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30歳を境に変わり始めたこと#4.3

#4.3 パワハラの再来~救済を求めた先、そして解放へ~

1.パワハラの再来

コロナ禍による2か月の休業を経て、久々の出社を迎えました。再び上司と対面で仕事が始まりました。

上期は、元いた部署への応援に駆り出されました。しかし、製品の種類が以前と異なり、当時の私は視野が狭く、視点も低く、点と点をつなぎ合わせることができなかったので、あまり戦力になりませんでした。

そんな体たらくでも、上司はなぜか私を褒めました。「○○さんがお前の仕事の出来を褒めていたぞ」と。その褒め方がなんとなくわざとらしく、変に持ち上げえるような言い方だったので、内心気持ち悪く感じながら、「裏に何かありそうだな」「本当なのか?」と疑っていました。そして、下期になると、その予想が的中しました。

下期は、応援先から異動先部署に戻りました。そこからまた地獄のような日々が始まりました。

今だから言えることですが、上司の特徴は以下でした。

  • とにかく指示が二転三転する

  • 最初やっていた方針から、次から次へと注文が加わり、収集が付かなくなる。何がゴールなのか分からなくなる

  • それでいて、上司の指示についていけないと怒り出す

  • 「お前はオレの指示をちゃんと聞いていない。理解していない。理解する気がない」

  • 指示通りに資料を作成してFBをもらい、資料の作り直しが何度も続く。そのため、1つの資料作成だけに何週間もかかり、上司からのFB通りに修正しても「違う」と突き返される。最終的には、資料にバツ印だけつけられて突き返される

  • 挙句の果てには、「オレのことを舐めているのか?」と言われる始末

まともに相手していたら頭がおかしくなりますが、当時の私は「上司から見捨てられたくない」の1点張りで食らいついていきました。というか、 私は見捨てられ不安があり、上司にすがるしかなかったのです。

そして、「なぜ私だけこんな目にあわないといけないのか」「なぜ誰もおかしいと言わないのか」と疑問を持ち、周囲に対しても疑心暗鬼になっていきました。

実際、私への集中砲火を見ている周囲は、徐々に、私のことを煙たい存在として見るようになっていきました。

みんなの前で誰かが集中的に攻撃されていて、誰も何も言えないと、それが当たり前になってしまいます。事情を知らない周囲は、「あいつは、これだけ怒られているんだから、怒られている側は相当できないやつなんだろう」と心の中で思うようになります。表面上は「可哀そうだ」と思っても、「関わりたくない」と知らんふりするのでしょう。

私以外の誰かが集中攻撃されているのを見たとき、私はそう感じたことがあります。これは「公正世界仮説」と呼ばれる認知バイアスがかかっているためと思われます。「その人が苦痛を受けているのは、何かの罰だ」と思い込んでしまう心理です。以下をご参照ください。

そして、私は「この状況をなんとかしたい」と思いました。

2.赤羽雄二さん著の「ゼロ秒思考」との出会い

パワハラ上司と出会ってから、「このままではまずい」「なんとかして成長しなければ」と思い、ビジネス関連本を手に取るようになり、読み漁りましたが、成果は出ませんでした。そもそも、本を読むのに慣れていなかった私なので、「自身の成長に必要だ」と思っても、頭が付いていかない状況でした。

手にとった本の中で、私の心に最初に響いた本が、前田裕二さん著「メモの魔力」でした。これをきっかけに、文字として書くことの重要性を認識しましたが、本書に載っている方法を実践するに至りませんでした。

あとは、細田功さん著『「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』です。パワハラ上司から、「視点が低い」「視野が狭い」「具体にしかフォーカスしていない」といったことを言われたので、「抽象的な思考ができるようになりたい」と思って購入しました。しかし、当時の自分にとっては内容が難しく、実践につなげられませんでした。

次に、本ではないですが、ユーチューブ動画の「マコなり社長」を見ました。たまたまYouTubeを見ていたら飛び込んできました。

そして、その動画の中で紹介されていたものが、赤羽雄二さん著の「ゼロ秒思考」です。

本書の内容は、なぜか私の頭にスーッと入ってきました。他の自己啓発本を比べて、小難しいことが書かれておらず、分かりやすかったです。私の課題であった「職場の人間関係、言語化、視野狭窄にならず深く考えることに効果がありそうだ」と思いました。そして、本書で紹介されている「A4メモ書き」にチャレンジしました。

A4メモ書きでやることは以下になります。(本書から抜粋)

A4用紙を横置きにし、1件1ページで、1ページに4~6行、各行20~30文字、1ページを1分以内、毎日10ページ書く。したがって、毎日10分だけメモを書く。

赤羽雄二さん著の「ゼロ秒思考」P60より

頭に浮かんだことをそのまま書く。あれこれ考えず、感じるままに書く。

赤羽雄二さん著の「ゼロ秒思考」P110より

すごくシンプルですが、上期に取り組んだときは3日でやらなくなりました。ですが、「なんとかしてして成長して、パワハラから抜け出したい」と思っていたので、下期に気合を入れなおして、再出発しました。

その際、「マコなり社長」のYouTube動画で「マコナリ社長は、赤羽さんに毎日メモ書きした結果を送っていた」という事実を知ったのと、「ゼロ秒思考」の中に「感想やメモ書きした内容を、私あて(akaba@b-t-partners.com)に送ってください」と書かれていたので、私も著者の赤羽さんに、メモ書き内容を撮影したものを送ることにしました。

今まで、本の著者に直接メールするなんて機会はなかったので、緊張しました。「失礼なこと書いていないだろうか」「本当にメールして大丈夫なのか?」と思いながら、メールしました。

すると、約30分後に本当にメールが返ってきました。当時のメールを見返すと、21:26に送信しているのですが、22:05には返信があり、驚きの速さでした。あらかじめ、赤羽さんのプロフィールを確認していたので、「ほかにもいろいろと、たくさんやることがあるはずなのに、ここまでの速さで返信していただけるのはすごい!」と思いました。

メモ書きについていろいろと気になったことを書きましたが、赤羽さんからのFBは「いい感じで書いておられるので、ぜひその調子で毎日10~20ページ書き続けてください。」でした。

当時の私は「「ここをこうしてください」とか「もっとこうすると良いですよ」といったFBがないが、大丈夫なのか?」と思いながらも、メモ書きを送り続けました。赤羽さんに送り続けたのは1週間ほどだったと思いますが、メモ書きは継続しました。

そして、メールにあるように、「オンラインサロン」なるものの存在を知りました。(以下リンク)

当時の私は、「オンラインサロン」という言葉も知らず、ネットで調べてみると、様々なオンラインサロンがあることを知りました。

メジャーなものだと、中田敦彦さんの「Progress」など出てきました。パワハラ上司の指摘から、私は「話す力が全くない」と感じていたので、鴨頭嘉人さんの「話し方の学校」だったり、「コミュトレ」なども調査しました。しかし、どれも費用が十数万単位で高額だったので見送りました。

「Progress」は月会費980円とリーズナブルでしたが、私の指向とマッチしていない気がして、こちらも見送りました。

最終的に、赤羽さんの「ゼロ秒思考オンラインサロン」への入会を決めました。月5,500円ですが、以下が決め手となりました。

  • 私は理工学系のバックグラウンドがあり、赤羽さんも東大工学部ご出身、重機メーカー小松製作所での技術者の経験がある

  • メールの返信がとにかく早い。すぐに回答やアドバイスが欲しいときでも、何かしらの回答が得られ、次のアクションにつなげられる

  • 赤羽さんの考え方に惹かれた。当時の私はパワハラの真っただ中で、パワハラを絶対に許さない赤羽さんの姿勢に共感した。同時に、「上司の役割は部下を成長させ、組織の生産性を向上させること」という考えにも共感した

ゼロ秒思考オンラインサロンは、専用Facebookページを主な活動拠点にしており、赤羽さんはじめとしたメンバーの活発な投稿、議論、イベント開催がなされています。

私はこういった活動は初めてだったため、入会・簡単な自己紹介後、おそるおそる初の投稿をしました。すると、次から次へといいねが返ってきたり、コメントがあったりして、とても暖かく迎えられました。

入会から数週間経った後は、初のオンラインイベントに参加しましたが、緊張して空回りで終わりました・・・それでも、毎週日曜朝の早朝から行われるメモ書きイベント(A4メモ書きをして、書いた内容を発表し合い、お互いにFBし合う)で徐々に、自分の考ていること、価値観などをクリアにしていきました。

3.赤羽さんからのアドバイス

A4メモ書き、オンラインサロンの活動を始めたものの、上司との関係は相変わらずで、パワハラは一層激しくなりました。

オンラインサロン入会から2週間ほどして、赤羽さんから「変化は感じられましたか?」とメッセージがくるも、私としては「そんなに早く感じられるわけがない・・・パワハラは酷くなる一方だし。成果が感じられない・・・」と思っていました。なので、率直に「実際、あまり感じられません」と返信した。

ですが、「変化を感じる人はメモ書きを開始したその日から」という人もおり、正直驚きました。頭がクリアになった今だから言えるのですが、当時は、やはり、パワハラにより頭が委縮していて、のびのびと、思い切って自分の考えを表現できていなかったのだと思います。当時のメモ書きを見返すと、同じようなことばかりを書いていました。

激しさを増すパワハラに耐え兼ねていたところ、赤羽さんから以下のようなメールがあり、赤羽さんに相談しました。

何度かメールのラリーをさせていただき、そのときは以下のアドバイスをいただきました。正直、当時は「パワハラされている」という現実を直視できず、「上司はできの悪い私のためを思って厳しい言葉で指導してくれている」と思っていました。

別の機会にメールした際は、以下のように上司の立場でメモ書きしてみては?とアドバイスもいただきました。

どうもありがとうございます。
部下から上司に、妻から夫へのアクティブリスニングはあまりお勧めしていません。ご心配のような問題が起きるからです。
高圧的な上司に対しては、その上司の立場で20ページほどA4メモを書くことで少しイメージが変わります。
ぜひやってみてください。
赤羽雄二

メールより

私は以下のようにメモ書きしてみました。

  • その上司の現在だけでなく、過去(その上司の家族、育った家庭環境など)について想像を膨らませて書く

  • その上司の立場だったら自分は部下にどうするか?考えて書く

  • その上司が怒る理由を、「怒られる自分には全く非がない」と思って書く(自分に非があると思って書くと、自分の悪さしか書けないため)

  • その上司のコミュニケーション、マネジメントスタイルについて思うことを書く

パワハラの渦中でも、パワハラ上司の立場に立つことで、違った見方ができるようになっていきました。だんだんとパワハラする人は「自信がなくて、可哀そうな人だなあ」と思えるようになりました。ただ、渦中の私にはそこまでの能力はなく、そう思えるようになったのは、パワハラ上司から離れた後でした。

また、以下のようなご意見もいただくことで、パワハラ上司だけが悪いのではなく、自分にもパワハラされるだけのポテンシャルがあることに気付かされました。このメールの内容は肝に銘じておこうと思って、机の前に貼っておきました。

どうもありがとうございます。
ご質問の点ですが、
①上司が真因を2,3指摘してくれたり、真因を考える方法を教えてくれればいいのですが。こういう「だめ上司」が大半なんですよね。
②経験のない仕事は先輩に聞きまくってどのくらい時間がかかるのか、どこに不確定要素があるのかを確認してください。やっていますか?
計画が必要ないというのではなく、計画に時間を使うのがもったいない、という意味です。

指示された時点では理解したと思うなら直後に書いて確認してください。やっていますか?
確認自体は、ともかくやるしかないです。すぐなら比較的やりやすいはずです。
アウトプットイメージもすぐに作成して確認すると、比較的摩擦が少ないです

頼れる先輩にすべて話して、しばらく助けてもらうことはできませんか?
今の悪循環を抜け出すまで。

赤羽雄二

メールより

4.精神が崩壊しかけるも、パワハラ上司からの解放へ

オンラインサロンでの活動むなしく、下期も終わりに近づいた頃、いよいよ上司のフラストレーションがピークに達し始め、一層パワハラは激しさを増しました。

怒られるために会社に行っているようなものでした。午前中に叱責が始まると、「ああ、早くお昼休みがこないか」と思って辛抱しました。

昼ご飯が喉を通らなかったこともありました。どう考えても終わらないムリな納期と課題のために、昼飯抜きで取り組んだこともありました。昼ご飯を食べない私を見た別の管理職の人から「ちゃんと昼休みは休んでご飯食べないとダメだよ」と言われたのはショックでした。どんどん周囲を敵だと思うようになり、チームメンバーに相談もできず、孤立感を深めていきました。

パワハラ上司から「いい加減にしろ!」「もう勝手にしろ!」と言われて頭がおかしくなりそうでした。

パワハラ上司から「答え方がしどろもどろで、何を言っているか全くわからないし、頭のどこかがおかしいんじゃないか?」「検査してもらったら?アスペか?」とも言われました。私は、「大学時代に検査してもらって異常なしと言われたことがある」と答えると、「じゃあ、お前は何なんだ?ただのサボりか?オレを舐めているのか?」と詰められました。

親にも相談したのですが、「結局元に戻ってしまったか」「本当に相性が悪いんだね」「とにかく耐えろ」「そうやって怒られるってことはお前にも悪いところはある」と言われショックでした。せめて親には、「お前にも悪いところはある」とは言ってほしくなかったです。全て受け止めて欲しかったです。

一時期、家に帰宅後、包丁を胸に突き立てたこともありました。「この包丁を胸に突き刺し、掻っ切れば全て終わる…」

しかし、そう思っても怖くてできなかったです。自害できる人はどんな精神状態なのか?怖いと思わないのか?私にはまだ自害した後のことを考える頭があったので、そこは救いでした。

ここまで来てしまうと、「これはもうだめだ」と思い、精神科に通うことにしました。

「指示が理解できない」「頭がおかしいんじゃないかと言われた」「アスペを疑われた」などを話し、大学時代以来のWAIS-IIIテストを受けました。人生で2度目です。

結果は以下の通り、発達障害の傾向は見られないということでした。この結果を受けてホッとしつつも、「発達障害でなければ自分は一体何なんだ?」と、モヤモヤしました。

試験の後の診察で、女性の50代くらいの先生が私の話を聴いてくれました。なぜかその先生といると安心感がこみあげ、周りを気にすることなく、大泣きしてしまいました。

先生は、「ちょっとこれはまずい」と思ったようで、「抗精神薬を処方しようか」と言ってきましたが、私は断りました。「薬を飲んだら終わりだ」「本当にうつ病患者になってしまう」と思ったからです。

先生は、「夜も興奮して眠れないようだったら、すぐに私に言って」と言いました。心の底から心配してくれているようでした。

その後、パワハラ上司からは「もうお前の面倒は見れないから、前の部署の応援に行ってろ」と言われ、応援業務に戻りました。ですが、「進捗管理が全然できていない」「そんな簡単な仕事なのに、なぜ定時で終わらないのか?」「8時間会社にいればいいってわけじゃないんだぞ」と執拗に言われ続けました。

この嵐からいつになったら抜け出せるのか?と考えていると、そのパワハラ上司に辞令が下り、彼は元にいた部署に戻ることになりました。

来年度からはパワハラ上司から解放されることになり、ホッとするとともに、「私はどんな仕事を任されるんだろうか」「この先もずっと応援業務しかやらせてもらえないのか?」「ただ会社に飼われるだけの人間になるのか」と不安でいっぱいでした。

#4.4では、パワハラ上司から解放された後の1年を書きます。


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