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スター・ウォーズのスピンオフを布教しようと思ったら何から始めようか

別に布教する予定があるわけでもないのだが、こういうことを考えるのは単純に楽しいので書いてみる。

選定のポイント

人にものを薦める上でポイントになってくるのはだいたいこんな感じだろうか。

1.カノンであること

大前提。スピンオフのことをよく知らない人たちにカノンだのレジェンズだの言っても通じるわけがないのだから、現状公式設定から除外されているレジェンズの作品はいっそ存在しないものとして話してしまうくらいでちょうど良いと思っている。(僕自身がレジェンズの作品にはあまり明るくないという事情もある)

2.単体で面白いこと

これも大前提。人にものを薦める時に一番いやがられるのが、「○○を見る前に□□を見て……」といくつもの作品を並べ立てることだ。それ一つだけ見てちゃんと面白いものでないと、見てもらえるものの見てもらえない。

3.題材で興味をひいてもらえるものであること

こちらがどんなに薦めたところで、結局相手に興味を持ってもらえないと意味がない。あらすじや主人公の説明でいかに引きつけることができるかがポイントだ。

4.取っつきやすいものであること

よく知らないジャンルのものを薦められたときにネックになるのがその長さだ。いくら面白いと薦められても、いくら周囲で人気でも、あまりにも長いと躊躇してしまう。僕自身、長いからと躊躇している人気コンテンツはたくさんある。
あと、小説よりは映像作品やコミックが取っつきやすくて良いだろう。

この辺の視点で見て、人に薦めやすいのは何かを考えてみた。

クローン・ウォーズは残念ながら難しいかも

クローンウォーズ

Amazon ディズニープラス

「代表的なスター・ウォーズのスピンオフといえば」と聞かれたら答えは一つ。『クローン・ウォーズ』だ。言わずとしれた名作品。スター・ウォーズの生みの親であるジョージ・ルーカスも制作に関与していることもあって、数あるスピンオフの中でも破格の扱いを受けているアニメである。

クローン・ウォーズの知名度自身はなかなか高く、映画しか見たことのない人でも名前くらいは知っているという人も多い。扱っている題材も、映画では始まりと終わりしか描かれなかった戦争のまっただ中で、アナキン・スカイウォーカーの弟子が登場するというインパクトがあれば、初見の人を引きつけるのには充分だろう。なんだったらダース・モールのその後が描かれることも付け加えたって良いかもしれない。

ただ、唯一にして最大の弱点はあまりにも長すぎることだ。クローン・ウォーズは1本の映画と全7シーズンのテレビアニメからなり、映画を除いても全部で133話もある。上手くハマってくれれば一瞬なのだろうし、こちらとしても全部見ろなどと言いはしないが、全133話というのは初見の人間を尻込みさせるには充分すぎる数字だ。

スター・ウォーズを語るうえでクローン・ウォーズは所謂“必修科目”であるという意見には確かに全面的に同意する。しかし、実際に見てもらうのはもう少し沼にはまってもらってからの方が良いと思う。

候補その1:『マンダロリアン』

マンダロリアン

ディズニープラス

あらすじ:『エピソード6/ジェダイの帰還』から5年、帝国は崩壊の一途を辿り、反乱軍改め新共和国が急速に勢力を拡大しつつある混乱の時代。孤高の賞金稼ぎである、通称“マンドー”は帝国と繋がる人物からの依頼で1人の赤ん坊を捕まえる。一旦は契約通り依頼主に引き渡したマンドーだが、次第に愛情めいたものを覚え出した彼は、依頼主の手から赤ん坊を奪い逃亡の旅に出る……

近年の作品といえば何といってもこれ。ディズニープラスの目玉商品としても取り上げられることの多い、スター・ウォーズ初の実写ドラマシリーズだ。この作品のお薦めポイントは次の3つ。

ポイント1.“ベビー・ヨーダ”のかわいさとインパクト

グローグー

やっぱり何といってもこれ。スター・ウォーズを知っている人で、“ベビー・ヨーダ”ことザ・チャイルドを見せて興味を持たない人はいないだろう。これでツカミはばっちりだ。

ポイント2.ほどほどの長さ

『マンダロリアン』は2シーズン全16話。日本の1クールドラマよりちょっと長いくらいだ。長すぎず短すぎないちょうど良い長さじゃなかろうか。

ポイント3.他の様々なスピンオフへの導線になる

特にシーズン2で他のスピンオフ(アニメや小説)で初登場した人気キャラクターが結構出てくる。そして、完全に過去作品が前提となっているかといえばそんなこともなく、主人公のマンドー自身が他作品の事情には疎いキャラクターなので、基本的に彼らは全員「謎の人物」として登場してちゃんと自己紹介してくれる。だから話に置いて行かれる事はないはずだ。

そして『マンダロリアン』で興味を持ってもらった後で、「実はあのキャラはこんなのにも出てて……」と持ち込めば完璧な導線になるだろう。

候補その2:漫画『レイア-王女の試練-』

レイア表紙

Amazon LINEマンガ

あらすじ:平和な惑星オルデラーンに住まう姫、レイア・オーガナは16歳の誕生日を迎え、王位継承権を得るための試練の儀式を受ける。「肉体」「頭脳」「精神」の強さを証明する“3つの試練”をクリアしてゆく中で、圧政を強いる銀河帝国の現状を目の当たりにした彼女は、両親が密かに率いる反乱軍と帝国との戦いに巻き込まれてゆく……

クラウディア・グレイ作の同名の小説(邦題『レイア・オーガナ オルデラーンの王女』)を日本人漫画家の春壱さんがコミカライズしたもの。これのお薦めポイントは次の2つ。

ポイント1.マンガであること

とにかくこれに尽きる。いきなり小説やアメコミを薦めても難色を示される可能性が高いが、マンガならきっと大丈夫。おまけにLINEマンガだから、公式アプリを使えば全話無料で読むことができる。URLを送りつけて「とにかく読んでみてよ」というストロングスタイルの勧誘だって可能だ。

ポイント2.レイアが主人公であること

やはり“レイア姫”の知名度は強い。スター・ウォーズを見たことがない人すらその名を知っているくらいだ。そんなレイアが主人公のスピンオフだと言えば、薦められた側の食いつきもなかなか良いものになるだろう。レイアが反乱軍に入った経緯本編ではほとんど描かれなかったレイアの故郷と両親の姿、そしてレイアの元カレという爆弾と、レイア・オーガナの前日譚として求められているものが全てそろっている。

候補その3:漫画『ロスト・スターズ』

ロスト・スターズ表紙

Amazon LINEマンガ

あらすじ:惑星ジェルーカンに生まれ育った少年セインと少女シエナは銀河帝国の理想に憧れ、共に帝国軍に入隊する。成績優秀で将来有望な二人だったが、帝国の残酷な真の姿を目の当たりにし、セインは帝国を裏切り逃亡してしまう。帝国軍に残り帝国の理想のために戦い続けるシエナ、反乱軍に入り帝国から銀河とシエナを救おうとするセイン。互いに思い合いながらも敵対する陣営に別れてしまった二人の戦いの物語。

こちらもクラウディア・グレイ原作の小説(未邦訳)を、小宮山優作さんがコミカライズしたもの。お薦めポイントは次の3つ。

ポイント1.マンガであること

上に同じ。こちらも無料で読むことができる。こちらは完結済みで、全3巻というほどほどの短さなのもポイントが高い。

ポイント2.王道のラブストーリー

恋愛ものに疎いのであれなのだが、「愛し合ってるのに敵対しなくてはいけない」っていうのは老若男女問わず人気な印象がある。あらすじで引きつける力は実はここまでで一番強いかもしれない。

ポイント3.帝国軍の視点で描かれた話であること

以前、こんなツイートとそのまとめがバズっているのを見た。要約すると「スター・ウォーズには悪側の視点が一切描かれていない!!」という主張をする人がいて、そこに賛同の意を示す人が大勢現れたのだ。

ここにまとめられた反応を見ればわかるように、「悪の側についてしまった一般兵」という存在を描いた物語の需要は高く、スター・ウォーズでもそういったものを見てみたいという興味を持っている人は多い。そして、その需要を良い感じに満たしてくれるのが、この『ロスト・スターズ』だ。

この物語は二人の少年少女が憧れと共に帝国軍に入隊する所から始まり、デス・スターがオルデラーンを破壊する姿、そしてその後のデス・スター破壊を経験することで物語が大きく動き出す。帝国軍の兵士から見て帝国とはどんなものなのかが複数人の口から語られるこのストーリーは、上のまとめに賛同する人たちにも満足してもらえると思う。

番外:『ローグ・ワン』、『ハン・ソロ』

ローグワン

Amazon ディズニープラス

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Amazon ディズニープラス

実写映画は若干レギュレーション違反かもしれないと思って今回は除外したが、これら2つも外せない。前者は第一作である『エピソード4/新たなる希望』に直接繋がる前日譚、後者はシリーズ随一の人気キャラであるハン・ソロの若かりし日の物語。ナンバリング映画を見たけどこれは見てないという人には何はともあれこの2本を見せるべきだ。


以上が僕なりに選んだ、スター・ウォーズを映画でしか見たことのない人に薦めるスピンオフ作品だ。もし今後話の流れでお薦めを紹介することになったら、このラインナップの中から選んでみようと思う。

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