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痛みがどれだけ変化すると介入は有効と判断する? ~NRS・VASのMCIDから考える~

みなさんは臨床の中で痛みの評価はどのような方法で実施されていますか?そして、評価から得られた情報をどのように解釈していますか?


例えば、痛みの評価と言っても、NRS・VAS・VRS・FPSなど多くの評価方法が存在しています。これらの評価ツールはすべて信頼性があり有効であることが報告されています。


では、これらの4つの評価方法で得られた結果はすべて同じ「痛み」として解釈してよいのかというと、そうではありません。また、使用方法の違いやメリット・デメリットがあり、解釈に注意が必要な点もあります。


そこで、今回の記事では、先ほど提示した、NRS・VAS・VRS・FPSの評価方法について解説して、特徴を紹介させていただきます。そして、私が臨床でどのように評価結果を解釈しているのかについて解説させていただきます。


1.痛みの評価方法

1-1.Numerical Rating Scale(NRS)

0が痛みなし、10が想像できる最大の痛みとして、0~10の11段階に分けて、現在の痛みがどの程度かを数字で答えます。NRSは簡便に実施することができ、疼痛の変化に対する感度が高い評価方法になります。


また、NRSの特徴として、非疼痛増強因子(環境や心理面の影響)の影響を受けにくく、純粋な痛みの程度を評価できると考えられています。そのため、私はNRSを臨床で使用する頻度が多いです。


1-2.Visual Analogue Scale(VAS)

左端が「痛みなし」、右端が「想像できる最大の痛み」を表します。患者は、現在の痛みの程度をライン上にマークするように指示します。NRS同様、VASも疼痛変化に対する感度が高いです。


また、急性の痛みでは、VASの検査-再検査の信頼性が確立されています。 VASを短時間内に繰り返し評価すると、スコアの90%がほぼ同じになります。デメリットとしては、10㎝のメモリが必要であること、認知障害のある患者や年齢(若年-高齢)によってスコアを一貫して再現することができないことがあります。


VASはNRSと相関すると報告されていますが、VASの方が非疼痛増強因子(環境や心理面の影響)の影響を受けやすいと考えられています。


1-3.Verbal Rating Scale(VRS)

「0:痛くない、1:少し痛む、2:かなり痛む、3:耐えられない程痛み」の4段階で答えてもらう段階的スケールです。簡便に使用できるのがVRSの最大のメリットになります。また、VRSは痛みの干渉も反映すると考えられています。

干渉とは
・二つ以上の同一種の波動が同一点で合ったとき、重なって互いに強めあい、または弱めあう現象。痛みに関連する要因(環境面や心理面)を反映する評価方法と私は解釈しております、


一方、デメリットとしてVRSの評価項目の数が少ないため、項目の変化にはより大きな痛みの変化が必要になります。 そのため、VRSは痛みの変化の感度が低く、痛みの変化を過大評価または過小評価する可能性があります。


1-4.Face Rating Scale(FRS)

0が痛みなし、10が想像できる最大の痛みを表し、重症度を最もよく表す顔を指すように指示します。FRSは子どもの認知的負担を軽減することであり、非常に幼い子ども向けに設計されています。子供以外にも、使用することもできます。


FRSはNRSとの相関性は強くなく、VASとの類似した結果を示すと報告されています。つまり、純粋な痛みの評価というよりも精神的苦痛の影響をより強く受けたり、不快感を反映する可能性があります。


このように痛みの評価方法は多く存在し、それぞれ評価方法によって解釈が異なります。そのため、対象となる方のキャラクターや痛みの種別を考慮して、評価方法を選択する必要があります。


実際、私は臨床でよく用いるのはNRSとVASになります。そのため、今回の記事では「NRS・VASのMCIDから痛みがどれだけ変化すると介入は有効と判断する?」のかを考えていきたいと思います!


2.痛みがどれだけ変化すると介入は有効と判断する?

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