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本の棚 #256 『世界は経営でできている』
この世界をどんなフィルターを通して見ているか。
そこに唯一の正しいものなんてないんだけど…
どんなフィルターなのかを認識することは大切だろう。
本屋さんで初めて見た本だったけど
最初の数ページを読んだだけで筆者の文体に
惹きつけられる。
令和冷笑体エッセイ、と書かれているそのものだ。
貧乏、家庭、恋愛、勉強、就活などは
すべて経営でできているという本書に
多くの読者が共感するなにかがある。
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経営するのは企業だけだと思い込むのは無知と傲慢のなせる業だ。
学校、病院、家庭、個人…
すべてにおいて経営概念は存在する。
それが欠如することでうまくいかなくなることが多々ある。
けれど経営について教えてもらえる機会は
実はそんなになかったりする。
本来の経営は
「価値創造(他者と自分を同時に幸せにすること)という究極の目的に向かい、中間目標と手段の本質・意義・有効性を問い直し、究極の目的の実現を妨げる対立を解消して、豊かな共同体を創り上げること」
長い!
けど、そうなんだ。
この思考があり実現に向けた行動があれば
あらゆることがポジティブにすすむ。
確実にうまくいくとはいえないが
この概念を理解していることが大切。
「理想の恋愛相手は天才ロボット学者でもない限り作れないが、理想の関係は作れる」
恋愛は手段にすぎない。
その先の目的には自分と相手の幸せがある。
相手との関係性をどのようにつくるか。
理想の関係はどんなものだろうか。
そこが明確になっていないから
うまくいかない恋愛が世にあふれる。
勉強においては「はじめに全体観を把握してから最も弱い部分を補強していく」必要がある
勉強にも経営が必須だ。
積み上げ式でやっていくよりも
全体観を見ながら弱点を補強していくほうが結果が出やすい。
そしてその弱点はTOC理論でいうボトルネックのように移行していく。
就職においては常に「自分の人生の究極の目的が何なのか」を考え続けないと、悲喜劇を演じ続けることになる。
死ぬときに何と言われたいか。
こんな質問をされることはそうそうない。
でもこの問いの答えを考え続けない限り
いつまでも「なにしてんだろう自分」
となってhave toまみれの人生を送ることになる。
世の中の九割九分九厘の人は仕事をしていない。その筆頭はもちろん私である。
顧客不在の仕事は「運動」にすぎない。
だれのために、どんな価値を提供している?
その答えとなる行動が仕事だ。
そしてそれ以外は仕事ではない。
問題なのは、確率論的にいって「特定の職階では優秀だったが次の職階では優秀でない人」が多数いるということだ。
ピーターの法則か。
人は能力の極限までは出世するけど
どこかで無能になる段階がある。
そうなる前に教育するか、なったあとに降格してもらうか。
という感じだと思うけど…
無能になった上司を前にした部下はなかなかに辛いものがある。
健康は経営だ。健康という価値を創造するには健康への障害を取り除かねばならない。
人は短期的な快楽のために長期的な利益を害する。
食事に関してはこんなことばっかりだ。
油たっぷりの食べ物、甘すぎる食べ物は
短期的な快楽でしかない。
もちろんゼロにしたらそれはそれで
つまらない人生になるから嫌だけど
健康を害するほどにはやめておきたい。
本当は、価値は無限に創造できる。
そして価値が無限に創造できるものならば、他者は奪い合いの相手ではなく、価値の創り合いの仲間になれるのだ。
競合他社、というのはまさに価値の奪い合いをイメージした表現だろう。
同じ価値ではないものを創造すればいいと
簡単には言えないけど
二番煎じはやがて廃れる。
人間とは、価値創造によって共同体全体の幸せを実現する、「経営人」なのである。
ほかの動物と人間が異なる点はここだ。
価値創造を続ける共同体であり
家族でもない他者に思いを馳せる。
人類皆経営人。
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