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『シャン・チー/テン・リングスの伝説』感想

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古の時代から暗躍する中国の暗殺者集団 テン・リングスの後継者として育てられるも、今はアメリカで平凡に暮らしていたシャン・チーが、捨てたつもりでいた自らの過去と対峙する。

予想していた内容の遥か上行く面白さだった。等身大の魅力に溢れる登場人物たちが、カンフー映画とスーパーヒーロー映画を合わせたアクションをしつつ、熱くて泣ける物語を進めていく。マーベルヒーロー作品であると同時に、ディズニーの伝統的なファンタジーアニメーション作品っぽくもある。MCUで、いやアメコミヒーロー映画で一番楽しかったかもしれない。

主人公のシャン・チーが魅力的なのは勿論、シャン・チーの親友で相棒のケイティが凄く良い。ありがちな「主人公の意中の相手」とか「作品の華」とかいったヒロインではなく、あくまで主人公の友達。すごく身近に感じられて、もはや自分の友達でもあるような気がする。

ケイティは明るい人柄の一方で自己評価が低く、それ故に挑戦心に欠けており、唯一得意な運転を活かせるホテルの駐車係をだらだらと続ける日々を送っている。そんな中、シャン・チーの騒動に首を突っ込んだのを機に、新しい挑戦をすることになる。遂には新しい技でシャン・チーを含め世界を危機から救うに至る場面は、本作の数ある名場面の中でも特に盛り上がった。

テン・リングスは『バットマン ビギンズ』や『ARROW / アロー』、『デアデビル』でも見たことあるような設定の集団だが、それを率いるウェンウーはラーズ・アル・グールなどとは一味違う人物だ。強大な力を持ちながらも癒やされない哀しみを抱えていて、ただ単に悪い存在ではない。シャン・チーやケイティと同じように人間味があって親近感が湧く。

『シャン・チー』は1本の作品としてしっかり成立しつつ、『アイアンマン3』などの他のMCU作品のネタも多分に盛り込んでいて、ひょんな場面でもニヤリとさせてくれる。この一作だけでスーパーヒーローもカンフーも怪獣もクロスオーバーもあれもこれも観れる。場面ごとに「自分、そういうの好きです」となった。

難を云えば、殆どは中国語が話せないケイティに向けて話しているというていになっているものの、それでも『ブラックパンサー』でも見られたような「そこは英語で話さないのに、ここは英語で話すのか」という不自然な光景がいくつかある。もっとも、アメリカ人が英語でそのまま楽しめない作品をアメリカで作るのは中々難しいとは思うけども。

それにしても、モーリスかわいい。顔がないのにあんなにかわいく見えるなんて。調べたらわりと物騒な話もある中国の伝説の生き物ようだけど、それでもかわいい。ぬいぐるみほしい。

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