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無知の報道か、意図的な報道か

新型コロナに関する毎日のたくさんのニュース、特集、そしてそこで出される様々な専門家のコメントの数々。しかし、なぜか誰も指摘しない、大きな矛盾があります。
この国のメディアが無知で取材能力もないだけなのか、それともすべてが政府の指示か政府への忖度なのか、なんかそれだけで最近は国内のニュースを追いかけるのが馬鹿馬鹿しく思えてきています。

ひとつ目は、PCR検査にまつわる報道です。
日本の検査数が海外に比べて相当に少ないのは事実で、その理由として結果が出るまでの所要時間と人手を介して検査することによる検査能力ということが当初挙げられていました。そしてなかなか拡充が進まないということになると、今度は保健所の能力や最近では診療基準までもがやり玉に上がることになっています。メディアはそういった問題を報道し、検査や保健所の現場も取材して大変さも伝えてきています。さらには、検査数が少ないことを正当化するために、可能性の低い人に検査をしても正しい結果が得られにくい、偽陽性が増えるだけという論旨を展開します。(それはそれで嘘ではないのですが)

でも、おかしくないですか。SARSやMERSの感染を経験したシンガポールや韓国の防疫体制が優れているとしても、欧米での感染症対策が日本より進んでいるとしても、人口あたり日本の数倍から10倍以上も検査しているのです。もし人手で検査しているのだとしたら、検査技師が日本の10倍以上いるってことですよ。しかも、欧米はもちろん、ロシアやイランですら日本よりたくさんの検査をしているわけです。いくらなんでもそれだけの人員を平常時から抱えておけるわけがない、と常識的に思いませんか? 

​そうなんです。PCR検査を人手でやってる国なんてほとんどないんです。
ロシュなどの大手医療機器、検査装置メーカーが自動検査装置と検査キットを提供しています。どの国もこのような装置で自動検査しているのです。さらに、その自動検査の中枢となる装置は、千葉県松戸市にあるプレシジョン・システム・サイエンス社が提供しているとのことです。

「全自動 PCR 検査システム供給に対する駐日フランス大使からの礼状について」


こういうことをどこのメディアをどこも報道しないし、あたかも政府も医師会もがんばってる風の報道。この自動検査装置のための検査キットが日本では認可されていないわけですが、既存の感染症対策政策と検査体制を肯定するためなのか、新しいやり方を取り入れよう、検討しようともしない根本的な問題です。専門家からすら意見が出てこないというのは、かなり由々しき問題と感じます。
検体採取にしても同様で、今日になって検体採取方法として鼻の奥ではなく唾液を使う方法の検討について取り上げられていましたが、これも香港などではとっくに実用化していることです。この方法であれば、患者(被検査者)は自分で検体を取得して安全に封印することができます。

これらのことを総合すると、日本はPCR検査を自動化する技術を持っているのに、それらは海外でのみ役立てられていて、国内では検討すらされていないということです。私がちょっと調べただけでこれだけのことがわかるのに、それを取材しない、報道しないメディアというのは無知なのか、それとも・・・というわけです。

ところで、緊急事態宣言の解除って何なのですかね。
緊急事態宣言が解除されるようになってきたこと自体は、多くの人の外出自粛の成果ですから、それ自体は喜ばしいことだと思います。ただ、解除すれば人々の気が緩むのは当たり前で、「解除されたからといって気の緩みを防止しよう」というのはそもそも日本語として意味不明です。これはメディアだけでく宣言の解除や休業要請を解除する政府や自治体にも言えることですが。

そもそも、ある程度早期の抑え込みに成功した国で、新規感染者数がまだゼロにならない状態で緊急事態宣言を解いたところはありません。感染症は、特に感染力の強い感染症の場合は、いったん新規感染者をできるだけゼロに封じ込めないと経済活動を再開したらすぐに感染がまた爆発しかねません。せっかくここまで減ってきたのですから、あと少しがんばって新規感染者ゼロまで持っていくようにすればよかったのに、これでは元の木阿弥にならないか心配しています。
3月後半の気の緩みと海外からの帰国者が重なった悪いタイミングのようなことにはならないかもしれませんが、通勤・通学が始まれば感染拡大は避けられないでしょう。

あと、店には休業しなくていいよといいながら、外出は控えましょうは続けるわけですから、結局は補償をやめるだけってことにならなきゃいいのですが。

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