シェア
やまぎし
2019年8月11日 21:09
夢にまでみたカブトムシが、目の前にいる。しかも三匹。おれは、息すらしていなかった。というかできなかった。目の前にいるカブトムシは、ちょっと息を吹きかけただけで飛んでいってしまうんじゃないか。そんな気がして息ができなかった。はしゃぐ隆成を制し、おれは息を必死に殺してカブトムシに近寄った。心臓の鼓動が、自分の耳にまで聞こえる。網を持つ手が震える。足を擦るようにじりじりとカブトムシに近づ