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山小屋でのアルバイトについて【前半】

3年前、学生だった私は研究室を抜け出し山小屋でアルバイトを行いました。
数回に分けてその時の体験を記していきます。
それにより、「これから山小屋でアルバイトをやってみたい」
「山小屋のアルバイトってきついのかな?」などと興味をお持ちの方の参考になればと思います。【前半】では、アルバイトを行うことになったきっかけやアルバイト開始前の出来事について記載しています。

2017年6月、私は就職活動を終えて大学に通う日々を送っていました。
研究は楽しく日々充実していましたが、3月でもう卒業です。
学生生活に終わりが近づいていたため、私は「最後に何かにチャレンジしたい」とうずうずしておりました。「どうせチャレンジするなら学生生活で一番きついことに挑戦しよう!」そう思い、北アルプスの山小屋でアルバイトをしようと決めました。
私は、登山が趣味なので山小屋の環境を知っていました。
標高3000m付近に位置する山小屋には風呂がありません。
そして夏でも寒いです(10°以下の日もある)。雨もよく降るし、下界とは
隔絶されておりできることも限られています。
そんな過酷な環境の中で働き抜くと、達成感が得られるし社会に出た時の自信につながるだろう!そう思い山小屋アルバイトを募集しているサイト
「インクノット」を調べ、北アルプス某山小屋のアルバイトに応募し合格をいただきました。

インクノット
https://www.inkknot.com

剱岳及び奥穂高岳の山域に位置する2つの山小屋から合格をいただきましたが、
日給が高いことから剱岳の山域の某山小屋で働くことに決めました。
日給は食事代を差し引いて約8500円。
期間は8月1日から、9月18日。
前日入りを加えれば、計50日間3000m級の山の中で過ごすことになります。
しかし、普段から山々を縦走していたので、景色の綺麗な北アルプスで働ける!という期待ばかりで不安はあまりありませんでした。
当時の主な縦走コースは、宝満山〜若杉山(福岡県太宰府市〜福岡県糟屋郡)や、雷山〜脊振山(福岡県糸島市〜福岡県福岡市早良区)でした。
これらの縦走記録については後々の記事でご紹介したいと思います。

さて、7月21になりアルバイト開始の日が近づいてきました。
研究室のデスクを綺麗に片付け、帰ってきた時にスムーズに再開できる様
ノートに手順を記載しておきました。何しろ、次帰ってくるのは秋なのですから
しっかり書いておかないと忘れちゃいます笑 その日は研究室のBBQでしたが
翌日朝5時出発の予定だったため、早めに帰宅し準備を行いました。

アルバイト用に、30Lのザックへ以下を詰めました。
【洗剤、バンダナ、エプロン、着替え・上着等の山用衣類(5枚程度)、
文庫本『機関車先生』、レインコート、トイレットペーパー、充電器、
ヘッドライト、アイゼン、ノート、ボールペン、山と高原地図『剱・立山』】

福岡の大学に通っていたため、北アルプスの某山小屋(富山県)まで青春18切符で行きました。5枚ある18切符を有効に利用するため、最終目的地である富山駅まで以下のルート・行程で移動しました。全てJRの各駅停車を利用しました。

7月22日 某学研都市駅(福岡)→指宿駅(鹿児島)
7月23日 開門岳登山
7月24日 指宿(鹿児島)→某学研都市駅(福岡)
7月25日 某学研都市駅(福岡)→出雲駅(島根)
7月26日 出雲市、松江市観光
7月27日 松江観光、米子観光
7月28日 大山登山
7月29日 米子駅→京都駅 (実家泊)
7月30日 京都駅→富山駅 (駅前のビジネスホテル泊)

学生は時間があるからこんな予定組めるんだよなぁ
目的地に行くために10日近くかけとるやん笑 しかも山まで登ってるし笑
7月22日から7月30日までの行程は本編とずれるため説明を割愛します。

7月31日、入山日は曇りでした。前日は、富山駅前のビジネスホテルで宿泊しました。5時ごろ起床し、登山口である室堂まで以下のルートで移動しました。
このルートはアルペンルートと呼ばれ、観光スポットとして有名です。

電鉄富山駅→立山駅(地鉄)
立山駅→美女平(ケーブルカー)
美女平→室堂(バス)

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電鉄富山駅では、電車が近づくと【メヌエット(J.S バッハ)】が流れます。
その音色が印象的で心に残りました。今でもメヌエットを聞くと、山小屋アルバイトを思い出します。

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アルペンルートは街からのアクセスが良い優れものです。
これを利用すれば山口県からでも、その日のうちに北アルプスの山小屋にアクセスできちゃいます。なんたって文明の力で一気に1975m登りますからね!
(なんて素晴らしいんだ!!三連休あれば北アルプス縦走できるじゃん!!)

・・・脱線しましたが、アルペンルートを利用し室堂駅には11:00ごろ到着しました。室堂駅は、観光客・登山客でごった返しています。室堂には、ホテルや食堂
さらには温泉があるため、多くの人がそれらを求めてやってきます。
まさに北アルプスの渋谷と言って良いでしょう。ここで登山届けを出します。
スタッフ(山岳警備隊!?)の人に、山小屋職員として働くことを告げると
「あ、**山小屋の人ですか 頑張ってね!」といっていただきました。

駅構内を出ると、小雨が降っていました。そして寒い!15°くらいか?
上着を羽織りレインコートに着替え、山小屋に向けて登山を開始しました。室堂はよく整備されており、歩き始めて30分ほどは舗装された道が続きます。

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下の写真で山肌から煙が上がっている場所があります。これは火山ガスが発生しているためです。室堂周辺では、所々硫黄の匂いがする箇所があります。

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しばらく歩くと、舗装された道はなくなり険しい岩山へと変化します。
(写真はまたいつか)
険しい道のりを3時間ほど歩き、午後2時ごろにアルバイト先の山小屋へ到着しました。遠くからちっぽけに見えていた山小屋の前に立つと「ああ、ここで50日間はたらくのか!!」と現実感を感じました。
キリがいいので、ここから先は次回「山小屋でのアルバイトについて【後半】」でお話しします。ご覧いただきありがとうございました!!!!

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