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続・スター・ウォーズのスピンオフを布教しようと思ったら何から始めようか

以前書いた記事に引き続き、初心者に薦めるスピンオフを自分なりに考えてみる。

前回は「取っつきやすさ」を優先してチョイスしたため、映像作品とコミカライズ作品からのチョイスとなった。しかし、やはりスピンオフといえば小説とアメコミだろうとも思うので、今回は小説とアメコミに絞って作品を選んでいきたい。

選定のポイント

今回の選考基準も前回と同じものとする。ただし、前回書き忘れたものがあるので「その5」を加える。

1.カノンであること

2.単体で面白いこと

3.題材で興味をひいてもらえるものであること

4.取っつきやすいものであること

5. 邦訳されていること

大前提。僕が好きな作品の多くは日本語に訳されておらず、残念ながらその見通しすらも立っていないのだが、流石にそんなものを初心者に読ませるのはハード過ぎる。

というわけで、改めて僕の考える候補作を紹介していこう。

小説部門:『レジスタンスの復活』

レジスタンスの復活

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あらすじ:クレイトの戦いの直後。かろうじて生き残ったわずかな人数のレジスタンスは、全銀河に向けて救難信号を送るも、その叫びに応えてくれる味方はついぞ現れない。人員もなく、資源もなく、身を寄せる場所すらないレイアたちは、志を同じくするものが残っていると信じて、仲間を探す行動に打って出る……

「ジャーニー・トゥ・スカイウォーカーの夜明け」という、『エピソード9 スカイウォーカーの夜明け』に続く物語として出版された作品群のうちの一つ。そのお薦めポイントは以下の通り。

ポイント1.エピソード8から直接繋がる物語であること

この作品は『エピソード8 最後のジェダイ』のラストシーン直後、クレイトから辛くも脱出したレジスタンスの様子から始まる後日譚としてスタートする。「スピンオフ」という文化に慣れてない人たちに取っては、やっぱり本編にはできるだけ近い位置にいる作品の方が取っつきやすいだろう。

ポイント2.他のスピンオフへの導線になること

実はこの作品はちょっとしたオールスター集結ものになっている。続三部作の映画にも登場し、小説『アフターマス』の主人公をつとめたスナップとノラ・ウェクスリー親子、コミック『ポー・ダメロン』に登場したポーの盟友たちブラック中隊、ゲーム『バトルフロントⅡ』に登場したシュリヴとゼイ、『ロスト・スターズ』『ブラッドライン』他多数の作品に登場した名脇役のイェンダーなどなど、様々なスピンオフ作品から集結した人気キャラクターが一堂に会する豪華仕様だ。
もちろん、個々のキャラクターに関する事前知識がなくてもストーリー自体はちゃんとわかる様になっているので、まず手始めに本作を読んでもらったら、これを足がかりにスピンオフの世界に足を踏み入れてもらえる良いきっかけになるのではなかろうか。

コミック部門:『砕かれた帝国』

砕かれた帝国

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あらすじ:エンドア上空に浮かぶ第2デス・スターを破壊し、皇帝をも葬り去るという奇跡的な大勝利を収めた反乱同盟軍はしばしその喜びを噛みしめる。しかし、銀河から脅威が去ったわけではない。皇帝の死を知らず抵抗を続ける帝国残党との戦いはまだまだ続くのだ。
そんな中、とあるスター・デストロイヤーに皇帝の顔と声を持つ謎のドロイドが現れ、艦長に“皇帝からの命令“を告げる。その命令が示すその目的地、それは皇帝の故郷でもある惑星ナブーだった……

『エピソード7 フォースの覚醒』に続く作品群である「ジャーニー・トゥ・フォースの覚醒」のうちの一つ。そのお薦めポイントは以下の3つだ。

ポイント1.単巻で完結していること

アメコミの弱点の一つが、1冊1冊の値段が少々お高く、サイズも大きめなので集めるのに少し気合いが必要だということだ。その点でいうと、この『砕かれた帝国』はこの1冊のみで完結するので、初心者に優しい。

ポイント2.「エピソード6の直後」を描いたものであること

この作品は、『エピソード6 ジェダイの帰還』のクライマックスにて第2デス・スター破壊を目指して決死の戦いを挑む反乱同盟軍のパイロットたちの様子、そして最後の勝利の宴の場面から始まり、その翌日に始まった帝国残党との戦いの様子が描かれる。まさしく「エピソード6の後日譚」と呼ぶのに最もふさわしい内容なのだ。先ほども言ったが、スピンオフ文化に不慣れな人にはできるだけ本編との接点が強い作品を薦めた方が良いだろう。

ポイント3.おなじみのキャラクターがメインであること

本作の主人公であるシャラ・ベイとケス・ダメロンは、続三部作の人気キャラクター、ポー・ダメロンの両親だ。当然、ポーも間接的にではあるが登場する。そして、おなじみルーク、ハン、レイアの3人もシャラやケスに同行する仲間として登場する。何度も言うが、スピンオフに不慣れな人にはできるだけ本編の要素が強いものが良い。

番外:小説『アフターマス』

アフターマス

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あらすじ:第2デス・スターが破壊され、皇帝とその右腕であるダース・ベイダーも滅ぼされた。しかし各地でしぶとくその勢力を維持し続ける銀河帝国残党との戦いはまだまだ続く。
そんな中、歴戦のパイロットのウェッジ・アンティリーズは辺境の惑星アキヴァで帝国残党による不穏な動きを察知する。一方その頃、アキヴァ出身の新共和国(反乱同盟軍)パイロットのノラ・ウェクスリーは、戦いのために故郷に残していった息子と再会するために故郷を訪れていた……

惜しくも選抜漏れをしてしまったのが小説『アフターマス』だ。まずこの作品のお薦めポイントは以下の通り。

お薦めポイント:エピソード6とエピソード7のブリッジストーリーとして良質であること

本作では『エピソード6 ジェダイの帰還』で描かれた結末の“その後”、しぶとく勢力の再拡大を目指す帝国軍の残党と、「新共和国」と名を改めた反乱同盟軍が激しい戦いを繰り広げ、帝国が正式に滅びるまでを双方の視点から描いている。

また、章と章の間にはインタールード(幕間)として、銀河の各地で繰り広げられる名もなき人々の姿、とりわけ戦争の余波(Aftermath)の様子が挟まれ、エピソード6のエンディングの後の銀河の様子に厚みをもたらしている。エピソード6の後、エピソード7に至るまでに銀河がどのように変化していったかを理解するのに、これ以上の良いきっかけはないだろう。

しかしながら、この小説は以下の致命的な弱点により、惜しくも今回の候補から外れてしまった。

弱点:3部作なのに1冊しか邦訳されていない

唯一にして最大の弱点だ。本作は『アフターマス』、『Aftermath: Life Debt(原題)』、『Aftermath: Empire's End(原題)』の3冊から構成される「アフターマス3部作」の1冊目なのだが、残念なことに続きの2冊が一向に邦訳される気配がない。タイミングも完全に逸してるし、おそらく打ち切りになったと見て良いだろう。もちろんこれ単体で読んでも良いのだが、やはり続編があること前提の作りになっているので少々の物足りなさはある。初心者に向けて「続きは英語で」はちょっと流石に酷だろうということで今回は見送ることにした。


というわけで、僕なりに考えた初心者に薦めたいスピンオフ作品の紹介は以上となる。どの作品にしようか、どうやって薦めようか、考えてみるだけで楽しかったので、皆さんも自分なりのラインナップを考えてみてはいかがだろうか。

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