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みちのく東北ひとり旅.4 #三陸鉄道編

7月7日水曜日、東北ひとり旅4日目。

この日はお昼前の電車で岩手方面へ向かい、久慈から三陸鉄道に乗る予定だったけれど、ホテルのチェックアウト時間ギリギリまで青森を満喫するべく早起きした。

最初に向かったのは、お手頃価格で新鮮な海鮮のっけ丼が楽しめる青森魚菜センター。海鮮好きなのでかなり楽しみにしていて、青森の滞在日もここの営業日に合わせて調整した。


ところが、着いてびっくり。なんとその日は店内工事のため臨時休業日になっていたのだ。ショック。

仕方なく魚菜センターを後にして、次の目的地である八甲田丸に向かって歩き出す。途中で市場のような施設があったので海鮮丼を求めて入ってみたものの、魚菜センターよりかなり割高だったので断念した。

前日に来たA-FACTORYのすぐ隣にある八甲田丸は1988年まで就航していた青函連絡船で、船体がそのまま記念館になっているというおもしろい施設だ。

蝋人形がたくさん並んでいる珍スポットぐらいの感覚で見に来たのだけど、これが予想以上に楽しい施設で、じっくり見ようと思えば3時間は余裕で楽しめるぐらいのボリュームだった。八甲田丸は地下一階から甲板までの4階建になっていて各階ごとに特色ある展示がされている。

ガイドブックなどでよく紹介されるのは当時の様子を蝋人形を使って再現している青函ワールドというブースで、やや不気味な印象はあるものの当時のレトロな品物が並んでいてかなり見応えのある展示になっている。
ブース内に並ぶひとつひとつの展示には物語があり、展示の前を通ると蝋人形が喋り出す。しかも、車掌や乗客、売店の売り子を模した蝋人形一体ごとに詳細なキャラ設定が加えられているのだ。小さな商店を切り盛りするおかみさんと、余計なものばかり仕入れてきて奥さんに叱られてばかりいる商売下手な亭主とか。

徹底した世界観づくりに圧倒されたものの、他のお客さんがいない状況で突然蝋人形が大声で喋り出すので何回も心臓が止まりかけたのは言うまでもない。

蝋人形ブースの他には当時の現物をそのまま使った座席や客室などもあった。

操舵室のなかにあった双眼鏡を覗いた先にかもめを発見。悠々とした姿にしばらく見惚れてしまった。

もっとゆっくり展示を見たかったけれど、チェックアウト時刻が迫っているので最後の目的地であるねぶたの家ワ・ラッセへ。ワ・ラッセはA-FACTORYを挟んで八甲田丸の反対側にある。
ここでは実際の祭りに登場したねぶたが展示されていて、最近のものだけでなく昔のお祭りで使われたねぶたも展示されていた。

コロナの影響で2年連続ねぶた祭りが中止になっているので、本物のねぶたを通年見ることのできるこの施設はありがたい。
ねぶたに限らず大きくて迫力あるものを見ると、無条件に心が惹かれる。なんとなく怖くて畏れ多いけれど、ずっと見ていたくなるのだ。こういうのを霊性というのだろうか。

チェックアウト時刻ギリギリでホテルに戻り、青い森鉄道に乗って八戸へ。ここから最終目的地である釜石までは初日と同じく約5時間の長い電車旅になる。
魚菜センターで朝食を食べ損ねてお腹がぺこぺこだったので青森駅の売店でイギリストーストを買って食べた。

八戸に到着したあとは寄り道する暇もなくJR八戸線に乗り換えてあまちゃんの舞台である久慈に向かう。この日のためにU-NEXTであまちゃんを見まくっていたのだけど、アキちゃんのママが東京で芸能事務所を立ち上げたぐらいまでしか見れていなかった。

遂にあまちゃんの舞台が見られるとワクワクしていたのに、久慈駅はあいにくの小雨模様だった。

お昼ご飯も食べたかったけれど久慈駅に到着した14時ごろには駅周辺のお店は閉まっていた。夏ばっぱのウニ弁当がある売店も閉まっている。何も食べずに数時間駅前でぶらぶらするのはちょっとキツかったので、手短にあまちゃん関連の施設を写真に収めて急いで宮古行きの三陸鉄道に飛び乗った。

青森は真夏を思わせる快晴だったのに、久慈を出てからはずっと霧雨が続く。
窓が曇って外がほとんど見えないこともあったけれど、春子さんが東京に行くときに夏ばっぱが大漁旗を振っていた場所は辛うじて見れた。三陸鉄道に乗って家出した春子さんのことを思ってちょっと泣きそうになる。

宮古に到着後、釜石行きの列車に乗り換え。
さっきまでの電車はアキちゃんやユイちゃんが乗っていたのと同じ一般的な車両だったのに、急にヨーロピアンな豪華車両になった。

相変わらず霧がちな窓の外を見ながら、南に向かうにつれて人工的に舗装された街並みが増え、あぁここが被災地なのかと静かに実感する。津波の被害を受けた範囲の広大さと、10年をかけて復興してきた町の人々の暮らしを思って胸がヒリヒリした。

久慈から片道約3時間、ようやく釜石駅に到着。

駅の隣にあるホテルフォルクローロ三陸釜石へ。
朝からイギリストーストしか食べていなかったので空腹が限界だった。駅前で海鮮丼が食べれるお店を探してみたけれどコロナの影響で開いているお店が少なく、開いていても事前予約が必要なお店しか見当たらなかった。

絶望しながら遠くが見渡せないほどの霧雨のなかを歩き、結局イオンモールのスーパーで晩ご飯を買った。

この日唯一のまともな食事がスーパーで買った巻き寿司(岩手県産ではない)というツイてない一日だったけれど、ホテルが快適だったのが唯一の救いだった。
ミントグリーンを基調にしたかわいいお部屋で、屋上には露天風呂もある。ホテルの裏手は釜石駅なので、部屋によっては電車を眺めながら過ごすことができる。

都心部を離れた田舎の観光地はコロナの影響をもろに受けている(観光的な意味で)ので、三鉄沿線のお店や観光地は15時閉店なんていうのがザラだった。

色々と残念な思いをすることの多い一日だったけど、この日はホテルでごろごろして数日間の疲れを癒すことにした。

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