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「何をやるか?」よりも「誰とやるか?」を大切にしている会社がやるべきたった2つのこと

「何をやるか? よりも誰とやるか?」と「誰とやるか? よりも何をやるか?」

の2つがあった時に、皆さんの会社はどちらを大切にしていますか?「どちらとも言えない」「どっちもだ」等、様々な意見があると思います。上記2つを簡単に整理すると、以下のようになるのではないでしょうか。

『何をやるか? よりも誰とやるか?』
どんな業種、職種よりも、誰と一緒にやるのか? の方が大切だというパターンです。
例えば、「機器メーカーでエンジニアとして仕事をすることを大切にしながらも、最終的にはどんな人達と一緒に働くのか? に重点を置いている」という考え方です。

『誰とやるか? よりも何をやるか?』
上記の逆で、どんな人達と一緒に働くのかを大切にしながらも、どの業界、職種で仕事をするのか? の方が大切だというパターンです。「人間関係が良好なことに越したことはないが、機器メーカーでエンジニアとして仕事をするという軸はぶらさない」という考え方ですね。

1つ目のように、「我々は『何をやるか? よりも誰とやるか?』を大切にしている会社です」、と打ち出している企業を調べてみたところ、リクナビで検索しただけでも47社ヒットするなど、数えきれないほど多くの企業が見つかりました。

中には、下記のような有名企業も多々見受けられます。

・株式会社ビスリーチ
・ライフネット生命保険株式会社
・株式会社カヤック(面白法人カヤック)
・株式会社マネーフォワード
・株式会社Gunosy(グノシー)

ところが、反対に『誰とやるか? よりも何をやるか?』を打ち出している企業は、調べてもあまり見当たりませんでした。

誰とやるか? を重要視している会社がやるべきは、バリューの「提示」と「浸透」

『誰とやるか?』を重要視しているならば、どんな考えで働いてほしいか、つまり、バリューや行動指針と呼ばれるものを明確に打ち出し、社員に浸透させるべきだと考えています。
※参考:なぜ今、ビジョンよりもバリューが注目されるのか?

なぜなら、それを掲げる企業が求めているのは、特定の国籍や性別、身長、出身地、服装に当てはまる人と働くことではなく(笑)、自社の考え方に共感できる人と働くことだからです。

そのためには、「我が社としては、こういう考えが好きですor嫌いです」「この考えに共感して、一緒に体現してもらいたいです」という意思表示をし、それに沿った採用や教育をする必要があります。

実際、多くの有名企業ではバリュー教育に全面的な力を注いでいるという話をよく耳にします。

・急成長メルカリ、「バリュー」への異常な執着
・メルカリの「バリュー」を実現するための人事制度とは?
・Google×メルカリの人事責任者が明かす、成長し続ける組織のカルチャー『THE BUSINESS DAY 02』レポ
・グーグル社員の「働く満足度」は、なぜこれほど高いのか?

逆に、「誰とやるか? を重視している」と言うだけでバリュー浸透や教育まではやっていない企業もあります。このような場合は高い確率で実情が伴っておらず、実際には「誰とやるか?」を大切にできていないのではないでしょうか。

これは放置しておくと様々な問題を引き起こします。

例えば、「新卒採用の会社説明会ではバリューを打ち出したが、実際に現場では浸透できていない」という状態を作り出し、そこに惹かれて入社した者にマイナスのGAPを感じさせ、早期離職の直接的な原因になる、というように。
※参考:早期離職はコミュニケーションで防げます! 新入社員の本音から導く4つの対処法

たとえ理想を語ることで目標採用人数をクリアしたとしても、定着しないのであれば意味がなくなってしまいます。

したがって、「『何をやるか? よりも誰とやるか?』を大切にしている」と打ち出したいのであれば、バリューや行動指針の提示と、社員への浸透が必要不可欠なのです。

バリュー浸透、教育における5つのポイント

「『何をやるか? よりも誰とやるか?』を大切にしている」企業が取り組むべきバリュー浸透はどんなポイントを押さえるべきなのか?を5つにまとめて、解説していきます。


バリュー浸透に必要な5つの要素


①経営層がバリューについてコミットし、発信している
大変シンプルな事ですが、実践できていない企業は少なくありません。バリュー(価値観)は経営陣や人事のトップが中心になって作ることが多いものの、時間の経過により作成した本人たちの温度感が下がり、「何だっけ?」といった状態になるのが典型例です。

会社が発展するために、働く仲間が幸せになるために、「こういう価値観で仕事をしよう」というのがバリュー(価値観)です。経営層が誰よりも本気で共感し、体現し、皆に伝えようとしない限り、社員の共感度、体現度が上がらないのは、想像に難くないと思います。

そもそも、「社長が本気度100%で伝えると、管理職へ70%で伝わり、一般社員には30%で伝わる」と言われているように、同じ熱量で伝えることさえ難しいのです。経営層が「何だっけ?」状態では浸透するはずがありません。

②管理職がバリューに基づいてマネジメントをしている

バリューに基づいたマネジメント

OFF-JT、OJTどちらの場面でも、バリューを部下育成の軸として据えましょう。すると、「Why」と「相手(会社や上司、先輩)の求めていること」が明確かつシンプルに捉えられるようになるのです。
上司が忙しく、対面コミュニケーションが減ってしまう中でも、自分でバリュー(価値観)と照らし合わせた行動がとれるようになり、自走による成長の量を増やすことが可能です。

例えば、上司が日頃から「私たちのチームはこのバリューを大切にしている」と伝え続け、それがチームに浸透していれば、部下は「テレワークで自宅勤務だから他人の目がないので、ゆっくり時間をかけてやってもいいや…」となることがあっても、「違う。この組織は“明日の100点より本日の30点”というバリュー(価値観)があるのだから、スピード感を持ってやらないと!」と、自分で自分を律することができます。

③社員がバリューと実務の繋がりを理解している

バリューと実務の繋がり

こちらは2つ目と連動します。バリューに基づいたマネジメントにより成長した社員が、自らもバリューによるマネジメントができるようになれば、その繰り返しによって組織全体に同じ考え方が浸透していきます。社員全員が会社の進むべき方向を理解していると、企業は強くなります。そうなるためには、バリューによるマネジメントができる管理職の育成は避けては通れない重要事項です。

なお、トップからいきなり「バリューに即した行動をとるように」と通達するだけでは、教える側も正解が分からず戸惑ってしまうことでしょう。
まずは管理職向けにバリューと実務の繋がりを自分達で考えるワークショップを行う等、OFF-JTを用意するのをおすすめします。

④社員が“やらされ感”ではなく、バリューに共感している

これは、1~3の成果をより強化していくものです。

社員がバリューに共感し、行動実践に努めることができるようになるには、whyの反復、つまり、
「なぜこのバリューがあるのか?」
「このバリューができないとどんなマイナスがあるのか?」
「このバリューを決めた経営陣にはどんな想いがあるのか?」
といった質問に対する回答を、各人が自分なりの言葉で語れるようになることです。やらされ感を減らし、自発的なやりたい気持ちを増やすには、なぜ?を自分で理解することが最も効果的だからです。

例えば、次のような仕組みを導入すると、日頃から継続して「whyの反復」を実施できるとともに、バリューのさらなる周知徹底にも繋がります。

朝礼の時間にバリューに関する話(〇〇さんが□□というバリューに則した行動をしており、こんないい仕事に繋がっていた等)をシェアする。
バリューを体現していた方へ投票する制度を作り、多くの票を得た社員を表彰する。また、社内イベントも、やらされ感なくバリューを浸透できる良い機会です。
こちらについては以前まとめていますのでぜひ合わせてご覧ください。
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組織のレベルアップとバリュー浸透が一度に叶う「社内イベント」のつくりかた
https://at-jinji.jp/expertcolumn/211
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⑤評価項目にバリューが反映されている

繰り返しになりますが、会社が発展するために、働く仲間が幸せになるために、「こういう価値観で仕事をしよう」というのがバリュー(価値観)です。となれば、そのバリューを体現している社員をしっかりと評価するのは、当然のことですね。求められて頑張ったのに、「それは評価項目に入っていないから(笑)」などと言われてしまうようだと、浸透するものもしません。

今回、バリューを評価制度に反映させる方法については詳しく触れませんが、”定量と定性を駆使して評価制度に反映させること”が欠かせないポイントです。


バリュー浸透に成功し、離職者0名を達成した企業

実際に、バリュー浸透に成功したこんなすごい企業さんがあります。
・設立2年8カ月で社員100名突破、離職ゼロ 社員ファースト経営で「日本一働いてよかったと思える会社」をつくる

創業3年経たずに社員数が100名を超え、何より離職者0名という驚異的な定着率を誇るiYell株式会社さんです。この企業さんはまさに『何をやるか? よりも誰とやるか?』を打ち出しており、トップ自らが①~⑤のポイントを全て抑えてバリュー浸透を行っています。

時代に合わせ事業内容や業務内容までもが変化する可能性が高まっている現代においては、『何をやるか?』よりも『誰とやるか?』を大切にして採用や教育を行う企業が成長し、業績を上げていくと思います。

また、アドラー心理学では、全ての悩みの原因は対人関係にあり、人生の幸せは人間関係が握っていると断言されています。人生の中でも大半の時間を費やすのが仕事ですから、やはり仕事は『誰とやるか?』を重要視することが、企業にとっても、社員にとってもベストな選択になるのではないでしょうか。

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