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ブラックミュージックが教えてくれること

ニューヨークタイムズが新しく始めたポッドキャストシリーズ”1619”がとても興味深くて、毎週新しいエピソードが追加されるのを、とても楽しみにしています。

エピソード3はブラックミュージックの誕生について語っていたのですが、心をグッと掴まれる、素晴らしいポッドキャストでした。

ブラックミュージックのルーツは、1619年にアフリカから連れて来られ、何代にもわたり奴隷として働かされていた黒人が口ずさんでいた歌だとされています。その歌を聴いた白人トーマス・ダートマウス・ライスが”ジム・クロウ”という黒人キャラクターになり、自らの顔を黒く塗り、歌い始めたことが、白人達に受け入れられたそうです。この”ジム・クロウ"というキャラクターは、今でもアフリカ系アメリカ人を差別する言葉として残っています。

イタリアのオペラやイギリスのオーケストラを”アメリカの音楽”として、とりあえず楽しんでいた白人達は、心のどこかで本当のアメリカの音楽を求めていました。当時、黒人の奴隷制度を無くすような風潮もあり、一部の白人は黒人を奴隷として雇い、彼らの自由を奪っていることに心苦しく思い始める人もいましたが、ジム・クロウの登場に、”これこそがアメリカの音楽だ”と白人達は結束を強めました。黒人を奴隷にすることや、彼らに対して罪悪感を持たなくていいじゃないか、だって彼らは奴隷でいても楽しそうじゃないか、という人種差別を正当化する言い訳として、ブラックミュージックは使われていました。

しかし黒人達は楽器の使い方を工夫し、ジャズやゴスペルといった様々な新しいジャンルの音楽を生み出しつづけてきました。

ブラックミュージックは何十年、何世紀も自由を否定されていた人達の音です。ですが、ブラックミュージックは自由があると永遠に信じることを表現しています。信じることのために戦うのは価値のあることで、その痛みは喜びに変わり、喜びを表現することは人に伝染するだけでなく、それは生きる為に必要なことで、誰にもそれを奪うことなど出来ない。「ブラックミュージックはアメリカの音だ」というとてもパワフルなメッセージが込められたポッドキャスト。聞き終わる頃には、なんだかグッときて泣けてきました。

アメリカ人として、黒人達は自由を信じてきました。そして、それこそが彼らが世界に向けて言いたかったことです。ブラックミュージックのパワーは、アメリカの自由を信じる、この上なく最高の表現方法なんだ、と知りました。


このポッドキャストは英語が分からなくても、パワフルな音楽が溢れていて、誰でもブラックミュージックの情熱が伝わるように構成されていると思います。興味のある方は、是非聴いてみてください。

Bibliography :1619 ブラックミュージックの誕生






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