〔自分の考えこそが大事〕創造力を育む大学教育に 2

#コラム #教育 #大学教育 #自律的学び #カリキュラム #創造力

★「新製品の開発に当たって、自分は他の実施例を探さない」。私が私淑するベンチャー企業(製造業 50年前創業)の創業社長(故人)の言葉です。「見てしまうと、それに捉われて、独自のアイデアを邪魔する」。
 私が研究見習い助手の頃に提案した実験装置の図面を見た教授が「(自分のように)機械を『知りすぎて』いると、こんなアイデアは出ないね」とほめてくれたこともありました。


★ 「教養が邪魔する」という言い方を聞くこともあります。多くを知っていると、その知識と比較して、アイデアの不備や欠点に気づきやすく、それを意見として言うことによって、結局アイデア自体をつぶしてしまう事例は非常に多いのが事実です。知識があると、その轍に嵌って、独自の考えを出しにくくなるのです。


★ 「解のない問題を解くことが大事」「問題解決能力を育てる」と言いながら、多くの人が、まず「文献(資料)探し」から始めるのは、矛盾とは思わないのでしょうか。自分で考える前に文献を探すことは、すなわち「正解(または答えの選択肢)を探す」こと、あえて言えば「カンニング」にほかなりません(孫栄健:「邪馬台国の全解決」言視舎)


★ まず「疑問を持つ」こと、それを大事に温め続けること。(現状の自分の知識に基づいて)自分なりの考え(仮説)をいろいろ並べてみること。それを一つ一つ検証すること。すべての「研究」は、この過程をたどって進行します。検証の過程で、過去の知識を総ざらえして比較するのです。
 ここで大事なことは、自分の考えが過去の知識に「当てはまらない」ことにこそ意味があるのであって、これを「間違い」と捨て去るのではないことなのです。


★ 知識は必要不可欠ですが、知っているだけではジャマになることも多く、それよりも大事なことがあることは、意外に忘れられています。
                 〈濤瀞〉

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?