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中医学ってなに?

中医学って何?
漢方とは違うの?
現代医学とどう違うの?

私が勉強を始めて驚いたのが
現代医学(西洋医学)と病気のとらえ方が全然違うこと。

中医学では、風邪といっても、
その人のそのときの状態に合わせて選ぶ薬が違う。

調剤薬局で薬剤師をしていると、風邪の処方は大体同じ。
咳が出るなら咳止め、熱があるなら解熱剤、痰がでるなら痰切り
といった具合で、大体症状に対してこの薬と決まっていることが多い。
(胃腸なのか、呼吸器なのかではもちろん違うけれど)

ドラッグストアの漢方薬のパッケージ。
風邪の種類で使う薬が色々ある。
薬剤師とはいえ、西洋薬の勉強が中心だったから
漢方薬となるとすんなり選べなかったりする。
なんでもかんでも風邪には葛根湯ではないことも
中医学を学んでいくとわかるのよね。

今回は、中医学とは何か?中医学の全体像について書いていきます。


中医学ってなに?

東洋医学?中医学?漢方?

いわゆる現代医学(西洋医学)との対比で
使われることが多い言葉たち。

「中医学」って馴染みがないと思う。

私もアメブロでは「漢方・薬膳」と表現してる。
中医学って書くと、どこか難しそうに感じて
読んでもらえないだろうなと思ったから。

中医学は中国伝統医学のこと。
4000年の歴史はあると言われる。
中国最古の医学書とされる「黄帝内経」は
漢の時代に書かれたと推定されている。
(日本だと弥生時代!)

それが韓国に伝わって韓国独自に発展したものが韓医学。

日本には、奈良時代に遣隋使・遣唐使の往来とともに伝わり、
日本独自の発展をしていく。
江戸時代に伝わった西洋医学を「蘭方」と呼び、日本独自に発展してきた中医学を「漢方」として区別するようになったそう。

そして、東洋医学って?という話。
この辺りは、どこからどこまでを東洋と考えるのかというのは
地域、民族、宗教など複雑なので難しい。

なんとなく私は、東洋医学ときくと
中医学とインドのアーユルヴェーダがパッと頭には浮かぶ。
他にも私の知らない地域独自の医学があるはず。

ちなみに、世界三大伝統医学は
・ユナニ医学(イスラム医学、ギリシャ・アラビア医学)
・インド伝統医学(アーユルヴェーダ)
・中国伝統医学(中医学)
の3つである。

ここまでをまとめると…

中医学=中国伝統医学
漢方=日本に伝わった中医学が日本独自に発展したもの
東洋医学=広いアジア一帯の伝統医学

中医学と現代医学の違い

病気を診る現代医学、人を診る東洋医学(中医学)といわれる。

現代医学では、すべてデータを元に診断・治療方針が決まる。
検査結果が異常、目に見えるもので異変があるという場合には、
そこを治療していく。

ただ、検査結果は何も問題ないけど
なんとなく調子が悪いだと治療ができないことも多い。

案外不調があってもそこまで生活に支障がないと
そのままにしてしまうこともある。

私も健康診断の結果に異常はないけど
どことなく疲れがとれない
体が冷えて辛い
ことはあったし、
今でもなんとなく不調ってこともある。

毎日がなんとなくしんどい。
病院に行っても仕方ないよなぁと思いながらも、この状況から抜け出したい。

そういうときは、東洋医学だと治療や対策があるのが良い。

私は、中医学も現代医学もどっちも上手に使っていったらいいと思ってる。

中医学の病気のとらえ方

中医学では、飲食物のことを「水穀(すいこく)」、水穀から取り出された栄養素を「水穀の精微(すいこくのせいび)」、今でいう酸素にあたるものを「清気(せいき)」と呼んでいる。
水穀の精微と清気から「気・血・津液」という「人体を構成して、生命活動を維持するために必要な基本物質」が作られる。この気・血・津液の消化、生成、吸収しているのが五臓六腑、全身に気・血・津液を送るための通り道が経絡(けいらく)である。

この気・血・津液がバランスよく、体の中を隅々まで巡っていられるのが正常な状態。なんらかの原因で、過不足が生じたり巡らなくなってしまったことで病気が発生すると考える。

中医学では、人体に病気を引き起こす原因のことを「病因(びょういん)」、病気の発生・発展・変化のメカニズムのことを「病機(びょうき)」と呼ぶ。


【現代医学と中医学の生理】
現代医学では、食べ物や飲み物は、消化管で、単糖類、脂肪酸・モノアシルグリセロール、アミノ酸などに分解・吸収される。呼吸から取り入れた酸素を使い、ATP(エネルギー)やたんぱく質などを作っている。

現代医学と中医学を照らし合わせてみると、
消化管が五臓六腑
単糖類、脂肪酸・モノアシルグリセロール、アミノ酸、ATPなどが気・血・津液
にあたる。

中医学の診断・治療

中医学の特徴として挙げられるのが「弁証論治(べんしょうろんち)」。
同じ病気でも、その人の体質や症状によって治療する部位が変わってくる。
病因や病機も含め、望診・聞診・問診・切診の四診を用いて、患者の主訴・随伴症状、患者の様子などを診て、病気全体を分析した「証」を決めるのが「弁証」。
弁証から得られた結果から、どのような治療にするのか治療方法を検討・決定・治療を行うのが「論治」。

患者の訴えだけではなく、舌の状態、患者の体格、話し方、顔色・肌のツヤなども見て、あらゆる情報を集めていく。
痛み1つをとっても、どんな痛み?いつ痛む?触ると痛いのか、和らぐのか?など、詳しく聞き取る。

そうしないと治療方針が決められないから。

私も何も知らずに漢方相談に行ったことはあって、
いつのまにか色々診られていたのかな…と、
中医学の勉強をはじめてからちょっとドキッとしたことを思い出した(^^;

中医学体系の全体

ここまでをまとめたものが上の図。
水穀(飲食物)、清気から気血津液が作られる。それが全身を巡り、体を栄養したり、構成したりしている。
なんらかの病因で、気血津液に異常をきたした病気を発症する。この発症メカニズムを病機という。
四診を用いて証を決定。その証に基づきどんな薬・経穴(ツボ)を使うのか治療法を決め、治療していく。これを弁証論治という。

音声でも配信しています。

【参考】
東洋医学はなぜ効くのか(講談社,2024年)
やさしい中医学入門(東洋学術出版社,1993年)
中医学の基礎(東洋学術出版社,1995年)
東洋医学の教科書(ナツメ社,2014年)
日本漢方生薬製剤協会HP

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