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視覚”支援”になるために必要な4つの柱

(4,441文字/個人差はありますが、約7分~11分程で読めると思います)
こんにちは。今日からTEACCHプログラム研究会コラボレーションセミナー2023が始まりました。

400名ほどの方々にご参加いただいており、大変嬉しく思っています。明日はTEACCHプログラム研究会愛知支部さんにお声がけいただき、「今、改めて考える 自閉症のある方への視覚支援~見せればいいわけじゃない~」というテーマでお話をさせていただく予定です。

こちらも、今確認してみると見逃し配信を含めると270名以上の方にお申込みを頂いているようで大変有難いです。
       
普段は、構造化の一つとして視覚支援をお話しさせていただくことが多いのですが、今回は「視覚支援」のみをテーマにした講演会です。個人的には、内容は結構ブラッシュアップしたつもりですので、今回はその中でも特に大切と思った点について、コラムでも共有したいと思います。

特性理解からスタートを

ASDに限らず、発達障害の方々の支援の出発点は「特性を理解すること」だと思います。そうした考えに異論を持つ方はおられないと思います。
   
ですが、それは少し勉強したらわかるものではなく、それぞれの方の特性に沿えるような支援を考えていく中で、「こんなユニークさもあるのか」「ここは少し難しかったのかも」「こんな風に感じるんだな」と、また違った視点からその方を知ることができてきます。
   
これまでの自分が持っている知識、その知識を使って支援をしてみる、支援をしてみることでまた気づきがある、それらがつながってまた次の支援に向けた出発点となるのではないでしょうか。
   
ぼくの尊敬する藤岡宏先生の言葉に、こんな言葉があります。

“自閉症の特性は、人の話を聞いただけですぐわかるようなものではなく、日々の自分の実践と照らし合わせていくうちに、少しずつ理解が深まっていくもののような気がする”

視覚支援も同じです。
    
今や視覚支援という言葉は広く知られるようになり、支援のスタンダードと言っても過言ではないと思います。その背景には、「ASDの方々は口頭による情報に比べて視覚的な情報を活用することでより効果的な学習と活動ができる」というような研究が多くなされ(例えば、古くは1960年代頃からそうしたことを指摘しているものもあります)、不安や攻撃性が下がり、よりスムーズな学習や環境の変化への適応なども指摘れています(この辺は、コラボレーションセミナーでもローラ・クリンガー先生も触れられるテーマだと思います)。
      
ですが、藤岡先生の言葉に照らし合わせて考えると、「視覚支援はすぐにできるようなものではなく、日々の実践と当事者の方々の反応や生活と照らし合わせて取り組んでいくうちに、少しずつその方にあった視覚支援ができるように、理解が深まっていく」となるように思います。
    
そう思うと、「見せること=視覚支援」ではないし、一方的な指示(やるべきとこちらが思っていること)を、話し言葉で言う代わりに、文字、絵カード、写真カードで示すことが「視覚支援」では決してないということです。
    
視覚「支援」になるためには、特性を理解することが大切なのです。

視覚"支援"になるための4つの条件


では、視覚「支援」になるためにはどのような理解が必要なのでしょうか。
  
詳しくは明日のセミナーでも話をしようと思っていますが、ぼくが大事にしていることは下記の4つです。

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