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統計で見る豊橋市と都心の『仕事』の違い

さて、詳細は下記の記事の通り、今までも書いておりますが、東三河は毎年400人、若い女性が出て行っており、その多くは『希望する仕事がない』という状況です。

というわけで、これを、また、別の指標で見てみたいと思います。

データ出所は相変わらずRESASです

産業特化係数

さて、地域ごと産業構造を見るのに当たって、『産業特化係数』という指標が一般に用いられます。

産業特化係数とは

”地域のある産業の生産額が地域全体の生産額に占めるシェアを、全国の当該産業のシェアと比較したものであり、その地域が全国の平均的な産業構造の姿と比べてどの産業に特化しているかを示す”

https://www5.cao.go.jp/j-j/cr/cr11/chr11030201.html

という、指標です。(生産額のところには従業員数などが入ることもあります)、詳しくは検索していただければと思います。ある地域の産業の特徴を示す良い指標ですが、%で相対的に示されるため、少し、直感的には分かりにくいかなとも思います。

10万人単位従業者数

そこで、直感的に分かりやすくするため、

「もしも、豊橋市も東京都も働く人が10万人いるまちだったら」と想定してみます。(むかし、”世界が100人の村だったら”という本がありましたが、その着想です)

ここでは、東京都は不動産業界で言う都心6区(中央、千代田、港、渋谷、新宿、文京)を切り出しました。

その結果が以下の通りです。

表の数字の見方ですが、豊橋市がもし10万人の町だったら、そのうち、7448人は飲食店で働き、6373人が医療業で働き、5475人が飲食料品小売業で働き、、、、となっています。(2016年の各地域の中分類での産業別従業者数を使用しています)

上記の表は、この考え方で豊橋市で多い上位20産業を記載しています。【全体データは巻末】

特徴的なのは、4位の”輸送用機械器具製造業”でしょうか、豊橋市が10万人の町だったら、そのうち、5081人が輸送用機械器具製造業に従事しています。ところが、東京都が10万人のまちだったとしたら、わずか152人しか従事していないことになります。

概ね製造業は、東京都心で働いている人が10万人いたとしても、そのなかのわずか数百人しか、各製造産業では働いていない、と言うことが出来ます。

では、都心6区の上位産業を見てみましょう

筆者作成

都心6区では、10万人働いているとしたら、『情報サービス業』だけで8974人、ほぼ、働いている人の10人に1人は情報サービス業です。ところが、豊橋市では『情報サービス業』で働いている人は、10万人中で493人しかいません。

働いている人の数だけ、求人があるわけですから、つまりは、『情報産業の求人の数がそもそも、豊橋は都心の18分の1以下』なわけです。他にも、『都心で10位の”映像・音声・文字制作業”の求人は、豊橋では20分の1以下の規模でしかない』わけです。

逆に言えば、豊橋で「株式会社○○食品」、実名を挙げれば、有楽製菓さん、東海漬物さん、ヤマサちくわさん、そして当社の様に、食品製造の会社や工場に勤めている人に出会うぐらいの頻度で、都心で”映像・音声・文字制作業”の人には出会うわけです。

これでは、「働く」と言うことに対するイメージが、大きく異なると言うことが分かると思います。

さあ、どうする?

というわけで、明らかに産業と職種に違いがあります。当然と言えば当然の結果なのですが。

これを踏まえて、「だから、地方に無い産業や職種を増やそう」と考えるのか、「自分たちのまちにある職種や産業の魅力を増やそう」と考えるのか、それは、それぞれの戦略だと思います。(私は両方が必要だとは思います。)

ただ、若者や女性の流出に悩むなら、この現実を見据える必要はあるでしょう。

では、最後に、豊橋と都心、それぞれが10万人のまちだったら、の産業分類ごとの従業員数一覧を載せておきたいと思います。

いろいろ、思うところがあります。



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