約束に振りまわされる春
「来年も一緒に桜見ようよ。」
「今度はさぁ、中目黒じゃなくて九段下とか行きたい。」
「あ! 上野公園でレジャーシート広げて、お弁当食べるやつやりたい!」
彼は去年、当たり前のように、今年の約束をした。
しかも、どこに行きたいとか、何をしたいとか、一年後の話をすでに決まったことみたいに話すから、つい面白くて笑って耳を傾けて聞いてしまう。
でも、思い出してみれば、『できない約束』をよく口にする人だったな。
早起きを約束したディズニーランドデートに遅刻してきたり、
おやすみの電話をする前に寝ちゃったり、
トイレの電気をつけっぱなしにしちゃうような人だった。
「そうか。
それなら今年の桜を一緒に見れていないことも都合がつく。」
そう自分に言い聞かせて、今年は人で溢れている九段下をひとりで歩いた。
ボートに乗っているカップルがうらやましい。
去年のわたしには、「寒そう」以外の感情はなかったのに。
満開の桜を見に、こんなにも人が溢れているのに、どれだけ探してもここに彼がいないことを確認して、家に帰る決意をした。
だいたい5~10分でポエムを書きます。
文章の練習で、不定期に書きたい気持ちだけはある。
よろしくお願いします。
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