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杳 芽具見
2022年6月8日 23:26
二つ足音が山野をめぐる。ひとつ、ふたつと数えて歩かねばならない、見える数、聞こえる数は変化する、しかし常に、ひとつ、ふたつ、それだけを数えなければならない。まやかされてはならない。そうして里見と土岐は野を歩き、気付けば山の端を辿っていた。霧雨が肌を覆う。虫よけに藍の風呂敷を被ってきたが、それもすっかり濡れていた。薄の草むらを辿り、笹藪に入る。笹藪の獣道はわかりやすい。僅かな陽に照