なぜ筋肉痛を喜んでしまうのだろう? 無意識下にある「運動」のイメージ

ピラティスの指導をしていると、レッスン前などに生徒さんからよく

「前回のレッスンの後、このへんが筋肉痛でしたよ~」

とうれしそうにご報告をいただきます。

そんなご報告をいただくと私もうれしく思います。

そして、自分ががトレーニングを受けた後も、狙い通りのところはもちろん、思わぬところに筋肉痛が出ると「こんなところも使えてたのか~、よしよし♡」とほくそ笑んでしまいます。

どのエクササイズでどこを使った結果の筋肉痛なのかな~と分析するのも楽しい。

筋肉痛は〇〇した結果

でもよく考えてみると、筋肉痛なんて本来は不快なものなのでは?

なのになんでこれをうれしいと思えてしまうのでしょう?!

これはきっと

運動を頑張った → その結果が出た

ということがうれしいのだと思います。

つまり「運動とは頑張るものである」という意識が、私も含めて多くの人にあるということでしょう。

そして頑張ったからにはその結果がほしい。

筋肉痛はわかりやすい「頑張った結果」なのでうれしく思うのではないでしょうか。

「運動は嫌い」「運動したほうがいいのは分かっているけれど、なんだか面倒…」という方の多くは、この「運動とは頑張るものである」「頑張らないといけない」という無意識下の共通認識に躊躇してしまっているのかもしれません。

「運動」の第1の定義

「運動」という言葉を辞書で引いてみると、1番最初に出てくる定義は

「物が動くこと。物体が時間の経過とともに空間的位置を変えること。」です。

ということは腕が動いても運動ですし、脚が動いても運動。

人間の体が物理的に動けば運動なので、ちょっとそこの物を取るのも、トイレに行くのも立派な運動ですね。

そういえば自粛生活で在宅勤務が長引いた人たちが「通勤って結構な運動だったんだ…」と話題にしていたのも記憶に新しいです。

この定義の運動なら、体の動く人は特に頑張る必要もなく、意識しないでも朝起きた時から夜寝る時まで普通に行っています。

「運動」の第2の定義

「からだを鍛え、健康を保つために身体を動かすこと。スポーツ。」

これが2番目の定義です。

この定義の運動は、「敢えて」やるもの。

そして無意識に「頑張らないといけないもの」と刷り込まれてしまっている。

「敢えて」「頑張る」なんて言葉が出てきてしまうと、躊躇するのも、なんなら拒否反応が出るのも頷けます。

ボディワークの効果

ピラティスやヨガなどのボディワークも「敢えて」やるものなので2番目の定義の運動にあてはまってしまいます。

2番目の定義ではあるのですが、ボディワークを行った結果、多くの方が感じるのが、歩いたり、座っていたり、日常の動作がラクになるということです。

つまり、「運動」の第2の定義を行うことで第1の定義を行うのがラクになる。

さらには第1の定義の動きを妨げるような腰痛や膝の痛みまでもが軽減したりします。

レッスンスタイルにもよりますが、多くのボディワークでは「無駄に頑張りすぎているところがないか」を探していきます。

特にこのマガジンの管理者であるロルファーユキ先生の指導者向け講座「ホリスティック・システム」修了生は、その人の体が本来できる自然な動きを取り戻すためのアプローチが得意です。

無駄に頑張っているところの力が抜けると、本来動くべきところがうまく動くようになり、体全体のバランスが整います。

結果、痛みや不快感のない体になり、将来的には自分の脚で歩ける期間が延びることが期待できます。

つまり「無駄に頑張らないで済む」体を作るために行うのがボディワーク。

「頑張らないで済む」体を作るために、2番目の定義の運動をする、というのはなんだか矛盾していますが…

そして、指導する側もつい頑張った結果を喜んでしまったりするのですが…


今まであまり使えなかったところを使うと、どうしても筋肉痛が出てしまうかもしれません。

「筋肉痛なんてまっぴらごめん」という根っからの運動嫌いにはイヤなことかもしれませんが、結果、腰痛や肩凝りなどが改善して軽くて動きやすい体になるとしたら、多少の筋肉痛は、喜んでいただく必要は全くないので(笑)、せめて許してもらえないでしょうか…?

「頑張る」必要のある運動なんてやりたくない、というぐうたらさんも、「頑張らないで済む」体を作るための運動、だったら、敷居が低く感じないでしょうか…?

心肺機能を高めたり、脂肪を燃焼させて体重を減らすためには、心拍数が上がり汗をかくような、いかにも頑張らないとできないタイプの運動が効果的です。

「運動は嫌い」「運動したほうがいいのは分かっているけれど、なんだか面倒…」という方にいきなりこのタイプの運動は勧めません。

しかし、第2の定義にはなりますが「頑張らないで済む」体を作るための運動、ボディワークには、是非軽い気持ちでトライしてみてください。

頑張っているつもりはないのに頑張っているところを見つけるだけなのに、いかにラクに体を動かすかを探るだけなのに、将来的に元気に動ける期間が長くなるなんて素敵ですよね。

さらには国の医療費の削減にも貢献できてしまいます!!

運動=頑張る だけではない

こと、自戒を込めて是非多くの方に知っていただきたいと思います。


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