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自閉症スペクトラムと睡眠

*この記事は、すでにYouTubeやstand.fmで配信している音声を記事にしたものです。

よこはま発達クリニック・よこはま発達相談室の佐々木です。
僕らは医師、心理士、言語聴覚士、ソーシャルワーカーなど様々な専門職が連携を取りながら、発達障害の方々のご相談や療育的な活動、現場の方々のコンサルテーションなどをさせて頂いております。

それ以外にも色々な研修会を開催させていただいたり、こうした媒体を活用しながら自分たちができる範囲での情報発信というのもしております。

睡眠に関する相談は少なくない

さて、今日は睡眠の問題についてお話をしていきたいなと思っています。

自閉症スペクトラムをはじめとする発達障害の方々のご相談にのらせて頂いておりますと、睡眠リズムが整わないという方々にお会いすることがあります。

原因は様々ですが、例えば聴覚の敏感さがある場合には、ちょっとした物音で起きてしまうこともあり、お子さんが眠った後は極力物音を立てないように生活をしておられる親御さんもいらっしゃいます。

他にも、もともとの生理的な問題としてリズムが整いにくいという方々もいらっしゃいます。

睡眠の安定は、生活リズムの安定に繋がってきますし、特に幼児期には、ご家族全体の慢性的な睡眠不足っていうのはお互いにとって疲労の大きな状況になってしまいます。

入眠までの流れを組み立てる

まず、そういったご相談の際に取り組んでいくことが多いのは、ご家庭に戻られてから、入眠までの過ごし方についてです。

具体的には、入眠までの流れを一緒に考えていくことがあります。一度習慣化したことはとてもスムーズに取り組んでくださったり、手順がきちんと決まっていることについては律儀に取り組んでくださっている方々が多いので、こうした自閉症スペクトラムの方々の、社会的イマジネーションの特徴を活用していくという考え方です。

そうした特徴を活用していきながら、例えば、お風呂→着替え→歯磨き→子守唄や絵本を読む→電気を消すなど、一定の流れを組み立てます(ただし、具体的な手順や対応はケースバイケースです)。

こうした眠るまでの手順というものを意識して取り組んでいただくようにすることがあるのですが、その時には、実際の物だったり、カードのような視覚的な情報を活用しながら取り組んでいくことをお勧めしています。

家族で役割分担を

もう一つ意識していることとしては、できるだけいつもご自宅にいる方を中心に組み立てていくということです。

例えば、夜はお父さんよりもお母さんが中心ということであれば、お風呂はお父さんと手順に入れてしまうと、お子さんによっては、それがルーティン(習慣)になり、お父さんの帰宅の時間によってその時間が左右されてしまう方もいらっしゃいます。

ですので、お父さんがいつもいらっしゃる方はいいと思いますが、そうではなく、お母さんが生活のサポートの中心を担っているというご家庭であれば、入眠までの手順はお母さんを中心に、それ以外の部分をお父さんになど、うまくお母さんとお父さんとで役割分担をしても良いかなと思います。

医療機関も上手に活用して

寝るまでの手順でのがきちんと整ってくると解決に向かうことも多いのですが、上述したように、もともとリズムが整えにくいという方々もおります。そうした場合には、医療機関とも相談しながら、必要に応じて睡眠に関するお薬を活用し、眠るまでのリズムを整えていくということも、親御さんやご本人たちの精神的・肉体的な疲労を考えた時には選択肢の一つかなと思います。


まとめ

本日は、
・睡眠の問題を併せ持つことは少なくない
・入眠までの流れのルーチンを作ってみる(いつもいる人を中心に)
・流れを組み立てる際にも視覚支援は有効
・医療機関も上手に活用して

についてお話をさせて頂きました。
本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

よこはま発達相談室
佐々木康栄


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