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「巨大地震の発生可能性が高まっている」と言われても

この南海トラフ地震に関して思うことをつらつら語ったエッセイは、以下のような意見で構成されています(約7000字)。

・そもそも南海トラフはいつでも来るって前から言ってたじゃん
・アメリカ人は地下に潜る一方、なぜ日本人は飛ばないのか
・メイウェザーに対する嫉妬
・性教育よ、仕事しろ
・また買占め? おやおや
・地震以前に、この猛暑だと電気が止まった瞬間にみんな熱中症で倒れる
・意外と人間は死なない


 8月8日16時頃に宮城県で最大震度6弱の地震があり、「南海トラフ地震の発生可能性が高まっている」という報道があった。南海トラフ地震に関しては、そもそも今後30年以内に70~80%以内で発生すると昔から言われている。私を含め、対象地域の人々は漠然とした不安に駆られながら生活してきたはずだ。

 だから私はその報道を見た時、思った。

 で、どうしろってんだ。そんなもん、来る時は来るし、来ない時は来ないんだから、準備だけ普段からしているなら、それ以上気にしたってしょうがない。そもそも可能性が高まったって、どの程度? 何パーセント? どうせ細かいことは何も分からないに違いない。

 と思って調べたところ、つまり、この1週間の間に数百分の1の確率で南海トラフ地震が発生する可能性がある、ということのようだ。

国は南海トラフの巨大地震が、今後30年以内に70%から80%の確率で起きると評価しています。これを1週間以内に換算すると1000回に1回ということになります。

一方で、過去の世界の大規模地震の統計データでは、マグニチュード7.0以上の地震が起きたあと隣り合った領域で1週間以内にマグニチュード8クラス以上の地震が発生する頻度が数百回に1回程度あるということがわかっています。

つまり、ふだんは1000回に1回の確率が数百回に1回になっているということです。
また、『巨大地震が特定の期間に絶対起こるというものではない』ことにも注意が必要です。

【記者解説】「南海トラフ地震臨時情報」とは?注意点は?https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240809/k10014543491000.html

 数百回とは何百回? というのが気になるが、およそ0.11~1%幅ということか? 1%を含むなら嫌な感じがする。

 1%というのは「なーんだ、低いじゃん」と軽視できる確率ではない。例えば、とあるソシャゲのSSR排出確率が1.5%である。これは特に極端な確率ではない。あなたがやっているソシャゲで、「10連ガチャではなく1連ガチャでも割とSSR出ることあるよね」という経験を思い出していただければ、まさに「起きる時は起きる」確率だ。

 まぁ、確率的には0でない限り「起きる時は起きる」のだが。

 不安になった方のために、政府が用意した啓蒙冊子を見つけたので、紹介しておく。読んでおくと心が落ち着くかもしれない。
『マンガで解説! 南海トラフ地震 その日が来たら』

日本人よ、今こそ飛び立て

 家や避難所に緊急飛行機能がついていて、しばらくの間上空に飛ばしておけるなら、「南海トラフ地震の発生可能性が高まっている」という発表に意味があるが、今のところ避難用の気球なり飛行船なりを用意する素振りがある自治体は無いので、事前避難の対象地域でない限り、個人にできることはほとんどない。

こんなイメージ

 なお、アメリカの竜巻好発地域では、しばしば家や学校などの家屋が崩壊、甚大な被害が発生したりするが、彼らは標準的にシェルターを持っている。シェルターのための補助費も出る。だから、彼らは竜巻警報があればシェルターに食料をうつして避難を試みる。

 一方、日本は東日本大震災などで甚大な被害が出ても、根本的に安全な避難場所を用意するのではなく、各家屋の耐震性能を高める方向に努力を続けている。

 建築基準法によって、1981年6月より前は旧耐震基準、それ以降の建物は新耐震基準で建てられている。新耐震基準では、震度6強~7程度の揺れでも家屋が倒壊・崩壊しないことを基準としているので、理論上、あなたが住んでいる家屋が1981年6月以降に建築されたものであれば、観測史上最大の巨大地震でない限り、倒壊の恐れはない(ヒビや歪みや配管は知らないし何度も揺れたら何が起こるかは分からない)。

 もちろん、このような差は、日本政府がアメリカ政府と比べて愚かだから生じているのではなく、「竜巻が近づいてくるのはあらかじめ分かるが、地震はほとんど分からない」という性質に依拠しているのだろう。

 でも、今回のように予兆が分かって、「気を付けてね」と言われても、シェルターに引きこもるわけにも行かない日本人は、たいてい、休みもせず通常通り仕事に向かっただろう。真面目な国民性によるところも大きいだろうが、どこに逃げても一緒だとみんななんとなく分かっているのだ。強いて言えば日本海側や国外に避ければ安全だろうが、来るか来ないか分からないもののために、そこまでする人は稀だろう。

 もっとも、社員や部下が逃げるのは許さず、自分たちだけ逃げる富裕層は一定数いたはずだ。大企業にお勤めの方は、重役やその家族が急遽不審な海外出張などをしていないかチェックした方が良い。呆れて退職する決意が固まるに違いない。

 とにかく、そんな状況なので、南海トラフ地震が発生した時にどの程度被害を受けるかはもはや運だ。人間、生きる時は生きるし、死ぬときは死ぬ、それだけ。

地獄の避難所生活

 そして、大地震にみまわれた後、快適ではない避難所生活や崩れ去ったその後の人生に対処する方が辛そうなのを見聞きしているので、個人的には死んだ方がマシなように思える。

 例えばこんな地獄のようなことがあった。男性がリーダーだから、生理用品の重要性を分かってもらえず、女性たちが苦しんでいる?

 2個で足りる訳ないだろクソ野郎。一気に血出る訳じゃないからナプキンが必要なんだ。不随意に悪臭を放つ血液が股間から流れ続けて制御できない状態がどんなに不愉快か分かるか? それだけで最悪な経験なのにさらに負担をかけるんじゃないよ。知識が無いならせめて人の意見を求めろよバカ。

 大体、この高度IT化社会において、調べればすぐに分かる生理用品の必要性が分からないとはどういうことなのか小一時間説教したい。人口の半分を占める人々の苦しみに今まで無頓着に生きて来た奴は悪しきマスキュリストのエゴイストに決まっている。

 そして、そもそも男性にも女性の生理学を学校で教育しろよ。日本のトチ狂った惰弱な性教育の産物がまとめ役をしている避難所生活はしたくない。生理がどうこうという無理解は氷山の一角で、女性は多大な忖度を求められるに決まっている。混乱状態ではある種法の目が届かない状態になるので、私のような空気を読まない人間が思わず激怒して「生理用品の必要性も分からない脳が産業革命以前に退化した土民は今すぐ出ていけ」と言い出したらぶん殴られるかもしれない。ののしり合うのは構わないが、痛いのは嫌いだし、私はしがない引きこもりなので、ワンパンでノックダウンされる自信がある。

 クッソ来世ではメイウェザーになってやる……!

 まあとにかく、政府には救助の人員や物資を準備しておいてほしいが、個人にできることはせいぜい、防災対策グッズの備蓄を確認したりするぐらいだろうか。でも今準備できていない人の多くは多分いつまでたっても準備できないだろう。

 一般人には発表しない方がよかったんじゃね。

 実際SNSを見ていても、不安を覚えている人がかなりいるみたいだ。とにかく危険かもしれないという漠然とした情報を与えられたら、恐怖のエネルギーの向け先が無いからパニックになる。

 不安になるだけならまだしも、一部の、より動物的な自己保存本能を持った人たちは、他の人が困ると分かっていても理性的に行動できない。実際に過去のコロナや3.11のパニックにおいても、動物的な不安に負けてマスクやティッシュや食料品を買占めたりする人々を見て来た。

 若い方は知らないだろうが、私が生まれる前に、オイルショックという事件によってトイレットペーパー・パニックという事態が発生した。トイレットペーパーが無くなると思った人々がトイレットペーパーを買占めに走ったのだ。私は子どもの頃その事件を知って「昔の人はバカだなぁ」と笑っていたが、バカなのは昔の人ではなく平静を失った人間そのものだと大人になってから思い知った。

 私自身、コロナ禍の時、(普段はしている)マスクを忘れて外を歩いていたら、通りがかりの女性に「マスクしない人、嫌い!」と叫ばれて閉口した。多分彼女も平静ならわざわざ通りがかりに個人的な嫌悪感を表明したりしないだろう。

 でもね知ってるかL? 私は感染拡大に寄与しないんだよ。独居の引きこもりは風邪すらひかないんだ。普段から完全にクリーンかつセーフさ。なのに普段は周りの安心のためにマスクをつける心優しい私。それにこの仕打ち。

メイウェザー

 もっとムカつくのは、私がメイウェザーだったら彼女はそのような世迷言を控えたであろうと言う事実だ。

 相手が小柄な女性だから舐めてるのだ。私が人畜無害ではないことを示すために、いっそ噛みついてやりたいが、そこまでのリスクを冒す価値が彼女にはない。

 ああ、神様。メイウェザーに生まれたかった。いやせめて強面の男性に生まれたら遭遇している苦難の8割は避けられたに違いない。

 私は美人が羨ましくない。美人は、か弱いのに他人にとって魅力的だから、むしろ経験したくもないトラブルに巻き込まれるに決まっている(異論は認める)。私が考えるところ、美人の生存戦略は早いうちに権力者ないし強い人に気に入られて守ってもらうことである。人生の選択肢が限られるのは嫌だ。ああ、メイウェザーが羨ましい。メイウェザーになりたい。

 とにかく、この高度IT化社会においても、いまだに理性的・理論的に行動することが習慣づいていない一部の人々は、状況によって容易にコントロール不能になる。例えば、前例の彼女は状況がエスカレートしたら釘バットを持ってマスクをしていない人々を打ち殺し始めるか、あるいはそれを容認する可能性がある。

また買占め? いつになったら学ぶのか?

 そして南海トラフ地震におびえる人々は、パニックになった結果、避難所の物資を自分だけ先に確保しようと走るかもしれない。そんなことが起きたら面倒くさい。

 理性的に判断できないのに必要な物資を独占している人がいる場合、自分もそのレベルまで落ちて交渉せざるを得なくなる。あるいは味方を増やして物理的に排除するか。うまくやれば、法的には緊急避難(急迫な危険・危難を避けるためにやむを得ず他者の権利を侵害したり危難を生じさせている物を破壊したりする行為)が認められるだろう。

 ああ、考えただけでも面倒くさい。だから引きこもってるのに。

 そして例によって例のごとく、買占め方面に走る人々がすでにいるらしい。

 彼らは、過去から何も学ばないのか。全員が冷静に対応すれば必要な人に物資が行き渡るのに、不安に負ける弱い人々は決していなくならない。

 そして、こうした呼びかけによって、

「買占めは控えて」

「つまりみんな買占めようとしている」

「なくなる前に買い占めなきゃ!」

 という、サザエさんのあらすじ並に単純極まりない動物的な思考回路から、余計に買占めに走る人が増えるであろうことは想像に難くない。問題が起きている時は放っておいて、落ち着いてから「買占めが発生しました。買占めはやめよう」と伝えた方が良いと思う。

 それに、このニュースには魔法の言葉がない。日本人なら誰にでも効くあの魔法の言葉

『迷惑をかけないようにしましょう』

 非理性的な人々にとっても『あなたはみんなの迷惑です』という言葉は非常に効果的だ。経験則であってエビデンスはないが、ほとんどの日本人は『迷惑』をかけることに対するものすごいアレルギーを持っている。

 おそらく、同調と和を良しとするオキシトシン優位な国民性によって、『みんな』から排斥されることに対する恐怖心が強いのだ。

 『迷惑』を使わないなら、最近のトイレの張り紙のように、『みんなのために買い占めずにいていただき、ありがとうございます』という方針で行くか。どちらでも良いが、どちらかは使った方が良い影響があるだろう。

 さらに言うと、カリギュラ効果で「やるな」と言われるとやりたくなるのが人間の性質だった。上述の記事は事実を並べただけで、それがどういう影響を与えるか何も考えていないのだろう。結果的にむしろ買占めを煽っている

神奈川県で実際に地震があったけど

 タイムリーに8月9日夜、神奈川県西部を震源とする最大震度5弱の地震があった。

 私も関東に住んでいるので、揺れ始めた時に「いや本当に地震起きるんかい」と思い、一瞬緊張したが、緊張してもしょうがないので無視して読書に戻った。今準備できていないなら、揺れ始めてから慌てても無駄である

 そういえば3.11の時に、わりと揺れたのでたまたま一緒に居た家族が叫んでいたが、そういうのは見苦しいからやめてほしい。揺れている間に叫んだところで、助けに行けるわけでもないのに何の意味があるのだろう。揺れている間は安全な場所で隠れているしかない。緊急時こそ合理的な行動が求められる。

 先日同僚が「僕の家は地震が起きたら、母と一緒にテレビを押さえに行くんです」などと宣っていたが、愚行と言わざるをえない。命よりもテレビの方が大事なんかい。そんなに大事ならそもそも倒れないように準備しておけ。

そもそも、この猛暑で電気が落ちたら何時間生きられる?

 冬場に電気が寸断されるのも困るが、それ以上に夏場は致命的だ。寒い場合は着こめばどうにかなるが、人間は暑さに弱い。熱中症・熱射病・日射病対策のために、エアコン以外の解決策はほとんどない。

 もし大地震によってエアコンが停止すれば、屋内にいようと屋外にいようと体力のない女・子ども・お年寄りから倒れていくだろう。治療しなければおよそ数時間で死に至り、回復しても後遺症が残る可能性が高い。

 その場合どうすれば良いか考えたが、まずあらかじめ飲み水以外の冷却水と、塩分、霧吹きを多めに用意しておく方が良さそうだ。電気が無ければ、気化熱が最後に頼れる効果だからだ。

 以下、MSDマニュアル家庭版を参考に、電気がなくても出来る対策をまとめた。


涼しい屋内に避難できない場合の熱中症予防
 ・喉が渇いていなくても、水分と塩分(低ナトリウム血症を防ぐため必須)を少なくとも数時間ごとに摂取する
  ※カフェイン入り飲料やアルコールはむしろ脱水を促進するので注意
 ・霧吹きなどでまめに体に水をかける
 ・少しでも涼しい場所を探す
  通気性の悪い屋内にいるよりは、屋外で河川の近くや木陰に移動する
  ※安全が確保できることに留意
 ・帽子、日傘などで直射日光を避ける
 ・激しい運動をしない

熱射病や日射病が疑われ、緊急冷却が必要な場合
 ・可能なら湖、河川、水の入った浴槽など、冷水に浸す
 →無理なら霧吹きで水(ぬるま湯の方が良い)をかけ、うちわなどで仰いで蒸発冷却を試みる


 いや、書いてはみたが、こんな対策を取る事態を考えたくない。正直、突然雪女と雪男のカップルがハネムーンで訪れて適度に冷やしてくれることを祈る方がいくらかマシに思える。南海トラフ地震、空気を読んで、もう少し涼しい時に来て欲しい。

 家族がいる方や、人生にやり残したことがある方はお子さんやパートナーのために頑張った方が良さそうだが、私個人としてはもう建物の倒壊と共に潰れて死んだ方が楽そうだと思えてくる。生きることはいつも苦しい。

意外と食べなくても死なない

 人間は他の動物と比べて生物学的に死に辛い生き物だと評価できる。

 三食食べないと数日で死ぬと思っている方もいるようだが、人間は蓄えた脂肪を分解することで、理論上水さえあれば最長で2か月程度の絶食が可能である。さらに、人間を人間たらしめる基本的な動作である歩行にほとんどエネルギーを使わない(30分で100Kcal程度)。これによって低栄養状態でも、安全かつ食料を得られる場所まで移動するために長期間の移動が可能であり、生存率を高めている。

 比べて一般的な鳥類は飛行のために軽い必要があり、脂肪を蓄えられないので、一説によれば一日程度絶食するとすでに命の危険があると言う。

 そんなわけで、災害でライフラインが寸断され、数日食べられなかったとしても、安心して欲しい。基礎疾患や体力が極端に低い訳でなければ命に危険はない。

 ただ、個人的に低栄養状態の経験が豊富であり、個人的に7日間の断食を行った際に得た独自のノウハウとして、まともな栄養が摂れないにしても、できれば塩分ないし糖分を摂っておいた方が良いと思う。空腹感はそのうち慣れて感じなくなるが、どちらか足りなくなると、血圧の低下や血糖値の低下により意識が朦朧として苦痛が大きい。

 だから正直、かさばる非常食を一生懸命用意する必要は感じないが、長期間食料が得られないなら、アメと塩は持っていた方がいい。

 あとは普段から瞑想技術を高めておくことが役立つ。というか瞑想はどんな肉体的・精神的苦痛に対しても役立つ。災害時に最も役立つのは瞑想かもしれない。

最後に

 南海トラフ地震の影響地域に住む人々は、大きな不安を抱えながら毎日を過ごしている。かえって注意報が出たことによって不安を掻き立てられる毎日には私自身も閉口するが、いずれにせよできることをやって、あとは天に任せるしかないと割り切りたい。そのためには恐らく、普段から徳の高い行いをしておくことが役に立つだろう。

 日本的には、地震に関してはタケミカヅチノカミないし、フツヌシノカミが司っておられるようなので、それで安心するなら、お参りに行くのも良いかもしれない。

 とにかく、地震が起きようと、起きなかろうと、平常心を失わず、理性的に行動することで自分や家族を守れる可能性が高まるはずだ。とはいえ、特に何事もなく警報が解除されて、普段の生活に戻れることを願っている。

 私自身、最悪これが最後の(リアルタイムに書いている)記事になるかもしれないが、その場合は何かアレがアレだったんだろうと察して頂けるとありがたい。


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