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景気づけにはケーキを

家のちかくに、お気に入りのケーキ屋さんがある。

店舗自体は大きくないが、3代にわたり受け継がれている老舗店。木を基調とした店内は、おしゃれで居心地がいい。
以前、お礼としてクッキーの詰め合わせを渡したら「あ!○○だ!」とお店の名前を当てられた。そのくらい、みんなから愛されているケーキ屋さんである。
 
今のところへ引っ越してきた3年前。帰宅中にたまたま見つけ、入店したのがきっかけ。
真っ白な生クリーム、ピカピカ光るチョコレート。ショーウィンドウをみているだけで楽しい。ためしにひとつ購入したところ、とてもおいしかった。

ピカピカだ!

それ以来、月に1~2回の頻度で通っている。ちゃっかりポイントカードをゲットし、コツコツためているほどこのお店がお気に入りだ。
わたしのことを認知しているスタッフさんもおり、買うたびに「いつもありがとうございます」と笑顔で声をかけてくれる。ちょっと恥ずかしいけど、うれしい。

ドライフルーツの酸味とチョコの甘さが絶妙で大好き

ケーキを買うとき、いつも思い出す人がいる。
母の友人の娘さんだ。
 
わたしが高校生のころ、母、母の友人、彼女の4人で食事をした。
彼女は明るく人見知りをしない性格で、緊張しているわたしにたくさん話しかけてくれた。おかげで楽しい思い出として記憶に残っている。

 
メインメニューをたいらげ、デザートを食べているとき、彼女の学生生活の話になった。

当時彼女は大学院生で、臨床心理士を目指していた。毎日勉強漬けの日々だったが、試験はやはり難しく、合格の手応えはナシ。あれだけ勉強したのに……とショックを受け、試験後は友達と慰めあっていたそうだ。

しかし時間が経つと、過ぎたことをうじうじ考えているのも仕方がないと思い始めた。
そして彼女は「こんなときは甘いもの……ケーキだ!」と直感し、友達に「景気づけにケーキを食べよう!」と提案。

すぐに近くのケーキ屋さんへいき、食べたいものをお互いに2~3個購入。そして友人を連れて自宅へ戻り、ぺろりと完食してしまった。

数時間前まではあんなに思い詰めていたが、ケーキを食べたらたちまち元気に。自然と笑顔に戻ったそうだ。
そのままいつもの調子へと回復し、落ちたと思っていた試験はなんと合格していたという。
 

そこから彼女は「景気づけにはケーキ」の教訓を取り入れているらしい。
失敗が続いてしまったとき、友達が彼氏と別れてしまったとき、なにか新しいことにチャレンジしたいとき……。対象が自分でも家族でも友達でも関係なく、景気づけをしたいときにはケーキを買いに行く。おいしいものを食べることによって心がハッピーになり、「頑張るぞ!」と力をもらっているのだと、笑顔で話してくれた。

いちごのモンブランは絶品です

当時高校生だったわたしは「すごいなぁ〜」とぼんやり話を聞いていた。
自由に使うお金はなく、なにもない田舎に住んでいたので、自分とは別世界だからこその言動だなと思った。
 
だけど今、彼女の言葉がよくわかる。仕事でミスをしてしまったとき、繁忙期を無事乗り越えたとき、とくに理由もなく悲しくなったとき。ケーキがあると心がほんのりあったかくなる。

ケーキ屋さんに入店し、今日はなにを買おうか迷い、ワクワクしながら家に持ち帰り、コーヒーとともに食べる。その一連の行動のあいだ、ずっと幸せなのだ。
マイナス思考ばかりしてしまう自分に「よく頑張った、おつかれさま」と自分が励ましてくれる。ケーキはわたしに元気を与えてくれ、景気が良くなるよう後押ししてくれるのだ。


これを読んでくれたみなさんも、つまずいたり、もうダメだと思ったときは一度ケーキを買ってみてほしい。コンビニでもスーパーでも、どこでもいい。ケーキが景気を呼んでくれるかもしれませんよ!

いちばん好きなケーキはモンブラン!

 

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