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実録! 炎上プロジェクト ~一つの会社の終わりまで~
私がプログラマに転職してから5、6年が経過しているような気がする。
そこそこ続けてきたが、ソフトウェア開発、システム開発といった業務は楽しい。
楽しさの根本には、自分が実現したいことを自分の力で実現できる万能感だったり、コーディング(プログラムを書く作業そのもの)の中毒性、魔法のように鮮やかに技術を見せることで、人の役に立ち、驚かせ、喜ばせるマジシャンのような喜びがある。
しかし、業界外の人も一度は「炎上プロジェクト」とか「炎上案件」という言葉を聞いたことがあるだろう。
炎上という言葉自体はいわゆるキャンセルカルチャーにも使われる言葉ではあるが、開発業界では顧客が激怒したり、エンジニアが口から魂を出しながら徹夜で作業せざるを得なくなるような状態を言う。
後者はデスマーチとも言う。最近は聞かないかもしれない。
ともあれ、この記事では私が過去に遭遇した炎上プロジェクトについて赤裸々に話してみたいと思う。
機密保持契約に違反するほど詳細には書かないが、身バレにつながりかねないため、有料記事とさせていただく。
炎上の入り口は突然に
ある日、私は自社の社長に呼び出された。
※自社とあえてつけるのは、エンジニア業界特有かもしれない。エンジニアは他社に常駐して業務に形式が一般的なため、私たちは自社の話か客先の話かを区別して話すのを好む。
「明日からC社っていう池袋の会社に行って欲しいんだけど」
私はそれまで自社の退屈な仕事に従事するぬるま湯のような日々を送っており、突然の要請に目を丸くした。
「えっ……。でも、明日からですか?」
あまりにも急すぎないだろうか。明日から? 今抱えている仕事はどうしたらいいのだろう。
その時、社長の他にも年配の身なりの良い男性がいて、立ち上がって私に握手を求めた。
彼は高そうなスーツ、高級なネクタイピン。濃い香水の香りを漂わせていたが、なんとなく目の奥に人を人と思わないような何か、私が信頼できないと感じる何かがあった。
この後触れるが、私は最初から最後まで、彼に対してあたたかい気持ちは持たなかった。
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