アローバース 第4期 感想
原案コミックスと同様にマルチバースの概念が世界観に導入され、アローバースが一大ユニバース化した第4期のアローバースの各作品感想。
『ARROW / アロー〈シーズン4〉』感想
お気に入り度:★★★★・ 4 / 5
シーズン4では超能力とも異なる「魔法」を操るダミアン・ダークが敵として立ちはだかり、過去最大の世界規模の戦いへと物語が発展していく。前のシーズン3はこれといったクリフハンガーもなくすっきりと幕を閉じていたが、『アロー』の物語の一段落と云えるのはこのシーズン4の方だろう。
シーズン4は、例年よりアクションが地味だったり、物語の中弛みが大きかったり、脚本がディグルの弟を持て余していたりなど、不満もそこそこある。一方で、『アロー』にしてはコミカルな場面が多いのが楽しかったし、終盤になるほど規模を増していく物語は抜群に盛り上がった。
オリバー・クイーンとしてもグリーンアローとしても人々の為に奮闘するオリバーや、健気に兄の手助けをするテア、オリバーの良き理解者となったローレルなど、これまで問題児だったキャラクターの成長っぷりは感慨深い。光の側であろうと藻掻きながらも、闇の面を捨てきれないでいるオリバーは、やはり他にない魅力を持ったヒーローだ。
『THE FLASH / フラッシュ〈シーズン2〉』感想
お気に入り度:★★★★・ 4 / 5
『フラッシュ〈シーズン2〉』は『アロー〈シーズン2〉』のオマージュ且つ対照的な内容だったように思う。『アロー〈シーズン2〉』のアローが不殺を誓って敵の命すらも救おうとしたのに対し、『フラッシュ〈シーズン2〉』のフラッシュは時に敵の命を奪う。特に最終話が印象的で、二人の対照性の徹底っぷりが興味深い。
いつの間にか死んだことになっているアイリスの母親や、久々に登場したかと思えばいきなり死亡するヘンリーなど、一部キャラクターの扱いのぞんざいさにはやや興醒めした。一方で、イオバードの化けたウェルズよりも性格が悪いと評されたハリー・ウェルズがチームフラッシュと次第に打ち解けていく様は丁寧に描かれており、しっかり心を揺さぶられた。
並行世界群〈マルチバース〉の設定は、本筋に関わるアース2だけでも、アローの正体がロバート・クイーンだったり、アトランティスとアメリカに国交があったりと、妄想を捗らせてくれる。マルチバースはアローバースの楽しさを無限大にしていた。
『レジェンド・オブ・トゥモロー〈シーズン1〉』感想
お気に入り度:★★★★・ 4 / 5
タイムマシンを持ってきた未来人 リップ・ハンター以外の主要人物が全員『アロー』と『フラッシュ』の脇役という、脇役オールスター作品。元の作品では「脇役」だった彼らが、本作ではアローやフラッシュと同じ「主役」として活躍していくのが熱い。
物語はスーサイド・スクワッドとドクター・フーを掛け合わせたような印象。様々な場所や時代を舞台とするので、毎回新鮮さがある。行き当たりばったりの結果オーライが基本のチームの活躍は、プロフェッショナルとは言い難いが、その破天荒さが何だかんだで楽しい。
『フラッシュ』ではキャプテン・コールドの腰巾着でしかなかったヒートウェーブは、本作で見事に良いキャラクターへと化けていた。シュタイン教授とジャックスの年の差の友情も素敵。育んだ絆の強さを発揮し、一人一人が主役としてラスボスと相対する最終決戦は凄く盛り上がった。
彼らが伝説になれたかは明言されないが、あらゆる時代や場所に突然現れては大暴れするんだから、良くも悪くも伝説にはなっていそうだ。
『SUPERGIRL / スーパーガール〈シーズン1〉』感想
お気に入り度:★★★★★ 5 / 5
『アロー』や『フラッシュ』の世界とは異なる世界を舞台に、スーパーマンの従姉のカーラが恋や仕事に追われつつも立派なヒーローに成長していく様を描く。カーラがヒーローの中のヒーローであるスーパーマンと比較され、時に非難されつつも、めげずに前に突き進んでいく様が小気味良い。
敵対種族に同族を皆殺しにされた過去を持つ火星人 ジョン・ジョーンズことマーシャン・マンハンターも、カーラに劣らず魅力がある。普段はその緑色の外見を隠し、第二の故郷となった地球を陰ながら守っているが、緊急時には本来の姿に変身して敵に立ち向かう。スーパーガールとは対照的なダークヒーローっぷりが格好良い。
戦闘シーンはアナクロ感が強いものの、時に映画さながらの迫力のVFXもあって、なかなかに楽しめた。毎回のゲスト悪役が爬虫類のような巨大エイリアンだったり空飛ぶロボットだったりと、如何にもモンスター的な外見をしている点もまた楽しい。
物語は『アロー』や『フラッシュ』と比べて軽めの作風だったが、つらい過去や悩みを抱えながらも前を向いて生きようとする登場人物たちの姿には、見ていて励まされた。カーラが普段マスメディアで働く身として怪力ではなく言葉の力で人々を救う終盤の展開なんて、素晴らしかったと思う。
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