森正祐紀

キャスティング・プロデューサー。株式会社キアズマ代表。 カンヌライオンズ/ADFEST…

森正祐紀

キャスティング・プロデューサー。株式会社キアズマ代表。 カンヌライオンズ/ADFEST/広告電通賞等、受賞作品歴多数。社会にインディーズなものを増やすために働いています。本とエンタメの紹介が多め。ときどき家族や暮らしのことも。podcastでしゃべったりもしています。

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  • キャスティング屋が選ぶ「気になった人」まとめ

    広告のキャスティング・エージェンシー、株式会社キアズマ代表の森正が独断と偏見で選ぶ、次世代のスター事典。2015年から半期に一度執筆しています。

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キャスティング屋が選ぶ「2024年上半期 気になった人50」

皆さんこんにちは。キャスティング・プロデューサーの森正です。 2024年上半期も思わず気になってしまう人ばかりだったので、例によって独断と偏見でまとめてみました。 では、早速本編に参りましょう。 過去の「気になった人まとめ」は以下のマガジンに集約してあります。ご興味ありましたらこちらもご一読ください。 また、今年2月からPodcastも始めました。週1で気になった人たちを褒めちぎる番組です。よろしければフォローしてみてください! <女優>橘侑里 福田ルミカ ・『仮

    • 初めての会社案内づくりで辿り着いた、「会社」と「社会」が出会う場所。

      昨年末から会社のリニューアル作業を着々と進めている。デザイナーである妻の助けを借りながらさまざまなデザイン物を制作し、このほどようやく念願の会社案内が完成した。公私一体となった会社のリブランディングの全貌を、ここに記録しておきたいと思う。 破竹の勢いで進んだデザイン刷新 まずは長らく使ってきたロゴを一新。名刺も変え、年始には数年ぶりに取引先に紙の年賀状も送った。妻の発案で、ホログラムのパッケージにカードを封入するという凝ったデザインの年賀状になった。 年が明けてからHP

      • 自分のことばを生きる

        中学1年のとき、担任の先生が同窓会に行った話が妙に記憶に残っている。当時、先生には長らく連絡を取っていなかった親友がいたらしく、同窓会で会えるのを楽しみにしていたそうだ。その友人を会場で見つけ、喜び勇んで話しかけに行ったのだが、どうにも"言葉が通じない感覚"に陥ったという。決してよそよそしかったわけではなく、友人も再会を大層喜んでいたらしい。だが、話している言葉にどこか違和感を感じ、別の人物になってしまったような印象を抱いたそうだ。とても寂しい気持ちがしたと、帰りのホームルー

        • ルーブル事件

          自分はつくづく表層的な人間だと思う。 何をやっても上辺だけで、どうにも踏み込みが浅い。それがバレないように日々怯えながら暮らしている。こと文化的な教養については、ねじれたコンプレックスを長い間抱えてきた。 友達の少なかった自分にとって、映画や音楽や文学だけが唯一の心の拠り所だった。孤独に打ちひしがれる夜も、音楽を聴き、物語の世界に入り込みさえすれば大丈夫になれた。「人生の恩人は誰ですか?」と聞かれたら、人ではなく作品のほうが多いかもしれない。それだけ映画や音楽や文学は自分

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          16本

        記事

          手負いの鹿とエントロピー|悪は存在しない

          EVIL DOES NOT EXIST。なんと潔い断言だろうか。 冒頭で静かに挿入されるこのタイトルを見て、「では存在するのは何だろう?」と思いながら1時間46分を過ごした。 自然豊かな高原が広がる長野県水挽町に、ある時グランピング場の設営計画が持ち上がる。住民向けの説明会が急遽催されるが、聞けば聞くほど杜撰な計画であることが浮き彫りになっていく。娘の花とともに代々水挽町に暮らす巧は土地の自然と生態系を熟知しており、グランピング場が土地に与える影響を冷静に指摘するのだった

          手負いの鹿とエントロピー|悪は存在しない

          「わたし」は、あなたからの贈り物。

          もしも人生のベストアルバムを作るとしたら、Salyuの「青空」は絶対に欠かせない一曲になると思う。 2011年にリリースされたこの曲は、作詞・作曲をMr.Childrenの桜井和寿が担当している。彼らしい慈愛溢れる言葉たちが、伸びやかなSalyuの歌声に乗せてスッと心に入ってくる。中でも僕が好きなのは、大サビのこのフレーズ。 どうしようもなく誰かを求める気持ちが、いじらしいくらい素直に表現されていて、聴くたびに心の柔らかい部分が刺激される。サビ以外の歌詞も素敵で、本当に好

          「わたし」は、あなたからの贈り物。

          才能の正体

          才能はたぶん、子どもの姿をしている。 いつもあなたの一挙手一投足を物言わず見つめている。 変わっていくあなたの中で、変わらずに待っている。 あなたが傷ついたときには、その子も泣いている。 迎えに来てくれるのを待っている。 それでもあなたがその子を迎えに行かないのは その子の手を取るのが怖いからだ。 身につけてきた常識、築いてきた役割。 そういうものが、あなたの心を怯ませる。 決してその子がいなくなることはないけれど 年を追うごとにその姿はどんどん朧げになっていく。 や

          才能の正体

          子ども1歳だけど都内の中学受験事情を知って初めて親になれた気がした話。

          自分はまあまあ優秀な子どもだったと思う。いや。優秀な子どもだと思っていた、最近まで。 小中の成績は大体いつも学年で三本の指に入るくらいだったし、高校に至っては主席で卒業している。大学受験の模試の偏差値は75くらいで、合格判定はいつもAかBだった。 大人になってからことさら学校の成績を人に自慢することもなかったし、それによって人を見下すこともなかったけれど、勉強で得られた成功体験は確かな自信を与えてくれていた。自己効力感の源泉といっても過言ではないかもしれない。 しかし、

          子ども1歳だけど都内の中学受験事情を知って初めて親になれた気がした話。

          そう、僕らは夜を越えてきた。古びたニュータウンが掘り起こす、身近で壮大なアイデンティティ。

          映画「すべての夜を思いだす」の余韻がまだ消えない。 映画の舞台となるのは多摩ニュータウン。高齢化が進み、人もまばらな団地の中を、世代の異なる三人の女性たちが闊歩する。三者三様の事情を抱えて団地を彷徨うわけだが、そこで何が起こるわけでもない。いや、起こってはいるのだけれど、取り立てて何か起こったとも言い難い日常の些事が描かれていく。総じてミニマムで静謐なムードを持つ作品だが、その背後には実にダイナミックな想像力が横たわっていたように思う。一言で言えば、人類の営みに対する深い愛

          そう、僕らは夜を越えてきた。古びたニュータウンが掘り起こす、身近で壮大なアイデンティティ。

          「誰からも注意されないおじさん」の自戒の仕方。

          他人から注意されることがめっきり減った。 会社に所属していた20代のころはもちろん上司や先輩からたくさん叱られていたが、独立後はそもそも叱ってくれる人自体が周りにいなくなってしまった。 仕事でもプライベートでも、関わる人たちの大半が自分より年下になり、いっそう他人から注意される機会は失われている。40代に片足を突っ込みつつあるおっさんに、誰が好き好んで注意なんかするだろうか。わかってはいるけれど、誰からも注意されないことに、とてつもない不安を覚えることがある。 ここ数年

          「誰からも注意されないおじさん」の自戒の仕方。

          何者かに変身したかった若者たちの「正しい老い方」|映画「仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド」

          迷いの中のヒーロー 2003年に放送されていた「仮面ライダー555」が20年ぶりにVシネとして帰ってきた。 555と書いてファイズと読む。「仮面ライダー555」は、夢を持たない青年・乾巧が、変身ツール・ファイズギアを用いて仮面ライダーファイズに変身し、怪人・オルフェノクと戦う物語だ。といっても、単なる勧善懲悪の話ではない。主人公を含めた3人の若者と、怪人ではありながらも人としての生き方を模索する別の3人の若者の、青春群像劇ともいえるドラマが展開される。6人の中で複雑に交差

          何者かに変身したかった若者たちの「正しい老い方」|映画「仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド」

          人をほめるラジオ、始めました。

          プロとしての"筋トレ" 突然ですが、先週からひっそりとPodcastを始めました。 「この人いいなぁ〜キャスティング屋のほめ出しラジオ〜」 ビジュアルは例によって妻の伊藤彩良が担当してます。当初は全く違うビジュアルだったのですが、突然アイディアが降ってきたようで、取り憑かれたように一気にこのデザインを完成させました。めちゃお気に入りです。 * * * ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、これまでは半期に一度、記事の形で推しの人たちを紹介してきました。 この「

          人をほめるラジオ、始めました。

          普通の人ほど殺陣をやったほうが良いワケとは?柔と剛が織りなす「身体の地図」を手に入れる。

          先日、知人の塚田くんが師範代を務める殺陣道場に足を運んだ。 塚田くんとは大学時代からの付き合いで、当時彼が所属していた演劇サークルの芝居を見に行ったのが最初の出会いだった。同じサークルの別の友人を介して親睦が深まり、彼が出演する自主映画や舞台の音楽制作に僕が参加したことをきっかけに、いっそう距離が近づいていった。25歳のころには、もう一人の友人と塚田くんと僕の三人で社会人劇団を立ち上げるなど、20代の苦楽を共にした数少ない友人の一人である。 無類の特撮好きということもあっ

          普通の人ほど殺陣をやったほうが良いワケとは?柔と剛が織りなす「身体の地図」を手に入れる。

          平熱のまま世界を愛したい。ベランダというバンドの話。

          僕は日常を描いた作品が大好きだ。 保坂和志の小説の穏やかさに惹かれるし、今でも時々ドラマ「すいか」を見返すこともある。舞台なら断然五反田団だ。先日記事にも書いた「PERFECT DAYS」のような映画も、自分の好みにドンピシャだった。 ジェットコースターのような急展開が起こるわけでもない、エンターテイメントとしては地味な作品を、どうしても好きになってしまう。 それはきっと、僕が創作物に求めているのが、我を忘れることではなく、我を見つめることだからなんだと思う。虚構という

          平熱のまま世界を愛したい。ベランダというバンドの話。

          システムを解きほぐす、「他者」への想像力|映画「PERFECT DAYS」

          ひとりの男の「環世界」 昨年の暮れに公開された映画「PERFECT DAYS」をようやく鑑賞できた。 トイレの清掃員として生きる主人公・平山の日常をこれでもかというくらい淡々と描いた、なんとも不思議な作品だ。見る人によっては相当退屈だったに違いない。来る日も来る日も同じルーティンをこなす平山の生活は、まるでタイムリープのようにも見える。時折、他の人物の登場や働きかけによって日常にさざ波が立つこともあるが、それでも彼の日常は揺るがない。平山は彼自身で自己充足しており、そうい

          システムを解きほぐす、「他者」への想像力|映画「PERFECT DAYS」

          ナルシスト社長のみっともない成長記録。ひとり会社8年目のいま思うこと。

          このほど、自分が代表を務める会社が7周年を迎えた。 会社といっても、ほとんどフリーランスと変わらない一人会社だ。昨年から妻が正社員として従業員になったので、もう厳密には一人会社ではないのだけど、大半の業務は自分でやっているから、そういう意味では今も一人会社のようなものだったりする。 多くの会社が10年で倒産するというデータもあるなか、資金的な余力を十分残した状態で8年目を迎えられたのは素直に嬉しい。なにより、自分の会社の社歴が、社会人歴の半分を超えたのも感慨深かった。

          ナルシスト社長のみっともない成長記録。ひとり会社8年目のいま思うこと。