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プロダクトマネージャーが2ヶ月でエンジニア・デザイナーを採用した話

こんにちは。えのもとです。
新しい会社でプロダクト組織を立ち上げることになり、一人目のエンジニア・デザイナー採用を2ヶ月弱で集められた話をしたいと思います。

背景を説明すると、今いる会社はまだまだベンチャー企業でプロダクト組織も社員は自分ひとりで、あとは外部のベンダーやフリーランスと協業しております。
そんな中、プロダクト内製組織を作るために人事がない中、プロダクトマネージャーの僕自身が採用人事をまるっとやって、採用ができた話です。

1.採用コンセプトを作る

まず初めに実施したことは、全体戦略・プロダクト戦略・組織開発方針を立てることです。
社内の全体のミッションやらビジョンやらがり、それを踏まえてプロダクト戦略や組織開発としての戦略があります。
プロダクトや採用って基本はミッションのための手段であるというスタンスです。

それができている前提で、採用のコンセプトを作ります。
とはいっても、下記をまとめる感じです。

・理想のプロダクトを作るために、どのような組織が必要か?
・そのような組織にする入り口部分(採用)はどのような形であるべきか?

組織のバリュー(価値観)をまずは定義しました。
※実際は具体的な行動事例まで落としましたが、こんな感じに決めました。

理想のプロダクト組織は、ARTな組織
Autonomous(自律):自立した主体的なメンバーによるチームワーク
Resonance(共鳴):ミッションに共鳴した人のコミュニティ
Trust(信頼):互いに信頼していて性善説で最低限のルールがある

そんな組織を実現するために、採用→オンボーディング→評価制度→組織運営などなど、組織設計を一旦固めてみて、必要な採用の形を決めました。

Not 面接,But 面談
・弊社側は「盛って」話をしません。すべて正直にお伝えします。
・なので、是非率直に聞きたいことを全て話してください。
・マッチ・ミスマッチの箇所も正直にお伝えします。

※お互い信頼関係を持って、ミッションへの共感をした自律的なARTな人を求めるなら、下記のような思想が必要と考えました。
・一般的な面接であるような、会社側が上で面接を受ける人が下のような、一方的な「評価」をするようなことは害悪でしかない
・終身雇用が前提で入ったあとは嫌々働くことが前提だったなら、会社の情報を盛って伝えて「騙して採用する」こともありだったかもしれませんが、今は人材の流動性も高く、いかに心からコミットして仕事ができるか?が大事なので、ミスマッチの解消は事前にきちんと話したおくほうがいい
・求職者側も内定を取ることが目的では意味がないし、自律的にキャリアを作っていく人は、自分のマッチ・ミスマッチを把握するために企業と「対話」できる人であるはず

2.採用方針をつくる

上記を決めた上で、戦略というと大げさなので採用の方針を考える。
ここで実施したことは、採用マーケティング戦略・会社価値の整備・人材要件の整理です。

よくあるのは採用のためにKPIを置いて、ひたすら数で稼ぐことですが、予算も必要ですし、そもそも魅力的でない会社にいくらPVや面談数を集めても人が集まるはずがないと思ってました。
(ここらへんはプロダクトマネージャー的な考えかも。)

そこで、採用の目的を達成するためにどのような人がターゲットなのか?うちの魅力はなにか?を整備しました。

まずは、ターゲット像・抱える課題を明確にします。

デザイナー:
ワークショップやセミナーなど、付箋を使って議論したり、プロトタイプを作ったり、デザイン思考的な進め方が好きな人。今風な働き方をしたかったり、デザインをもっと上流から実施したり、デザインの力でもっと大きなことがしたいと思っている。

エンジニア:
スクラムやアジャイル開発、Devopsなどモダンな進め方を好む人。今風な働き方をしたかったり、自分で開発環境の選定から進めたかったり、上流から議論して開発要件を決めたり、テクノロジーで社会にインパクトを与えたいと思っている。

そして、そんなユーザーが課題に感じていそうで、うちの魅力になりそうな訴求ポイントをまとめます。

・自由な働き方ができる
・上流から0→1の立ち上げをしていける
・組織開発にも携われる
・卓球業界というアナログな業界をテクノロジーの力で変えていく面白さ

これに対して、実態と沿うように社内環境も整備しました。(就業規則の変更や、オフィス環境など)

そして、さらにここから人材の要件を明確にしました。絶対マスト・マスト・ベター要件に分けます。(全部入れると年収1000万でも足りなくなるのが、あるあるなのでw)

【デザイナー】
■絶対マスト要件
・ビジョン・価値観への共感
・ユーザー体験を元にしたデザイン(ユーザー体験踏まえた情報設計)
・プロトタイプツールを使ったプロトタイプ制作
・コミュニケーション能力
・チームで仕事ができる方
■マスト要件
・デザインコンセプト作成
・ブランドイメージ作成
・体験設計(UXの調査から結果をまとめる)
■ベター要件
・ビジュアルデザイン
・マークアップ

【エンジニア】
■絶対マスト要件
・ビジョン・価値観への共感
・プロトタイプを実装に落とし込める開発力
・アジャイルに開発ができる方
・コミュニケーション能力
・チームで仕事ができる方
■マスト要件
・リファクタリングなどを考慮して進められる
・ユーザー体験に実装面で意見ができる
・外部開発のディレクション
■ベター要件
・すごい開発力
・AIとかブロックチェーンの知見

3.採用計画を立てる

ここに来て、ようやく採用の手法などを具体化します。
下記の採用手法について、どれがマッチしているのか?を比較検討しました。(noteに表をつくることできれば詳細に出したかったんですが、割愛します)

自社リクルーティング:自社で採用サイトを作る。良くも悪くも自社次第
求人広告:掲載課金でリクナビやマイナビに出す。多くにアプローチできるが、知名度による
合同説明会:リアルな場で訴求もできるが工数や知名度によってしまう
人材紹介:エージェントを利用。工数少なく・リスクも少ないが、有名企業に流したりすることがあり、単価も高い
エグゼクティブ・サーチ:ヘッドハンター活用ピンポイントで優秀人材狙えるが、採用単価が高い
ダイレクトリクルーティング:facebookやlinkedinで直接話をかける。採用担当の工数がかかり、確度も人それぞれなものの、コストはかからない
ソーシャルリクルーティング:SNSを使ってマーケティングする。良くも悪くもマーケティング力次第。
スカウト型採用:人材プールを抱えたサービスで、採用担当がスカウトをする。比較的コストを抑え、ミスマッチが軽減ができるが、工数がかかりやすい。
リファラル採用:社員の紹介で人を採る。良くも悪くも人脈次第。
ハローワーク

ここまで来て、社内で比較検討した結果、スカウト型採用をチョイスしました。
・ベンチャー企業で知名度で勝負ができない
・緊急度高く、時間をかけられない(3末までに内定が目標で1月にPJ自体が始動しました。)
・ミスマッチ解消ができる

4.採用手法を選ぶ

スカウト型採用で、下記の3つのサービスを比較検討しました。
結果、wantedlyとgreenを選んで進めることにしました。理由は、実行スピードとパイの多さです。

ビズリーチ:CTO/CDO軸→母数自体は少ない。有料なので熱量は高い
wantedly:プールとして少し弱い→長期化しやすい傾向
green:エンジニア・デザイナー軸のスタートアップ

5.面談候補を集める

そして、実際にスカウトを送ります。
ここで使用していた文面は下記のようなものです。スカウトなので、自己紹介・採用方針・ミスマッチがないか話すをメインにしておりました。

はじめまして、こんにちは!株式会社●●の榎本知史と申します。
この度は弊社に興味を持っていただきまして、ありがとうございます。

■カンタンに会社の説明
弊社は、「卓球で社会をつなげる」ということをミッションに、テクノロジーを使って卓球業界を変えていこうとしております。
実は卓球業界(スポーツ業界全体ですが)は、非常に「遅れた」業界です。
大会の運営は紙ですし、練習相手探しも人づてに教えてもらわないと探せなかったりなどテクノロジーによって大きく変わろうとしております。
そんな中、新規で立ち上げたR&D室ではそんな負を解決するデザイナーを募集中です。
スポーツ業界ですが、ITに理解のある役員のもと上下関係なくフラットに働き方なども自由度高く進めていく土壌が整っております。

■今後の流れ
よろしければ、チャット上でミスマッチがないか?をお話しませんか?
今後どのようなキャリアを歩まれたいか?・仕事選びで譲れないポイントはなにか?について是非お伺いしたいです。
また、転職の上で譲れないポイントがあれば事前にすり合わせさせてください。

※弊社の採用方針
弊社は面接という形式は一切取っておらず、お互い本音ベースでミスマッチがないか話し合う面談形式を取っております。
一方的に企業側が評価するのではなく、お互いフラットな立場で率直にお話し合うという形です。
入社してミスマッチがありますと、会社側としても困るのはもちろんですが、入社された方のキャリアや人生が損なわれてしまうのが非常に問題があると感じております。

そこで、是非率直にお互いのあっている部分・あっていない部分を確認したいというと思っております。
面接のための資料なども特段不要でして、より理解につながる資料をいただければ幸いです。
お互いがwinwinになる関係をまずは模索されていただければと思います。

ご確認よろしくお願いします。

6.面談

面談が最も重要です。スカウトなので、まずは自己紹介を綿密にする・うちをさらに魅力に思ってもらうように正しく伝える(業務内容は特に)・求職者の求めるものを把握してミスマッチがないかお互いで模索することを実施しました。面接的なやり方は一切取らない方針でいきました。

聞いてよかった質問をまとめます。

・どういうキャリア観を持ってますか?
・今まで一番テンションが上がったPJってなんでした?
・こんなPJやチームや嫌だってありますか?
・今までの職場でストレスだったことはなんですか?

スカウトでふんわり始めるので、事務的な話も聞いておきます。

・他どこを受けているか?
・条件面で年収などの希望があるか?
・いつまでに転職を決めたいか?

おわりに

あとはミスマッチが少ない方が、お互いにとっていい方なので採用します。
最後に反省も踏まえ、このやり方の振り返りをしたいと思います。

■良かった点
・採用手法に魅力を感じてくださる方がいた(面談でミスマッチ解消しましょうで、お互い緊張なく進める)
・採用マーケティングで、そもそも自由な働き方など魅力があったものを効果的に伝えていけたため、効率よく人を集めることができた
・スカウト型採用をとったのは正解。面談でうまくミスマッチを解消して、スピード感持って採用を進められた。

■悪かった点
・ふんわり面談形式で進めすぎてしまい、業務内容などの話が薄いままになってしまうことがあった。(求人票などを明確に出さないので)
・スカウト型採用は、プール次第だがgreenのプールには比較的レガシーな人材が多く、結局wantedlyから内定がどちらも出た(greenはモダンな価値観のlinkedinアカウントを持っている人などがいないイメージでした。)
・キャリアを自律的に判断できる前提の人でないと、内定が目的で自分を偽って進めてしまう人や、悩む人が出てくる。

■今後試す点
・面談を進めるごとに、ある程度ドキュメントで重要な点はまとめていく
・wantedlyのスカウト機能は使いつつ、ビズリーチにチャレンジ
・はじめの面談を多人数のキャリア設計ワークショップにして、自分の軸を明確にして、大きな方向性があってることを確認しながら進める

余談ですが、最後のキャリア設計ワークショップはエンジニアとの面談で会社選びに悩む方がいたので、1on1で実施しました。(採用と関係なく)

うちの訴求をするのではなく、その人の人生観や仕事観をまとめ、キャリアプランを作り、どの選択をするのがベストなのか?の軸を作りました。
そうすることで、どちらがそのプランにベストなのか?をあとは自分で自律的に考えられるようにした形です。

これは、下記の本やワークショップを参考に作ったので、別の採用機会あるタイミングで実施してみてもいいかなと思いました。(特に新卒採用などで有効かもしれない)

ではでは

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