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『失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!』の感想

 コテンラジオの影響で、歴史関係も少しずつ読み始めていたので、子供向けではありますが歴史的偉人についての本を一つ紹介します。
 大野正人さん著の『失敗図鑑』です。

 アインシュタイン、手塚治虫、ライト兄弟…数々の偉業を成し遂げた歴史的偉人の失敗を紹介しています。子供向けなのでイラストも多く、かなり字も大きくなっています。

 とことどころ、偉人の失敗として紹介するエピソードに疑問点がありつつも、「偉人=清廉潔白な精神を持ち、能力が高く、頭の良い完璧な人間」というイメージを払拭しつつ、この先を生きる子供たちに失敗から学ぶことの多さを伝える、という点ではいい感じにまとめられているなという印象です。

 この手の歴史的偉人のやらかしとして、日本の文豪とかは特に多いですよね。太宰治の川端康成への悪口とか、
「小鳥を飼い、舞踏を見るのがそんなに立派な生活なのか。刺す。」
ですからね。殺意高すぎませんか。

 ちなみにこの本で紹介されています。他にも多くの文豪が残した悪口とかまとめてて、「文豪って悪口にも才能発揮しているな」と月並みですが感じました。

 特に好きなのはオードリー・ヘップバーンの章です。彼女は戦時中の食糧難から体質的に太れなくなり、自身の容姿にとてもコンプレックスを抱いていました。ですが、自身を美しく見せることができるようにメイクやファッションを研究し、自分の魅せ方を常に探求していたそうです。

 このことから、自分のコンプレックスから目をそらさずに見つめ直し、自分のコンプレックスを好きと言えるようにしていく大切さを説明している点がとても感銘を受けました。

 以前、わたしは「ダメ人間からの解放」という本を読んだときに、「自分をダメだと思う点を無理に補おうとしても、結果求めているものとは異なるため、徒労に終わる」ということに驚きました。ですが、すぐに納得もしました。
 つまり、無理に何かで補おうとする行為は、自身のコンプレックスに根本から対処するのではなく傍目には見えなくなるようにしているだけで、本当の意味でそのコンプレックスを克服していないからではないかと思ったのです。

 ここではそこまでは書かれてはいませんが、コンプレックスから目をそらさずにじっくりと見つめるというのは、本質的にコンプレックスと向き合い対処することなのではないかと思います。

 私も、自分にはたくさんのコンプレックスがあります。具体的に挙げるのはやめておきますが、それらをすべて自分が納得するものにするのは難しいですし、そういう弱みを持っている自分を認めることも、コンプレックスと向き合うことになるのではと思います。

 実際にそう思えるまでは時間がかかるとは思いますが、ぼちぼちやっていけたらいいなと思います。

 子ども向けの本でありながらも、これから生きていくのに大切になる考え方やそのヒントをもらえるいい本だなと思います。ただ蛍光色がかなり紙面を構成しているのでちょっと目がちかちかすることがあるかも。

 それでは明日もみなさんにとって良い日でありますように。
 また明日。

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