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肘関節内側の解剖学

肘関節内側の疾患は内側上顆炎、野球肘、尺骨神経障害など様々です。今回は、これらの疾患を見るにあたり重要な肘関節の機能解剖、運動学について記載していきます。


1.肘関節の構成

肘関節を構成する骨は上腕骨・尺骨・橈骨です。上腕骨と尺骨で腕尺関節、上腕骨と橈骨で腕頭関節、尺骨と橈骨で近位橈尺関節を構成します。

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1-2.腕尺関節

上腕骨滑車と滑車切痕から成る蝶番関節です。肘関節の屈曲、伸展運動に関与します。伸展時に肘頭が肘頭窩に、屈曲時には鈎状突起が鈎状窩にはまり込むため安定した関節です。

1-3.腕頭関節

上腕骨小頭と橈骨頭窩から成る球関節です。肘関節の屈伸運動と前腕の回旋運動に関与します。

1-4.近位橈尺関節

橈骨頭環状面と橈骨切痕からなる斜軸関節で、前腕の回内外に関与します。


2.肘関節の運動

屈曲-伸展、回内-回外について記載します。

2-1.屈曲-伸展

肘関節の屈曲-伸展軸(回転軸と内外上顆を結ぶ線)は前額面、矢状面では傾斜しているので、純粋な屈曲-伸展ではありません。

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肘関節屈曲は、尺骨鉤状突起が上腕骨鉤突窩に入り込むことで制限されます。しかし、実際は骨が衝突する前に上腕筋・上腕二頭筋に制限されるので、軟部組織性の抵抗を感じます。


一方、肘関節伸展の最終可動域では、肘頭が肘頭窩に当たる骨性の制限となります。

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※Carry angleと肘関節の屈曲
肘関節にはcarry angleが存在しており、屈曲伸展の動きに関与します。Carry angleは個人差があり、肘関節の屈曲において前腕と上腕の長軸が重なるパターン、内側、外側に行くパターンが存在します。

肘の曲がりやすい方向がまっすぐか、内側か、外側にいきやすいか人によって異なります。もちろん伸展の方向も同様です。


2-2.回内-回外

近位-遠位橈尺関節で生じます。橈骨は楕円形の形をしており、純粋な円運動は生じません。そのため、前腕の回内では橈骨頭が2mm外側に動き、回外では2mm内側に動きます。


エコーで見ると良くわかります!


橈尺関節の動きとしては
・近位橈尺関節 spin movement
・遠位橈尺関節 wiper movement

を意識して関節運動を行いましょう!


3.肘関節内側の靭帯

肘関節内側側副靭帯(以下:MCL)は上腕骨内側上顆から尺骨滑車切痕に付着しており、前部線維、後部線維、横走線維の3つに分けられます。

①前部線維(AOL):内側上顆の前部より起始し、鈎状突起に付着
②後部線維(POL):内側上顆の後部より起始し、肘頭内側面に付着
③横行線維(TOL):肘頭から鈎状突起へ走行し上腕骨への付着はしない


MCLの外反制動について肘関節屈曲、伸展位によって異なります。

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