇気かな。



おわり。

追記:気付いても気付いても、なかなか治せなくて。怖がるな、だいじょうぶだから、心を開いて見せてみて。

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