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昇進試験でやりがちな7つの失敗(小論文/問題分析・課題立案/ケーススタディ)

私はこれまで職場や友人、ココナラで多くの方の小論文/問題分析・課題立案の昇進試験の回答の添削をしてきました。

その経験から、多くの人がやりがちな失敗があることに気が付きました。どの方も頭が悪いという訳ではなく、賢いのですが、テクニック的な部分であったり、試験の前提を十分は把握できていないといった理由で、その失敗に陥っているように感じられました。今回はそんな私の経験と分析結果をまとめたいと思います。


やりがちな失敗 6選

【本記事の内容です】
①問いに答えているように見えない
②問題・課題・原因の区別ができていない
③具体的に書けていない
④具体的にする部分を誤解している
⑤準備した回答に合わせるため無理な文章になる
⑥扱うテーマが小さい
⑦昇進後の立場に相応しくない回答

以下の文章でそれぞれ解説していきます。

1. 問いに答えているように見えない

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まず初めに「問いに答えているように見えない」を挙げます。これは簡単に言うと、出題者の質問に答えていない あるいは、自分では答えているつもりでも採点者にはそう見えない というものです。

特に、「答えているつもり」にありがちなのは、出題者が使っている言葉と合っていないため、質問に答えているのかどうかイマイチわからないという状況です。

具体例をあげたいと思います。

【試験(出題者)の問い】
若手従業員の割合が増えている中、人材育成を推進していくために必要なことについて、あなたの考えを述べなさい

【受験者(回答者)の回答】
今まで以上に組織が一丸となって若手従業員の育成を推進していく必要があり、私は管理職として次の3点に取り組むことが重要であると考える

この例だと、問いでは「必要なこと」について聞かれていますが、回答者は「重要なこと」と回答しており、問われている必要なことが何なのかよく分かりません。

一箇所程度なら何となく分かるような気もしなくもないですが、このような言葉のズレは文章のいたるところで発生すると、問いや文章同士の繋がりがわからなくなり論理的な文章としてみなされなくなります。

いくら論理的な文章であっても、採点者が問いに答えていないと判断したら0点です。
記述問題において「きっと分かってくれるだろう」甘さは命取りです。

【その他 参考文献】
この問いに答えていないという点は、「全試験対応! 直前でも一発合格! 落とされない小論文」でも不合格の理由第1位として挙げられています。


2. 問題と原因の区別ができていない

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次に、"問題と原因の区別ができていない"について取り上げたいと思います。

まずは実際にあった良くない回答例を見てましょう。

【試験(出題者)の問い】
自部門もしくは自職場が抱えている問題を具体的に記述しなさい。

 【受験者(回答者)の回答】
自部門である技術本部のネットワーク事業部の役割は、事業の企画・開発・提案・プロジェクト推進である。
 もし当社独自の強みであるインフラ技術、ソフトウェア技術、サービス力を統合して、包括的な5Gサービス提供することが出来れば、競争優位性を発揮することが出来る。
 しかし、実現に向けた課題として、包括的なサービス提供を行うためには、全社の組織・機能・技術を集結する必要がある。
 そのため、全社事業として5G事業を推進する上で、当部門の抱えている一番の問題は、事業部の壁を超えた連携が出来ていないことである。

さて、ここでは「当部門の抱えている一番の問題は、事業部の壁を超えた連携が出来ていないこと」が問題として挙げられています。しかし、実はこれは問題ではなく"原因"です。

この文章から推測するに、問題としてあげるべきなのは、おそらく次のようなものでしょう。

【問題】
包括的な5Gサービス提供ができていない。
包括的な5Gサービス提供のプロジェクトの推進がうまくいっていない。


さて、この問題と原因の取り違いで何がマズイかというと、先に述べた「問いに答えているように見えない」に該当する可能性がある点です。


問題はあくまで事象です。身近な例でいうと、

豚骨ラーメンを食べたところ下痢をしてお腹が痛くなったので、正露丸を飲んだ。

という例があるとします。
ここでは「お腹が痛い」という事象が問題で、その問題を引き起こした原因が「下痢をしている」さらに「豚骨ラーメンを食べた」です。そしてその解決策が「正露丸を飲む」となります。

【ポイント】
問題は解決策に直結しません。
次の図は「問題解決 ― あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術」より、問題解決のステップを表したものです。図で改めて見ると分かりやすいかと思います。

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図 問題解決のステップ 


【その他 参考文献】
問題解決 ― あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術
会社の問題発見、課題設定、問題解決

3. 具体的に書けていない

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3点目に「具体的に書けていない」について解説します。
具体的でないとダメな理由は次の点があります。

①文章に説得力が無い
②普段から考えていないと評価される

以下に、良くない回答例をあげます。

【問題】
包括的な5Gサービス提供のプロジェクトの推進がうまくいっていない。

【原因】
全社事業として5G事業を推進する上で、当部門の抱えている一番の問題は、事業部の壁を超えた連携が出来ていない。

【具体的な施策(回答)】
プロジェクトの主担当事業部の決定や、工程間の連携方法や各部門のタスク分担方法について自身が調整役を担い、事業部間の壁を無くし全社の組織・機能・技術を集結させる。

この回答、論理的かどうかという観点では、確かに成立していて問題は無いのですが、具体性が乏しく昇進試験の文章としては不適当です。

というのも、次のような感想を抱きます。「具体的にどうやるの?」「そんな簡単じゃないよね?」「夢物語にしか見えない」
など色々なツッコミが入ります。特に、回答では部門の一番の問題として挙げたものなのに、その解決策がこの抽象的な1文だけというのはいかがなものかと評価されてしまいます。

4. 具体的にする部分を誤っている

次にあげるのは、上記の「具体的に書けていない」を回避しようと、重要ではない部分を具体的にするパターンです。

特にありがちなのが、課題を設定した理由(WHY)を詳細に掘り下げて具体的に書くケースです

実際の回答例を見てみましょう。

【回答(一部抜粋)】
昨今の携帯通信技術に大きな変化をもたらす5G事業の立ち上げが、自部門の役割である。2020年より国内大手通信事業社による5G商用サービスが開始されており、5Gネットワークの整備、5Gを利用した関連事業の注目も高まってきている。また、総務省から、当初計画より5G基地局整備数を4倍の28万局とし、2025年までに人口カバー率98%を目指す指針が示されており、IDCJapanの市場調査によると、ローカル5Gは向こう7年間で現在の40倍以上である、2000億以上の市場規模まで拡大するとの予測も見られる。競合他社についても同様の動きが見られるので、他社へ打ち勝つために必要なのは、スピード感と競争優位性であるとして〜(省略)

背景や理由が具体的なのは悪くはないのですが、もっと重要なのは「課題・施策立案(How:あなたは何をする)」の部分の具体化です。
時間制限・文字制限もありますので、重要ではない部分はそこまで具体化することはできないでしょう。

あなたは管理職としてどうしていくのかが全然具体化されていないと、評論家で終わってしまいます。

この具体的に書けていない」という点は、「全試験対応! 直前でも一発合格! 落とされない小論文」でも不合格の理由第二位として挙げられています。

5. 準備した回答に合わせるため無理な文章になる

ダウンロード

5つ目は試験あるあるで、「準備した回答に合わせるため無理な文章になる」です。
当日まで試験の問いが不明なため、回答テンプレートを準備しておき、そのテンプレートに無理やり当て嵌めようとしておかしくなるパターンです。

むりやり当てはめると、論理的に破綻したり、因果関係が複雑になって読み難かったりと色々問題が発生します。

全試験対応! 直前でも一発合格! 落とされない小論文」でも不合格の理由第12位にランクインされています。本書では回答テンプレートを用いることは否定されていますが、私の意見としては、よほど文章を書き慣れている人でない限りはテンプレートを用いるしかないと考えます。

テンプレートで失敗する原因は、テンプレートの設計が悪く汎用性がないため、無理な当てはめ方になってしまうことです。
テンプレートの設計方法や使い方については、以下の記事でまとめていますので、興味のある方はご覧ください。


6. 扱うテーマが小さい 

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6つめは扱うテーマが小さいことを挙げます。
昇進すると権限・裁量が大きくなるため、組織に与える影響が大きくなります。したがって、小さいテーマばかりを回答で扱うと、
「昇進しなくてもそのテーマできるね」
「そんなことよりもっと他のことができる人を昇進させよう」
という評価になってしまいます。

それでは具体的な回答例を見てみましょう。

私の所属する人事労務部として、「環境変化に対応した従業員の環境検討」が課題として挙げられる。例えば現状であれば、在宅勤務が主流となっているが、在宅勤務手当の導入に必要性を感じている。理由としては、勤務実態と手当が伴っておらず、福利厚生制度の公平性の観点からも検討すべきと考えるためだ。在宅勤務であれば、通常の生活より電気やエアコンの使用で光熱費が多くかかってしまう。在宅勤務手当の必要性については、労働組合の団体交渉でも声が上がっており、人事としても真摯に受け止め検討していきたい。経営側としても、通勤費の支給より在宅勤務手当の支給の方が安価ですむ場合が多く、当社のコスト削減にも有効な手段といえるだろう。


せっかく高額な給料を払い昇進させる人材です。もっと他のことを実施してほしいとは思いませんか?

7. 昇進後の立場に相応しくない回答

これもよくあるのですが、プレイヤー視点ばかりでマネージャー視点がない回答が見られます。何でも自分でタスクを実行してしまうパターンです。

一方で昇進試験は昇進後、つまり管理職(マネージャー)として働けるかどうかを見る試験であります。したがって、試験の回答もマネージャー視点である必要があります。

一般的にマネージャーはチームを組織する/チームを運営する/ルールを変える/他部門へ働きかけるなどといった権限があります。
課題に対して動くために部下を集め、外部との協力が必要であればその環境を作り、会社のルールが時代遅れであればそれを変えるように働きかける。それが管理職(マネージャー)です。

プレイヤー視点でなんでもかんでも自分で実施するのはNGです。

【参考】

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ドラッガー マネジメント 基本と原則

最後に

本記事では昇進試験の不合格になる理由として、私の昇進試験の添削経験から、次の6点について解説しました。

 ①問いに答えているように見えない
 ②問題・課題・原因の区別ができていない
 ③具体的に書けていない
 ④具体的にする部分を誤解している
 ⑤準備した回答に合わせるため無理な文章になる
 ⑥扱うテーマが小さい
 ⑦昇進後の立場に相応しくない回答

この点に注意して昇進試験に乗り切っていきましょう!

ただ、昇進試験の回答をみてくれる人はなかなかいないと思います。ココナラでは私が実際に添削するサービスを扱っておりますので、興味のある方は是非ご覧ください。リンクを下に貼っておきます。

昇進したら年間50万円〜150万円ほど給料に差が出てくるかと思いますので、それを失うリスクを考えたら安いサービスかと思っています。
(※招待コード「02MFM3」でお得に購入できます。)


また、ケーススタディ試験の攻略方法もNoteで公開しています。こちらもぜひご覧ください。

https://note.com/it_leader_promo/n/nb8b2c81c8a66

以上、ありがとうございました。

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