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2022

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大晦日(エッセイ)

大晦日(エッセイ)

今朝は8時頃に起きて、朝食を食べて寝直し、11時過ぎに起き直した。シャワーは浴びずに服を着替えて家を発つ。駅前のコンビニで印刷した年賀状を喫茶店で書いた。

家に帰ると昼食のカレーがあった。母はスパイスに凝り始めたようで、母の手料理にしては珍しく不味かった。食べ終えてまた1時間ほど寝て、いまは布団にくるまって日記を書いている。

家の中に自分以外の音が鳴る。台所から物音や足音が聞こえる。慰みに点い

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千葉の旅(エッセイ)

千葉の旅(エッセイ)

今日は、彼女の青春18きっぷが余っていたので、日帰りで房総半島一周旅行に行ってきた。千葉駅から内房線で東京湾側をなぞり、南房総から太平洋側へと回って、上総一ノ宮駅から外房線で千葉駅に帰るというルートだった。実質の乗車時間は6時間ほどで、途中下車したのは竹岡駅と館山駅の2駅だけだった。

流れる車窓を見るともなしに眺めながら、電車に揺られ続ける一日だった。これが「のんびり」ということなのだろうか。出

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仕事納めと大掃除(エッセイ)

仕事納めと大掃除(エッセイ)

昨日は仕事納めで、溜まった書類作りを捌いているうちに夜になっていた。同僚と新人ら不在で、出勤は私と上司の二人だけだった。上司もやる気がなく、PCのモニターには麻雀番組が流れていた。

今日から私は2ヶ月の休職期間に入るのに、実感がまるで湧いてこない。年末年始の変な時期に休み始めてしまうのも良くなかった。

今日は今年の大掃除の日だったが、なんだか気合いの入らないまま一日を過ごしてしまった。なんとか

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「あなたのルーツはどこにありますか?」(エッセイ)

「あなたのルーツはどこにありますか?」(エッセイ)

料理を作りながら聞いていたYouTubeで、宮台真司さんが「海外では、ルーツを語れない奴はクズ扱いされる」という話をしていた。これは先日スペインに行ったときにも感じたのだけれど、性格というのは生まれ育った社会や環境に大きく影響される。自分が育ってきた環境や世界について自覚的に説明できるということは、異文化の社会で信頼を得るためには重要なことなのだそうだ。それにしても、私はいままで「ルーツ」というも

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忘年会の日(エッセイ)

忘年会の日(エッセイ)

仕事というのは不思議なもので、やり始めるまでは嫌で仕方ないけれど、始めてしまえば案外スムーズに事が運んで、終わる頃にはもうちょっとだけやりたいと思っていたりする。そこには「慣性」に似た魔力が働いていて、私は日々仕事に取り組むということに未だに慣れない。もう30も手前というのに。

今日は仕事を早めに切り上げ社員同士で私的な忘年会をする予定で、定時の7時ちょうどに店を予約していた。同僚も上司も、早め

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「のんびりすること」(エッセイ)

「のんびりすること」(エッセイ)

昨日、日記に「二人で荻窪までのんびりと散歩して、西友と無印で買い物をした。」という一文を書いた。日記に「のんびり」という言葉を使ったのは、たぶん初めてだった。書いてみて初めて、私がこれまで「のんびり」することを無意識に自分に禁じていたのだと気づいた。

思えば、私の辞書に「のんびり」という言葉は無かった。常にやらなければいけないことに迫られ、時間がないと思いながら暮らしていた。私にとって、何もして

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つよがっている(エッセイ)

つよがっている(エッセイ)

昨日は、クリスマスイブだからと張り切り過ぎていたのかもしれない。今日の午前中は頭が重かった。11時頃に目覚め、焼いた餅と昨日買ったケーキを食べたあたりで、疲れてまた布団に入ってしまった。駄々をこねながら布団を剥がしにくる彼女と私は、さながら娘と父のようだった。

諦めて布団から這い出して、外出したときには14時すぎだった。二人で荻窪までのんびりと散歩して、西友と無印で買い物をした。私達は二人とも物

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プレゼント 交換編(エッセイ)

プレゼント 交換編(エッセイ)

今日はクリスマスイブだった。夕方頃に彼女と合流し、スーパーで食材を買いこみ、ケーキ屋に寄って家に帰ってきた。彼女が観たいと言っていたグレムリンを、二人でワーキャー言いながら観た。エンドロールが流れる辺りで米が炊けて、二人で手巻き寿司を食べた。

プレゼントにはアリスのお皿とマグカップをあげた。彼女が不思議の国のアリスが好きだったのを知っていたので、それがプリントされたセットをあげた。

逆に貰った

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M-1の感想 課長の場合(エッセイ)

M-1の感想 課長の場合(エッセイ)

今年で47歳になる課長的には、今年のM-1は「さや香」だったらしい。課長的には、ちゃんとした漫才で満足できたのは「さや香」だけだった。「ロングコートダディ」的な、大喜利的な笑いには付いていけなくなった。「ウエストランド」は、俺は悪口が嫌いだから嫌い。「ヨネダ2000」は賑やかで楽しかったそうだ。

年に数度しかお笑いを見ない私の上司は、雑談でその感想を教えてくれる。90年代の、松本人志の洗礼を浴び

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ZINE作りが難航している(エッセイ)

ZINE作りが難航している(エッセイ)

そろそろ帰ろうかと思っていた18:30頃、話の長い作家から電話が入ってきて、1時間近く話に付き合わされた。電話に相槌を打っていると、目の前でいつの間にか上司と新人の喧嘩していて、私は慌ただしい気持ちになった。後で話を聞くと、先輩(私)が仕事をしているのに新人がぼんやりしているのは何事だと、上司のカミナリが落ちたようだった。

今日は外出があって疲れた。12時頃に起床し、直行で国立新美術館で展覧会を

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ZINEを印刷してみた(エッセイ)

ZINEを印刷してみた(エッセイ)

途中まで進んだZINEを、とりあえずコンビニで印刷してみた。タイトルや目次は空白なので、まだ完全形とは程遠い。それでも、冊子の形になった原稿と対峙するのは感慨深かった。

毎日制作していると、だんだん自分の文章が面白いのかどうかわからなくなってくる。日記は主にスマホで読んでいるため、紙面で読む違和感もあった。全体像が見えてくるということは、自分の限界を突きつけられるということでもある。幻想から覚め

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プレゼント(エッセイ)

プレゼント(エッセイ)

楽天の通販を見ていたらついつい時間が経ってしまった。彼女に渡すクリスマスプレゼントを選んでいたら、ついたいあれもこれも欲しくなってしまった。2時間弱も湯船に浸かりスマホを見続けていたことになる。すっかりお湯も冷めてしまった。

恋人はどうにも物欲が無い。経済的にはとても助かるのだけれど、イベント毎にプレゼントを一から考えるというのは、それはそれで難しい。プレゼントを渡すという行為には、どうしても渡

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M-1グランプリ短評

M-1グランプリ短評

今年のM-1グランプリは、まあまあ面白かった。それは漫才の大会では無かったからだ。数年前、たしかマジカルラブリーが優勝した年に、「漫才論争」というくだらない論争が起こったけれど、今年はそれ以上にまったく漫才ではないコンビばかりだった。だから逆説的に、一番過激で面白いと思ったのは「さや香」だった。

面白い人同士が会話して順当に面白いのではなく、凡庸な人間同士の会話が「型」によって面白くなるのが「漫

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『RRR』(エッセイ)

『RRR』(エッセイ)

今日は午前中から彼女と映画を観に行く予定が入っていた。近頃は朝起きられない日が多くて午前中から待ち合わせを入れるのは気が進まなかったが、新宿での上映回が10時からの一度しかなく、頑張って早起きすることにした。朝になってみると意外とスッキリ起床できたが、のんびりと朝風呂に入っていたせいで、結局出発が遅れてしまった。ごめんとLINEすると、彼女も当然のように遅刻していた。

新宿の映画館はとても賑わっ

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