会社員を辞めて起業して得たもの・失ったもの

昨年11月に製薬会社を退職し4ヶ月、つまり1年の1/3が経過した。いろんな本やメディアから、起業したら最初は何一つ上手くいかないということは聞いていた。ただ、心のどこかで自分は大丈夫だろう、思い描いているビジネスは上手くいくはずだ、そう思ってしまっていた。甘かった。
辞める時には今の時期には新しい事業で生計を建てているはずだった。現実は甘くない。今、会社員時代に培った貯金を切り崩しながら生活している。目の前に映る残高が減っていくのを見るのは本当に怖い。不安ばかりが高まる。でも、自分が思い描いていたビジョンを信じて、事業をピボットしつつ進んでいくしかない。
この時点で書くのはまだ時期尚早だけれど、今感じている起業して得たもの・失ったものを記録に残しておこうと思う。
 
[得たもの]
・   自分が本当にやりたいことをやれる
これこそが起業した理由。会社員時代のように、誰かに決められて、誰のためなのかよくわからない仕事もあって、なのに常に仕事に追われているような状況は無くなった。今は自分がやりたいことを追求できる。でも、失ったもののところに書くが、そのやりたいこととマネタイズできることの間には思ったよりもずっと大きいギャップがある。
 
・   自分で時間の使い方を決められる
勤務表がなくなった。残業代とか36協定とかも気にする必要がなくなった。有休申請もいらない。自分が休もうと思うのが休む時。家族との時間を優先できるし、子供達と触れ合える時間も多くなった。だけど、できればその自由な時間をもっと仕事に割きたいというジレンマはある。
 
・   上司・上層部という存在を気にする必要がない
会社員のストレスの大半は人間関係、とりわけ上司によるものであることが多い。幸いにして自分は上司に恵まれてきて、人間関係で潰れそうになることはなかった。それでも、上司からのよくわからない指示だったり、相談しても有意義な回答が得られなかったり、上司の確認のための時間がやたら必要だったりとか、色々ストレスはあった。今はそれから解放されて、自分が決めることができる。ただ、その責任は全て自分にあるし、本当にその決断が正しかったのかは自分しかわからない。誰も本質的には助けてはくれない。
 
[失ったもの]
・   金銭的安定とそれに伴う精神的安定
起業して一番思ったこと。それは“お金が全て”ということ。これは会社員のときは人それぞれとか思っていたけど、自分で事業をやるようになると本当にお金が全てになる。お金がなくなれば夢も終わる。事業を諦めないと行けなくなる。それを実感する。そして今、自分はまだ十分な売上を得ることができおらず、したがって貯金を切り崩している。それは本当に精神を削られてしまう。
 
・   オフィスという居場所
会社員のときはオフィスで働くか、出張するか、在宅勤務するかの選択だった。今はオフィスがない(厳密にはバーチャルオフィス)。つまり、家を出ればあとはカフェやコワーキングスペースで働くしかない。これは当然起業した時点で分かっていたんだけれど、それでも決まったオフィスがないというのはすごく寂しく感じる。会社員時代のオフィスって、すごくありがたい場所だったんだなと実感する。s
 
・   コミュニティという存在
大企業でずっと勤務してきたから、独立した時のコミュニティの変化は想像できなかった。でも実際退職すると会社というコミュニティがどれだけ大切で自分の居場所を作っていたかを実感する。もちろん退職しても仲良く付き合ってくれる人たちはいる。でも、もう同じ業界にはいないし、以前とは違う。今は立ち上げたばかりの零細企業で、まだまだスタートアップ界隈の友人もいないしコミュニティにも入れていない。孤独な環境で暗中模索している。
 
・   決めてくれる人
会社員を辞めて起業すると、自分で全てを決められると思っていた。そしてそれは正しい。ただ、裏を返すとそれは即ち“誰も自分のために決めてくれない”ということになる。会社員とは究極は上司や上層部が求める100に対して、それ以上を求める仕事なのだと思う。一方で起業すると、自分で0から1を作り、それを大きくしていかなければならない。この二つは天と地ほど違う。
 
色々と述べたが、起業したことを現時点で後悔しているかと言われれば、それは全くしていない。成果が出ていくまで努力していくだけ。

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