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整体院の店長を降りて、店舗を持たないボディメイクのサロンをはじめた。


開業を決意するのに7年弱かかった。

2021年3月 34歳の誕生日に開業届を出した。
同時に、勤め先の整体院の店長を退任。

これからは1人のスタッフとして勤務先に残り、個人でフィットネスインストラクターを生業にしていくことにした。

「お店を構えること」「完全に独立すること」「整体一本でやっていくこと」
整体師として女性として、生き方や働き方を探し続ける中で、私なりに考えたことを記録します。
将来に悩む一人の整体師に届きますように。

YUKI


◼️29歳からの進路


「"好き"を仕事にする」「やりたいことをやる」
それが幸せ。

そう思いながら入ったこの業界でちょうど2年経った頃、大きく迷いはじめた。
仕事はとても充実しているし、とてもやりがいがある。

で、「その先」は?

その時の私の中には「独立をして開業する」「この会社の中で上を目指す」という選択肢しかないのだろうと思っていた。
どちらも素晴らしい道だと思う。
でも私は"施術"がしたいのであって"経営"をしたいという気持ちがないし、そんなモチベーションで働いてもきっとどこかで息切れしてしまう。

好きを仕事にして働き始めたはずなのに、将来のこととなるとなんでこうもギャップが生まれるのだろう。
ちょうど29歳の頃。
自分のライフプランも同時に考える。

やりたい仕事をしたい。
でも豊かな人生でありたい。

行き先が決まっていないと一歩も進むことができないタイプの私は
長い間、気持ちが揺れていた。


◼️自分探し?


将来についてモヤモヤと考えていても落ち着かないので、書店で本を漁ったり、ひとり旅をしたり、カフェで文章を書いたり、よく飲みに行っていた。
家で一人ぼーーっとする時間が怖くて、休日はほとんど家にいなかった。
そのお陰で怪しげなセミナーや団体を紹介されることも何度か…。(幸いどれも未遂。その人たちを否定するつもりはないけれど、私には合わない。)

逆にいいご縁もたくさんあって、田舎から上京して友達もそれほどいなかった私は、そんな環境の中での暮らしがとても楽しくて。
たまに将来への迷いがありつつも、下町での生活と独身を謳歌していた。
自分探しのフリをしていたのかもしれない。


◼️義務感から趣味、そしてオタク


仕事と下町生活を楽しみつつ、ずっと続けていることがあった。
施術の精度を上げるために始めた自宅での筋トレがかれこれ7年。

自分の施術を磨くために、それと体型維持のために淡々と宅トレをしていた。
長く続けると思いも寄らぬ発見もあったりするもので、自分の体で感じた変化を論文や書籍で答え合わせをしたり、文章に起こしたりした。
私の中のオタクが顔を出してきた。

それまで無趣味で飽き性だった私に、長年続けられるものができた。
いつか、レンタルスペースでも借りて整体とトレーニングが一箇所でできたらなー。と、ぼんやり考えていた。


◼️休業

2020年
新型コロナウィルスが流行して、2ヶ月の休業。
生活が苦しくなり、いよいよ本気で生き方・働き方を考えなければと焦った。
今の職場で正社員として守られている自分、対面でのサービスしかできない整体師としての限界。
動こうにも動けず、気が滅入りそうな時期だった。(というかちょっと病んだ)

でもこの時期に底辺まで落ちたからこそ、「本当にやりたいと思うこと」「手放してもいいと思えること」がわかった気がする。

6月
営業を再開してからは日々の業務に追われ、あまり考える時間がなかった。
フルタイムで朝から晩まで施術をしながら(なおかつ家事もしながら)、片手間に将来のプランをたてるなんて器用なことができなくて、とにかく一時的に給料が減ってもいいから時間を確保したかった。

年明け
店長をおりて出勤日数を減らしたいと社長に伝えた。


◼️connecting the dots

勤務形態について社長に相談したすぐ後に
全く別の業種に転職した元同僚から1通のLINE。
「久しぶりだなー。元気かな?」と軽い気持ちで開けた。

「在宅のサラリーマン向けにzoomとかでストレッチや体幹トレーニングの講義できたりする?」

驚いた。
出勤日数を減らすことも、働き方を変えたいと思っていることもまだ誰にも話していなかったのに。
どこかで見ていたのだろうか?と思うほどのタイミング。

それに、思い返してみたら
高校生の頃の将来の夢は「スポーツインストラクター」だった。
(すっかり忘れていたけど。笑)

zoomで人に教えたことなんてないし、自信がなくて少し怖かったけど
私が尊敬する人たちの顔を思い浮かべたら全員口を揃えて「飛び乗れ!」って絶対言うと思う。
きっと失敗することよりも、点と点が繋がるチャンスを逃すことの方がリスクなんだ。

即、OKの返事をした。


◼️開業へ

元同僚からの誘いで数回のグループセッションを重ねた頃、この先どうしていきたいのか答えが出た。

施術を続けたい、フィットネスを仕事にしたい、店舗の運営はしたくない、人を雇いたくない、場所に縛られたくない。

やりたいことだけじゃなくて、やりたくないことも考えていい。
というか、絶対に考えた方がいいと思う。

お店を構える、独立開業、整体一本。
昔の私が考えていた道は、結果"どれもやりたくなかった"。
だけどやりたいことだけを考えてしまうと、今ある道から選択するしかないと思っていたかもしれない。
そうなると結局、それは"やりたくないこと"になってしまう。

2021年3月 自分への誕生日プレゼントを開業届にしようと思った。

まだスタート地点に立っただけで何も偉そうなことは言えないけど、7年弱進路に悩んだ整体師の記録。
たった一人の人に届きますように。



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