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シーグラスきれいと微笑うきみの手に前世の欠片、無事に届いて。


死んだらさ、海の色素になりたい。

そんな途方もない来世の話をしながら
海辺を歩いた。

砂に足を取られながら歩く。

どこからたどり着いたのかわからない木片や貝殻を拾っては、投げて波に返してみる。

けれどやっぱり波に戻されて砂浜へ。

此処にたどり着いたんだねぇ。と、話しかけてみる。

あ、見て綺麗。と、君が走り寄って拾い上げるシーグラス。

海の模様が映ったように見えるその色彩を光にかざす。きれい。

もしかしたら前世の欠片が混ざってるかもね。
話の続きで、そんな事を口にしてみる。


“そうやって何度も巡り合うのかも知れない”

そんな事をこっそり想ってみる。

波には、投げずに君は、掌に包みこんだ。

シーグラスきれいと微笑うきみの手に前世の欠片、無事に届いて。

徳久 望


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