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一番衝撃的だった看護師の仕事

もうやりたくない、、、

いや、二度と経験したくない
そんな仕事がある

わたしは看護師の仕事をしている
「最期を看取る」看護師の仕事
これについて以前記事を書いた

わたしはこの仕事について誇りに思っている

しかし、一番印象に残っていること
もう二度とやりたくないこと
そんな仕事内容があった

死後に、解剖する患者さん対応

患者さんが亡くなったときに、
患者さんの引き取り手がいない。
そんな時、どうするか・・・

入院した時に、キーパーソンとなる人を必ず確認します
患者さんが意識障害の場合は財布など貴重品を確認し、
なんとか探します
ということを病院に搬送時、入院時病院で行います

患者さんが亡くなったとき、
後見人さんがいれば電話をし、
当日または翌日に引き取ってもらう
生活保護を受けている人でも
家族や親戚がいれば、そこに連絡をし引き取ってもらう
(生活保護を受けていて、家族や親戚は関わりたくないという思いはあっても、亡くなったら対応してくれる方もいる)
身寄りもおらず、生活保護を受けている場合は、
役所の方が対応してくれることもあります

家族が遠方で、さらに高齢な場合
すぐに来れない、または土地勘もない
患者さんとは何十年も会っていない、
疎遠であった
という関係性で、
重症な患者さんが入院していた
その患者さんが亡くなった場合の流れとしては、
亡くなったら家族が対応はしてくれるということであった

その方はしばらくし亡くなった。

家族に連絡し、医師から亡くなったことを告げられた

亡くなったとき、
解剖をし正確に診断するか医師が聞くことがあります
解剖してほしいという家族は少ないです
亡くなった後にも傷を入れてほしくない
という家族の方が多いので。

その時は解剖してほしいという意思を伝えてきました

通常、亡くなった後は、外れるものをすべて外し
(点滴の針や酸素チューブ、心電図モニターなど)
体を綺麗にし、浴衣に着替えます

しかし、解剖となると、それができません
尿や便が出ていても、服が汚れていても、
そのままにしなければいけないのです
ありのままの状態にしておく必要があるのです。

そこの病院は霊安室がありますが、
大きな病院であったため、
亡くなった後はすぐに葬儀社に引き継ぐ必要がある病院でした
(病棟がたくさんあり、1日に数人亡くなることもあり、
重なってしまうと、霊安室に空きがなくなり、保管が出来ないため)

解剖となると解剖医は常勤しているわけではないので、
連絡をし翌日に解剖となりました

まず、亡くなったら患者さんはそのままの姿で、
ベットに寝た状態で、放射線科へ行きます
移動中顔が見えないようにシーツで覆います

その姿は異様ですよね、、、
一般の外来患者さんがいるロビーで
検査が呼ばれるまで数分待機しますが、
亡くなった人がベットにいるなんて思いませんよね。
なんなら、顔はシーツが覆っているので見えない、、

検査に呼ばれ、全身CTをとってもらいます

そのあとは遺体を管理してくれる担当部署がないため
解剖室へ行き、自分たちで患者さんを大きな冷蔵庫へ入れ、
明日まで保管する必要がありました

解剖室は普段は使わないところであるため、
廊下は狭く、ベットでは通れず、
ストレッチャーで移動する必要がありました

ベットからストレッチャーに移動するときに、
体を横に向けると
口から多量の排液が出てきました
普段なら、亡くなったら処置を行うので、
吸引を行い、体の中から排液が出てこないようにします
でも、そのときはできなかったため、
ズボンや靴に大量に排液がかかりました

「ヒャーーーー」
思わず声が出てしまいました。
心の中では大泣きです、、、

ストレッチャーに乗せたら、解剖室へ先輩と移動しました
初めて行った解剖室はなんとも言えない空間であり、
クロムホルムの臭いというか、
くさいより独特の臭いがしていました

大きな冷蔵庫(遺体を保管する冷蔵庫)から
ストレッチャーを出し、
その台へ患者さんを移動し2人で冷蔵庫へ収納しました
冷蔵庫の中でストレッチャーが動かないように、
ロックをするのですがそれが固く、
ストレッチャーも重い。
先輩は男性でしたが、2人でかなり力を入れて、
ストレッチャーを押し込み
最後に鍵をかけました。

よくドラマで冷蔵庫から遺体を出すシーンを
見たことありませんか?
まさにそれです。

もう、患者さんではなく、そこには遺体があり、
私たちは、遺体として扱っており、
数時間前までは生きていたのに、
看護師がここまでやらないといけないのか
一刻も早く、静かに眠ってほしい。
こんなところに一人でいなきゃいけないなんて、、、
明日解剖だから、明日まで冷蔵庫にいるの?
冷たいところで一人で寝ているの?そんな、、、

なんとも空しい気持ちであり、衝撃的なことでした

解剖当日

翌日も勤務であり、その日は解剖の日。
解剖が終わると連絡が来るため、
前日、一緒に対応した先輩も勤務していたため、
電話で呼ばれたら、一緒に行くことにしました

解剖するということは滅多になく、異例な経験であるため、
後輩にも経験として連れて行こうと思いましたが
前日の思いもあり、こんな思いは他の人にはしてほしくない
そんな思いもあり、2人で対応することにしました

解剖が終了したと電話が来ました
先輩と2人で解剖室へ行くと
裸の状態で解剖室の台に寝ていました
体には傷などはなく、とても綺麗な状態でした

浴衣やおむつを着せようと触ると、体はかなり冷たい。
冷たいというか、凍っている?というくらい、冷たい。
患者さんではなく、もう遺体・・・物のよう。
体は柔らかさなどない、もうゴムのような固さ。

浴衣を着せて、霊安室で待機してた葬儀社の方へ引き継ぎました(その時、初めて霊安室を見ました。普段は使わないので。)
後日、身内の所へ搬送されるそうです

病院によっては死後の対応をしてくれる担当者がいるそうです。なぜここの病院はそのような体制を作らないのか。

とても衝撃的であり、悲しくなりました。
生きていた患者さんを知っているので、
亡くなったあと、私たちがカチカチの遺体をケアしないと行けない。

看護師としてこんなにも
悲しい、虚しい気持ちになった出来事でした。

この経験をしてみて、私が家族だったら、解剖はせずに
早く家に帰してあげたい。
葬儀社の方に引き継ぎ、静かに眠れるようにしてあげたい。

入院していた期間しか関わっていませんが、
入院中頑張って生きていたのだから、
解剖までなんて、、、もういいのでは?
解剖して、冷蔵庫に入れられるなんて
本人はどう思っているのだろう。

そんな風に思ってしまいました。

また、この経験は看護師をしていても、
本当に稀にしか経験できないことです。
その経験をしたことは貴重ですが、
後輩指導など教育の立場に関与していた自分にとっては
他の人には経験させたくない、経験しなくてもよいと思えるほどの事例でした

病院の体制が変わり、看護師の仕事内容の見直しをしてほしいと思いました。


看護師人生で一番衝撃的な仕事。
死後に解剖する患者さんの対応。



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