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徳久 望/Nozomi Tokuhisa
2024年9月8日 18:22
「神様も、自分で神様になることを選んだのかな?」華の金曜日。20時過ぎの居酒屋は、騒がしい。そう呟いた彼女は、俯きがちに焼酎ロックの氷をカラカラと遊ばせている。島美人。この居酒屋に来るといつもボトルキープで入れる焼酎。ボトルキープのはずなのに、その日の内に飲み終わってしまう。店を出る頃には、ふらふらのくせに それからカラオケに行こうと言って先陣を切って走り出す。「
2024年9月5日 05:56
「8月32日をほんとに夢見るなんて馬鹿みたいだよねぇ。」夏休みの終わりが近付いていたその日。気怠げに彼女は、そう言って駅前のコンビニで買ったアイスクリームを舐めた。その光景がそれから先「夏」を思う時の代名詞になるとは、知らずに僕は、ぼんやりと眺めていた。空には、澄み切ったアオが広がり、雲ひとつない。「例えば、この空のあおさが心だったらどうする?」隣で同じようにアイスを食べてい
2024年8月21日 20:22
「生まれた事に意味なんてないのにさー。生まれてきた意味なんて考えて世界発展させてきた人類ってちょーゆーのーじゃね?」たまたま寄った居酒屋で絡んできたデリヘル嬢は、そう言って、炒飯を頼んでいる。そして何故か瓶ビールのグラスが私の目の前にも置かれている。「そっすね。あ、ざっす。いただきます。」と、乾杯をしながら。持ち前の人間力を彼女は、発揮する。褒めてみるとうるせぇ殺すぞと睨ま
2024年8月19日 19:30
「ほんとに信じるって心の中で黙って思う事じゃないかな。」ぽつんとその人は、言って遠い目をする。信じる。には、人それぞれの”信じる”があるような気がする。小さな弱さが見え隠れする。スンとした意志を感じる。信じるは、孤独に似てるような気がする。信じる。って言葉に君はどんな背景を見ますか?心の中で黙って想われている人にその想いが届けばいいなとぼんやり思う。心の中に大切な人が
2024年8月18日 20:34
「地球が裏返ったらどうしよう。みたいな事言ってるようなもんだよ。」その酔っぱらいは、そう言って考えすぎだよと笑う。そっか、そういうもんか。と、頷きながら考えるってどこまで考える事がセンスの良い考え方なんだろって、考える。ゲシュタルト崩壊。地球が裏返ってしまうかもしれない。物事の捉え方って、ひとそれぞれで面白い。重たく捉えて動けなくなったり軽く捉えて大目玉をくらったり自
2024年8月17日 18:46
夏にインストの楽曲を聴きながら歩くと蝉が歌ってくれるみたい。蝉ってやっぱりずっと歌ってたんかー。そんな事にときめきながらスーパーまでの道を歩く。いつもの道に新しい気付き。そういうものに出逢える事が嬉しい。毎日にときめいていたい。そんなときめきは、ふとした瞬間に訪れる。青い空に浮かぶ入道雲の形に驚いたり飛行機雲の行方をぼんやりと眺めてみたり。今ここにしかないものって
2024年8月15日 20:42
深夜のファミレスで本を読む事が好き。そう言うとなんだかカッコつけているみたいだけどなんとも言えない安心感があるの。読もうと思いながら先延ばしにしていた本をリュックに詰め込んでファミレスに行く。あれを読もう、これを読もうと、詰め込んでいるだけで、不思議と愉しい。じんわりと重いリュックが高揚感に変わる。あれも、これも、と、詰めながらこれだけの本を読めるわけがないとわかってい
2024年8月11日 22:27
夜から朝に駆ける空気の味が秋だね。そんな事を話す朝焼けに繋がる夜道。「梅雨なげぇーよーー。」そんな風に感傷を誤魔化して笑う人。「夏ってさ、終わりと始まりどっちを夏って言うかで心の位置って少し、見えるような気がするよね。」そう言うと同じかもね。と、遠い目をする。夜風が涼しい。いやほんとはちょっと肌寒い。そんな些細な事を分け合える距離にいる人との出逢いは、特別な
2024年8月10日 18:41
空を見て「今日は、海が青いだろうね。」って、ちょっと遠出をしてお昼を食べに行く午前11時にその人は、言って。今年まだ一度も見ていない海をぼんやりと想像した。空に海を見るってなんだか不思議だ。次々に変わりゆく景色。車の窓に潮騒。人ってどこにいるんだろう。そんな大袈裟な事を考える。ラジオから流れてくる懐メロ。簡単に心は旅に出てしまう。残念ながら目的地だったお店は、臨時休業