見出し画像

仕事のない日

 再就職したら、土日が勤務日になった。

 2年ちかくぷーたろーしてたんで、曜日なんて関係ないかなって思ってたけど、仕事もないのに「朝ドラのない日は休養日!」って結構染み付いてるみたい。朝ドラ、がっつり観てたからなぁ。
 前作からか土曜日の放送がその週のまとめになっちゃって、「土日はドラマが進まない」ってのもお休み感を増してる。昼近くからの勤務なので相変わらず朝ドラ観てるけど、朝ドラを観ない土日にも出勤して、平日の休日に朝ドラ見る生活。体が慣れない。

 「社会」がお休みの日、平日とは違う装いの人が乗ってる電車や、休日閉めちゃってるお店が多い「知らなかった街の空気」も嫌いじゃない。ビッグイッシューを売ってるおじさんは、いつが「休日」なんだろうか。
 以前は学生や事務の人、お店の店員さんで溢れかえっていた街も、今は平日から閑散としている。緊急事態宣言下での出勤。本を整理しなきゃいけないし、現場の問題を解決するのは、オンラインではできやしない。

 夜8時を過ぎてからの帰路。お店はきれいに閉まっている。たまに灯がついているところも、CLOSEして中で店員さんが食事してたり、数字を見てぼおっとしてる。これまでのご愛顧に礼を述べ閉店を知らせる紙が貼られたシャッターも目につくようになった。たまに、大声で話す人が注目を集める。

 連れあう人々は沈黙し、たむろする人々も小声で囁くようになった。マスク越しでは聞き取れないことも多く、聞き返してまで聞く必要もないだろうと、適当に相槌ちをうつ。古本以外にもスキー用品や楽器を扱う店も多いのだけど、平日も土日もお客さんの姿を見かけない。街が疲弊している。
 人々が困憊(こんぱい)している。いや、街を歩いている人は、まだ買い物ができ仕事がある人だ。仕事を失いお金が尽きた人は、ここにはいない。

 って書いてたら、家族が、昨日の銀座はすごい人出だったって話をしてる。八ヶ岳山麓に居を構える友人からは、スキー場、東京ナンバーいっぱい来てるよって話も聞こえてくる。株価も相変わらず右肩上がりだし、高級品がバカバカ売れてるってニュースもあった。
 「成長社会における一部の停滞」、自分も頑張れば豊かになれるなんてとっくの昔に消え去って、「停滞社会における一部の活況」、格差が固定されている。仕事のない人がいる。そんなことを考えてしまう振替休日の日曜でした。

2021年2月7日


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?