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35歳で事業承継して思った「2つの力」

まちづくりの専門家、木下斉さんのnoteから。

**代の答えは有料部分なのでネタバレはしない方向で、自分の話をすると、私自身は、35歳で家業を継ぎました。そして、40歳の今年、父が取締役を外れ相談役になりました。

私の父も35歳で祖父から継いで社長になったということもあり、父も、私が35歳になる年を目処に事業承継を計画していたようです。

父がよく言っていたのは、経営には2種類あるということです。新しい物を生み出すイノベーションと、既存の事業を運営するマネジメント。若い者はイノベーション力があるが、経営の経験がないからマネジメント力がなく、勢いだけでやるから、会社の経営は不安定になる。

年寄りは、マネジメント力はあるが、イノベーションを起こす力はない。マネジメントだけでの運営を「老獪な経営」ともいい、潰れることはないが、それはやがてじり貧で頭打ちになる。

子がイノベーションを発揮して、親がマネジメントでそれを支えている時は、会社が一気に伸びる。そして子が育ってきてイノベーションだけでなくマネジメント力を備えさせるタイミングが、リレーで言うテイクオーバーゾーン、この期間は親子併走で子にマネジメントの力を受け渡していく段階。そして、子にマネジメント力が付いてきたら、スパッと受け渡す。

こんなことを、父は言っていて、そして思い返すと、実際にそうだったなあと感じます。父は「当主というのはその時代の責任者で、バトンを渡すところまでが仕事」とも言っていました。受け継いだ段階で、すでに「どう渡すか」を考えているとも言えます。

35歳で社長というと、他の業界の人からは「若い社長ですね」と言われますが、当社に限らず、醸造業界は、結構、30代のうちから40歳前後ぐらいで、実質の経営者交代するところが多い様に感じます。

何代も続いている家が多いので、きっと、バトンを受け継いだ時点で、無意識にも明示的にも「自分が次の世代へバトンを渡す時を考えている」というのが習慣というか本能レベルで感じているのかなと思います。

私自身、思えば、祖父が父にバトンを渡すところを幼い頃に見て、そして父から自分が受け継いでいるので、今度は私が子供に渡すことになるという、バトンが流れていくイメージが、なんとなく体に染みついている、そういう感覚を確かに自分の中に感じることがあります。

どちらが良いというわけではないですが、創業社長の方で「自分がバトンを受け取った経験」がないなかで、事業継承をしていく、「バトンを受け渡すイメージ」を作るのは、大変なことだなと思います。

さて、話を少し戻して、イノベーション力とマネジメント力。これは別のところで聞いた話ですが、後継者には3つの仕事をさせると良いと聞きました。


1つは既存の商品の売上げを上げること、2つめは既存の事業の効率化を図り経費、原価を下げる仕事、3つめは新しい商品で市場を開拓する仕事。

これはそれぞれ、会社の基本となる「稼ぐ力」と、「マネジメント力」と「イノベーション力」に対応していると思います。

自分も家業を継ぐ中で、そして、継いでからも、仕事は詰まるところこの3つのどれかに分類・集約されるし、全部が大事なことだとつくづく感じます。

感想文なので、特段結論のある話でもないですが、何かのお役に立てれば幸いです。


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