それって本当に「ビジョン」ですか?

こんにちは。えのもとです。前回の自己紹介noteにスキをくれた方ありがとうございます。人の目に触れただけで嬉しいです。

前回のnoteでは、やっぱり最終的にビジョンとか価値観大事だよね、って抽象的な話をしたので、今回はそれって本当にビジョンなの?という話を具体例も混ぜてしたいと思います。

そもそもビジョンってなんだ?

ビジョンを語るときによく言われるのが、下記の3つです。
・ミッション
・ビジョン
・バリュー

これの定義をまとめると、
>ミッションとは、使命、目的という意味です。
>「ビジョン」は「ミッションが実現した姿(将来像)」と言い換えることができます。
>バリューとは価値、価値基準のことです。(組織や企業に所属するメンバーにとっては価値基準が明確化されることで、将来(ビジョン)に向かうことができ、さらにミッションの実現につながります。)

僕なりに解釈すると、
ミッション:なぜこの組織が存在していなければいけないのか?存在目的。
ビジョン:存在目的が未来のある時点で実現できている状態を、具体的に定義したもの
バリュー:存在目的を持つ上で、コンセプトがあるはずです。それを言語化すると生まれる自然と価値基準や行動基準のことです。それが必然的に、ビジョン達成のための行動につながります。

なので、全てはミッション(存在目的)から始まると思っています。
本当に心から貢献したいと思えることを言葉にすれば、それが存在目的になります。

よくあるのが、利益や売上のためにミッションやビジョンがある方がいいだろう、ということでミッションやビジョンを作成する人です。
しかし、それでは目的は利益や売上になります。そうではなく、組織の心からの最終目的を存在目的=ミッションに置くことが重要になります。

利益や売上のために作るために、俗にいう「ミッション・ステートメント」を作るというのは、ミッションが存在理由=最終目的である以上、それ以上の理由はないはずなんですよね。
なので、「ミッション・ステートメントを作る」という言葉自体が矛盾をはらんでいて、問題が再帰するするといえます。

※経営塾とか自己啓発セミナーでミッション作ろう!とかって話を吹聴している人でもいるんでしょうか。

世界の一流企業のミッション

■Google

「Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすることです。」

Googleのミッションは、ミッションの条件の1つでもある消費者や社会にどんないい影響を与えるのか?が入っています。

これがないと、正直別にその企業や経営者のために社会が存在しているわけではないので、別にどうでもいいんですよね。
そして、こうしたミッションを掲げてそれが戦略にも落とし込まれていると、自然とサービスも本質的でユーザーに受けるものになります。

例えば、Googleのyoutube買収は赤字拡大からすごい批判がありましたが、現在Googleの収益の86%を占める広告収入のうちYoutubeの成長が大きく貢献しています

そんなyoutube買収時のコメントは、
「我々のミッションは、世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすることであり、動画は紛れもなく情報である」
と語ったらしいです。

ミッションに忠実に施策を進めることで、結果的には社会の反響を勝ち得て、収益などの結果にもつながるという本質的な例の1つと思います。

■Facebook

"Give people the power to build community and bring the world closer together."
「(訳)共同体を形成する力と、世界をともに近づける力を人々に与える」

Facebookのミッションも、特徴の1つである具体的かつ抽象的という要素を押さえています
ミッションの特性として、
「それって、それをやらない企業ある?」
って言われない具体性がありつつ、施策レベルにならない抽象性を兼ね備えたものと思っています。

抽象的なことを言っているのに、一般的な内容でなく。
具体的なことを言っているのに、単なる施策ではなく広がりがある。
一流企業のミッションはそのような本質があると思います。

■スターバックス

「人々の心を豊で活力あるものにするために — ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」

スターバックスのミッションの本質を捉えている部分は、ミッション達成した世界が絵になって想像でき、インサイトを含むためストーリーがあって社会を巻き込むということです。

ひとりのお客様・一杯のコーヒー・ひとつのコミュニティという言葉は、戦略方針として有名な「第3の場所」も想起させ、自由で多様な社会になったが故に孤独になって居場所を欲している、というインサイトの洞察があります。

■WeWork

「ただ生きるためではなく、人生を満たすために働く世界を創造する」

weworkのミッションは、ある意味社会への提言です。
時代はこう変わっていくべきだろう、という現状生きる人には否定とも捉えられないことをメッセージにしています。

僕の価値観とすごく共感するミッションであるという贔屓目を抜きにしても、weworkのミッションは素晴らしいです。
「ワークライフバランス」ではなく、「ワークアズライフ」「ワークライフインテグレーション」という価値提言をしています。

そしてキャズム理論ではないですが、それはいずれ市民権を得て、(=カルチャーになり)イノベーションとなりうるものだと思います。

■メルカリ

「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」

国産企業のミッションも1つ。メルカリのミッションも、具体性・抽象性を兼ね備えていますし、直接的には社会への価値を読み取りづらいですが、参照文には本質的な点が伺えます。

「世の中では多くのモノ・サービスが生産・販売されていますが、誰かには価値があるのに捨ててしまうなど地球資源の無駄になっていることが多いと私たちは考えています。「捨てる」をなくすために、個人間で簡単かつ安全にモノを売買できるフリマアプリ「メルカリ」を日本とアメリカ、そしてイギリスで展開しています。」

「捨てる」という問題に対する、モノが飽和した社会に対する提言・インサイトをついているんですね。

これってミッション?と思う企業

ここからは僕が少し疑問に思う会社のミッション・ビジョンを紹介します。
※もしかしたら実際は素晴らしい理念をお持ちでそれが表現できていないだけかもしれませんが、僕の友人から聞く文化や価値観が少しアレなところを裏付けに取り上げてみました。

■サイバーエージェント

「21世紀を代表する会社を創る」

おそらく好きな人が多いであろうサイバーエージェントを取り上げるのは怖いですが、こちらのミッション・ビジョンは少し疑問です。

21世紀を代表する会社は、別に作ろうが作るまいが社会にとってはどうでもいいことで、重要なのはそれによって社会をどう変えるのか?というメッセージです。

実際に会社に集まる人も、なんかノリが良くてチャラそうなことをしたい、仕事も遊びも3倍楽しむみたいなIT企業の悪い部分が出てきている感じがします。(偏見も大いにありますが、何人かの知り合いを観察して思うことです。)
サイバーエージェントは、世間が思う広告代理店がしてそうなことを、広告代理店以上にしている会社という印象です。
ミッションが。そういう文化にも出てしまっているのかな?と勘ぐってしまいます。

■楽天

「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」

こちらも取りざたするのが心苦しいくらい成功企業ですが、それをしない会社ってある?というのと、んで結局どうすんの?という抽象性も具体性もないミッションです。

「イノベーションを通じて、」という割には、最近やっている事業はメルカリやairbnbのパクリのようなサービスばかりで、それはイノベーションじゃないでしょう、と思うようなものばかり。

実際現場の方に話を聞くと、数値管理ばかりでKPIを追うだけらしく、楽天市場のメルマガなどを見てもいかにも短期的数値を追うだけという印象しかしませんね。
Amazonに負けそうになって急にAmazonのような方向性に舵を切ろうとしているような感じもあり、それはミッションのなさが悪い意味で浸透してしまっているのではないか?と思います。

■リクルート

「私たちは、新しい価値の創造を通じ、社会からの期待に応え、
一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す。」

抽象性・具体性問題もありますが、ストーリーも絵も何も描くことができません。
「一人ひとりが輝く豊かな世界」というものが、よくある陳腐な学校の標語のようで残念です。

リクルートも何人か知人がいますが、
「働き方改革を推進している、と雑誌などのインタビューでは答えながら実際は終電や休日まで働くのが常態化している」
「クライアントとの飲み会ではとりあえず脱いで盛り上げる」
など、営業組織的な考えが抜けていないと思います。

※働き方改革は徐々に推進はしているようです
※営業組織=悪ではないです

■DeNA

「世界に喜びと驚きを」
「インターネットやAIを活用し、永久ベンチャーとして世の中にデライトを届ける」

welq問題などで騒がれたDeNAを見てみると、やはりwelq問題で取りざたされたKPI管理主導が伺える抽象性・具体性のなさ、社会へのメッセージのなさがあります。何も社会に提案していません。

DeNAが「永久ベンチャー」になろうがなるまいが、正直どうでもいいんですよね。
DeNAはモノヅクリで稼いでいくという方針が見える分上記3社とは違いがまだ見えますが、あくまでインターネット・AIなどなにかビジネスチャンスを模索して金稼ぎが目的、という印象です。

■ソフトバンク

「「世界の人々から最も必要とされる企業グループ」を目指して」

これも挙げると叩かれそうですが、「必要とされる」のは結果として企業にとっては当たり前のことで、必要とされない企業なんて倒産していくので、いないんです。
「必要とされたい」ってちょっと病んだ女子高生のツイッターのような言葉ですよね(笑)

そして、そこをビジョン・目的に据える必要があるのか?とても疑問符があがります。
ソフトバンクの社風も中の人からはあまりいい噂は聞かないですが、こういったところが出ているのかもしれません。

さいごに

いろいろ書きましたが、僕の思うミッション・ビジョンが少しでも伝わったり、
「これってミッションなのかな?」
「これはミッションじゃないと言ってるけど、本当にそう言える?」
など、考えるキッカケになれば嬉しいです。

あくまで取り沙汰した企業は私個人と、私の周りのその会社に勤める人の偏っている可能性のある意見を挙げているだけですので、鵜呑みにせず違うと思ったらコメントでもいただければと思います。

ではまた!

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