【Story】おはよう、カラス

Story... それは短い物語。別の箇所にすでに掲出しているものですが、こちらにも。

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昔、カラスは

子供たちが暗い夜道に迷ったり、堀に落ちたりしないように、

「早くおうちに帰りなさい」と鳴いて

夕暮れを告げる役目がありました。

時代はかわって

街には街灯ができて、日が暮れても街は明るく、

子供たちは迷うことなく家へ帰れるようになり

カラスの役目も次第になくなっていきました。

役目をなくして寂しそうなカラスに

神様は新しい役目を与えました。

暮らしが豊かになって、モノを大切にすることを

忘れた人間に、食べ物を粗末にしないようにと

警告をする誇り高い重要な仕事です。

夕暮れを告げながら、

自分たちも巣へと帰っていたカラスはとっても早起き。

その早起きを活かした仕事でした。

カラスは早速次の日から街へ出かけ

人間がゴミと呼んで捨てたものの中から

「これはまだ食べられるよ!」

「こんなに捨てちゃダメだよ!」

「みんなが食べないのなら、ボクたちがいただいちゃうよぉ」と

つまみだして人間に呼びかけました。

だけど人間は、捨てた食べ物を引っぱりだし

街を汚すカラスに困り顔。

カラスは自分たちの想いを伝えようとがんばりました。

でも、がんばれば、がんばるほど嫌われてしまいます。

昔は「神様の使い」だと言ってくれたのに。

黒く光るきれいな羽から「烏の濡れ羽色」と

色の名前にまでしてくれたのに。

愛してくれたのに。。。

カラスは悲しくなってしまいました。

でも神様から頼まれた大切な仕事です。

いつかきっと、自分たちのメッセージは伝わるはずと信じて、

仲間と励まし合って続けることにしました。

だから今日も、カラスは嫌われ役となって

食べ物の大切さを私たちに伝えてくれています。

おはよう、カラス

ごめんね、カラス

ありがとう、カラス

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