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週刊!リハマガ! ~整形リハビリの考え方~

マガジン名を変更し、内容もリニューアルしています!リニューアルした記事は値上げしますので、早めの登録がおすすめです! このマガジンでは運動器の文献から得た知識をまとめて発信しま… もっと読む
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#作業療法

足と膝 ~膝OAで膝だけ見ていませんか?~

高齢化と肥満の人口増加に伴い、変形性膝関節症(以下:膝OA)を経験する人がますます多くなり、全世界における65歳以上の40%が膝OAと考えられています。 膝OAでは膝関節の変形、疼痛、腫脹、機能不全など多くの症状を示し、その症状の出現に伴い、活動量の低下、歩行能力が低下し、人々の生活の質が大きく低下してしまいます。 深刻な問題を解決するために、膝OAのメカニズムの研究が継続的に行われており、多関節の影響を受ける疾患である膝OAは、隣接する関節の生体力学的変化と関連している

扁平足は改善するのか? 運動でどこまで改善する?

人間の足部は複雑な構造をしており、さまざまな組織がそれぞれの機能を果たすことで、身体が支持されています。 そして、足部の骨・靱帯・筋が内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチの3つのアーチを形成します。これら、3つ個々のアーチの働きも大切ですが、協調的なアーチの関係性も大切になります。 足のアーチの構造と動きの変化は衝撃吸収、体重伝達、移動中の推進力の提供などの足部機能に不可欠です。また、足底腱膜などの軟部組織と合わせた弾性特性により、床反力を吸収し、分散させることができ、筋

シンスプリント「最新知見から介入を考える!休めば治るからの脱却!」

シンスプリント(以下:MTSS)はランナー(長距離・短距離)に多く生じる疾患です。MTSSの特徴としては、脛骨内側部近位1/2~遠位1/3にかけて疼痛を訴えることが多いです。また、走ったり、ジャンプしたりすると同部位に疼痛が出現し、悪化すると疲労骨折に繋がることもあります。 シンスプリントのその他の特徴として ・女性に多い(中高生で多く発症) ・初期では運動開始時のみに痛みがある ・脛骨近位1/2~遠位1/3に疼痛、圧痛がある ・重度化すると安静にしていても疼痛がある(歩け

鵞足炎はなぜ生じる? ~解剖から発生機序を知り、評価-介入に繋げる!~

変形性膝関節症(以下:膝OA)では膝痛や歩行障害、筋力低下など様々な問題が生じます。中でも、膝OAで最も頻繁に見られた問題は関節液貯留であり、続いて鵞足炎(鵞足滑液包炎)と言われています。 つまり、膝OAでは関節内の問題と関節外の問題が同時に生じる可能性がある疾患になります。今回の記事では、関節外の問題である”鵞足炎(鵞足滑液包炎)”について、鵞足の解剖から発生機序を知り、評価-介入はどうするのかを考えていきたいと思います! 1.鵞足の解剖縫工筋、薄筋、半膜様筋の3つを合

私が実施しているアキレス腱の評価-介入

アキレス腱の障害はスポーツ選手だけでなく、一般的な生活をしている方でも生じる障害です。アキレス腱障害は一度発生すると、長期にわたって症状が残存する方も多くいます。 今回の記事では、アキレス腱の解剖から ・どの部位にストレスが生じやすいのか? ・なぜアキレス腱障害が生じるのか? ・アキレス腱の評価や介入方法はどんなものがあるのか? などを考えていきたいと思います! 本記事の内容は下記のようになっております。 1.アキレス腱の解剖アキレス腱は身体の中で最も強く、大きな腱です

ラセーグテスト使用方法の多様性 ~痺れ・痛み・硬さの解釈~

腰痛は一般的な筋骨格系疾患であり、私の勤めているクリニックでも、3割程度は腰痛で来院される方が占めています。また、腰痛に併存する症状として、下肢への関連痛(患者の約60%とも述べられています)があります。 下肢への関連痛は坐骨神経の走行に沿って出現することが多いため、坐骨神経痛と呼ばれることが多いです。坐骨神経は4番目と5番目の腰神経根と最初の2つの仙骨神経根が結合して腓骨神経と脛骨神経を形成し、坐骨神経として骨盤から出て、遠位まで走行します。 この坐骨神経を構成・走行す

小殿筋の多彩な役割

小殿筋は大殿筋や中殿筋の深層に存在し、関節包に隣接しているため、股関節の安定性に重要と考えられています。また、股関節の外転運動だけでなく、関節包の動きを引き出す役割もあると考えられており、小殿筋には多彩な役割が存在する可能性があります。 今回の記事では、”小殿筋”にスポットライトを当てて、機能解剖や歩行時の役割、関節可動域制限との関係性などを考えていきたいと思います! 1.小殿筋の解剖と機能小殿筋の起始は腸骨外側面の前殿筋線の前方で、停止は大転子の前面(Anterior

1st外旋制限のみ? ~CHLは多方向のROM制限に関与する!~

凍結肩は人口の2%~5%が罹患していると報告されており、女性に多い疾患です。凍結肩は50~60歳代に最も多く、ピークは50代半ばです。 凍結肩の最大17%では、5年以内にもう一方の肩にも発症する可能性があります。 凍結肩は自然回復すると考えられていますが、関節包の線維化や変性の程度によって、症状が何年も続くこともあります。Manske RCらの報告では、「痛みと可動域制限からの回復には通常1~3年かかり、最大でも20~50%の患者が持続的な痛みとROM制限に悩まされている」

足部から考える膝関節の痛み

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外側上顆炎の治療をさらに詳しく!

こんにちは! 前回は外側上顆炎について、解剖学や評価、介入について記載ました。 この記事ではさらに詳しく治療・介入方法について、考えていきたいと思います! 今回は外側上顆炎で介入すべきポイントを「3つ」お伝えします! それでは早速行ってみましょう! 1.外側上顆炎の病態の復習まず外側上顆炎の簡単な復習からです。 外側上顆炎は慢性ストレスに伴い発症し、腱やコラーゲン線維の変性、瘢痕形成、血管増殖など様々な病態が確認されています。 主な症状として 外側上顆炎のリスクと

結帯動作の基礎 ~正確な評価方法は存在するのか?~

肩関節の可動域制限があると頭上に手を伸ばす動作や背中に手を回す動作ができず、日常生活に支障をきたすことが多いです。特に、拘縮肩では肩関節の可動域が著明に制限されるため、結滞動作も制限されてしまいます。 結滞動作は男性ではベルトを着ける際に、女性では下着をつける際に必要な動作となります。結滞動作は内旋可動域が重要と考えられており、「結滞動作の制限=肩関節内旋可動域制限」と考えられていることが多いです。 確かに結滞動作に肩関節内旋可動域は大切です。しかし、結滞動作は肩関節、肘

アキレス腱断裂 評価・介入編

前回はアキレス腱断裂の基礎編について記載しました。今回の記事はその続きになります! 疫学・原因・臨床的な特徴を知っていても、評価・介入ができなければ頭でっかちになってしまいますよね💦 前回の基礎的な内容をしっかり理解したうえで、この記事を読んで頂けると嬉しいです。 前回の記事はこちらより確認ください! 5.アキレス腱断裂の評価問診、視診・触診、筋力、関節可動域、整形外科的テストなどアキレス腱断裂を評価する方法は多くあります。一つ一つ説明していきます! 5-1.問診ア

足根管症候群がわかる!

足部から踵にかけての疼痛や痺れは多様な原因があり、評価を行っても確信できる原因にたどり着くことは少ないように感じています。 例えば、足部に疼痛や痺れを出現させる疾患として、以下のようなものが挙げられます。 今回は稀な疾患である足根管症候群について説明していきたいと思います。 足根管の発生率は報告されていません💦ですが、男性よりも女性の方が発生率は高いと報告されています。私は足部の形が影響しているのではないかと考えています。 また、どの様な年齢にも発生し、20~40%が

後脛骨筋機能不全症(PTTD)~病態・症状・リスク・ステージ分類~

PTTDは足部の変形が生じる代表的な疾患です。PTTDでは入院することはないので、クリニックや外来診療がある病院で出会う可能性がある疾患です。 しかし、PTTDの診断でリハビリ依頼が出る事や介入することは少ないです(私見)。私も整形外科に勤務してから、一度もPTTDの診断でリハビリ介入したことはありません。 なぜかというと、PTTDの初期に受診される方は少なく、重度化してから来院されることが多いです。PTTDが重度化すると、足部の変形が著明になっていることが多いので、「足