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旅日記「屋久島中毒=屋久中」らしい

茂みの奥に見えるだろうか?

「シシガミ様」の神々しい姿が。

もののけ姫が大好きで、それだけで

一度は屋久島にいってみたいと

ノートに書いた学生時代。

まさか仕事で鹿児島に2ヶ月の長期滞在になり

まさかそのタイミングで屋久島に移住した

大学の後輩テツローから連絡がくるとは。

これは運命を感じざるを得ない。

というか、屋久島は沖縄側にあると

勝手にイメージしていたが

なんと鹿児島から高速フェリーで

サクッといける位置にあるなんて知らなかった。

連絡がきた10分後にはフェリーを予約。

世界自然遺産、屋久島への旅が決まった。

屋久島前夜〜

「明日はクワガタをとりにいくぞ」

と父親に言われてワクワクしすぎた結果

全く眠れなかった子ども時代…

まさかもう一度あの経験をすることになるとは。

もう眠れないから、眠らないと決意したのが午前2時。

7時のフェリーだから寝過ごすわけにはいかない。

日本最南端の電停「谷山電停」


始発じゃなくても間に合うのに

なぜか意気揚々と始発に乗り

フェリー乗り場を目指す寝不足の33歳は

フラフラの足取りでファミマでコーヒーを買い

目をギンギンにさせて桜島に伝えた。

「いってくるぜよ」


屋久島1日目

フェリーにのったあとの記憶は…ない。

コーヒー飲んだのに爆睡したのだ。

途中種子島に寄ったはずなんだけど

その記憶もない。そうだ、眠かったんだ。


宮之浦港に到着して最初にしたことは

オンラインミーティング。

おや?様子がおかしいぞ。

説明しよう。

なぜかその日にオンラインミーティングが

スケジュールされていたのを忘れていて

到着してから気づいたのだ。

もちろん、宮之浦でオンラインミーティングしているのはぼくだけ。

待合スペースでの居心地の悪さから脱するために

外に出てみるが風が強い…

もうミュートにするしかなかった。

どうかお許しください。

とお祈りしているとミーティングは終わり

終わると同時にテツローが迎えに来てくれた。

彼は6万円で手に入れたといういけてる電気自動車で現れた。

こんがり焼けた肌以外は大学のときのまんまだ。

10年振りくらい?だけど不思議と大きな感動はなく

昨日も遊んでたよな、くらいの感じで再開した。

着いたら腹ごしらえ。

屋久島ならではなんてのは全く無視した

おいしいラーメン屋さんにいく。

そこでテツローから衝撃の一言。

「このあとぼく仕事あるんです」

相変わらずすぎてとりあえずスルー。

「だからなんか暇つぶししといてください」

もう、わかった。むしろワクワクしてきた。

というわけで、向かったのが

「一湊(いっそう)」

寝泊まりさせてもらったゲストハウス「七福」がある港町だ。

海も山も川もぜーんぶある最高の環境。

屋久島の北部にあたる。

屋久島は丸い形をしているので

「何時の位置」かという表現で

その町の位置をつかめる。

宮之浦は14時、一湊は12時だの位置だ。

さて、ゲストハウス「七福」についた。

もうまずこの家が感動した。

ホテルとか宿に泊まると、大体嫌な感覚がして

落ち着かなかったり、眠れなかったりするんだけれど

この家は、むしろ安心感に包まれていた。

その証拠に毎日布団に入ってから

1分以内には意識がなくなっていた。

なにやら西郷隆盛さんも泊まったとかなんとか

もう築年数は100年近いらしい。


そのゲストハウスで出会った

かずき&こころ夫妻に暇つぶしにと

勧められたのが「矢筈嶽神社」と「番屋峰」

テツローにサヨナラを告げてまず向かったのは

矢筈嶽神社。

七福のオーナーであるきみかさんが

スピリチュアルな人に聞いた話では

「あの神社は世界で9本ある”柱"のうちの1本だ」とのこと。

なんだ柱って?パワースポット的なやつか。

それは楽しみだ。

海岸沿いを歩いて30分ほどでつく、と聞いたので

飲み物も持たずに歩き始めた。

神社への道は意外と険しく、

ちょっとした山をのぼったり、下ったりと

平地を歩くのとは体力の消費が違う。

とはいえまだまだ身体は動く。

よっしゃー着いたーと思ったら。

「矢筈嶽神社 入口」の看板。

ここからなんか茂みのなかを歩くことになり

長ズボンでよかったと思った。

半パンにサンダルなら確実に後悔する。

そして神社に到着。

少し変わったつくりになっていて

鳥居をくぐったところに小屋があり

その横にある細い道を通ると

ほこら、と言うのが正しいのか。

湿気で全体がキラキラしていて

ポツンポツンと水滴が落ちる音が響く。

さっきの七福とはうって変わって

「寒気」「恐怖」を感じることになる。

1分もいられなかったと思う。

間違いない。

「あれは世界に9本ある”柱”のうち、3本目の柱だ」

怖かったから急いで帰ったゲストハウスで

ぼくはみんなにそう伝えた。

−−−−−−−−−−−−−−

少し休憩を挟んで、まだ体力があったため

「番屋峰」を目指す。

これはシンプルな山登り。

子どもの頃から慣れている。

とはいえ一人で本気の山に登るのは

あまりおすすめできない。

空が見えるまでの15分は

虫やらカエルやら鳥やらの声が響く森の中を

落ち葉ですべりそうになるのをこらえながら

汗だくになって登る。

番屋峰頂上付近の「樹のトンネル」

頂上で20分くらい寝転んで空を眺めたあと

山を下っていくのだが…

おや、道がわからない…

来た方向と違う方にいってるな…

よし文明の利器「スマ〜トフォン〜」

…け、圏外や。

イエス、こりゃ遭難だ。

頂上では電波ビンビンだったから

テツローに連絡していた。

冗談で「これが最後の連絡になるとは、そのとき誰も知らなかった」

とかやりとりをしていた30分後に

遭難モードに突入していた。

しかし、ぼくは明らかに人間がつけた

ピンクのテープを発見する。

これを辿っていけば、人間に会える。

というよくわからない感覚に混乱しながら

ピンクのテープを追いかける。

すると…

あ、アスファルト!いや道路!

干からびた電波をキャッチしたスマホで

自分の居場所を見ると…

来た方向と反対側に出てる。

まぁ、歩いて帰れるレベルだ。(推定30分)

アスファルトの道路をひたすらに歩いて

ゲストハウス七福を目指す。

持っていっていた500mlの水は頂上時点で

空っぽだったから

帰ってすぐに水を飲んだ。

こんなに汗をかいたのは何年ぶりか。

神社の恐怖と遭難の危機、からの七福の安心感に癒やされる。

夜はテツローの仕事が終わってから

宮之浦のおしゃれごはん屋さん

「Panorama」へ。

サーファーシェフのトシさんと奥さん、

サップインストラクターのフウマさん、

みんな気さくに話してくれて

翌日のサップにまで誘ってくれた。

屋久島のクラフトビールとトシさんのつくる

最高の料理を堪能して、一湊へ戻る。

屋久島2日目

朝7時すぎに起床する。

なんたって今日はあのもののけ姫の舞台?

白谷雲水峡にいけるのだ。

9時には白谷雲水峡登山口に到着。

もうここからは言葉はいらなかった。

杉がすごい。すご過ぎ杉。

どうも、シシガミ様。

道中の景色もさることなら

白谷雲水峡の頂上での絶景は

忘れられない。

写真には収まらない、そんなスケールだ。

下りの道中にはテツローが

粋なコーヒータイムをとってくれて

湧き水でホットコーヒーを入れてくれた。

ちょっと薄めのコーヒーが

その環境にはぴったりで、染み渡った。

さすが2日連続の山登りで、脚の疲労を

感じるようになってきた。

しかし、テツローがにやにやしている。

どうやらもののけの森には

「超回復の魔法」なるものが存在するらしいのだ。

9本の柱の次は超回復の魔法か。

もう騙されないぞ!

と思っていたら、「ここにしましょう!」

と川が流れる場所でストップ。

何をするのかと思うと、靴を脱ぎだした。

まさか…足湯?

そうだ。キンキンに冷えた川の水に

脚をつけるだけ。これが超回復の魔法。

5分ほど足湯ならぬ足水をしただろうか

冷たすぎて「うわぁー!」叫びながら耐えた。

オッコトヌシ様ごめんなさい。

そして手ぬぐいで脚を拭いて靴をはいて歩き出す。

あれ?脚が………ない。

ない、いや、ないほどに軽いのだ。

キンキンに冷やされた脚はまるで魔法に

かかったかのように、羽を広げた。

そこからの下り道はスイスイと進み

あっという間に下山した。

時刻は13時。お腹が減ったぞ。

こんなときはスーパーだ。

地方のスーパーにはその土地にしかない

おろしろい食材が揃っていることを

ぼくは知っている。

さて、屋久島のスーパーには何があるのだろうか。

と期待していたが、あまり目新しいものはなく

惣菜を買って、一湊ビーチで食べることに。

というのも、昨日サップに誘ってくれた

トシさんたちがいると連絡があったから。

一湊ビーチにつくと、遠く遠くに

ボードに乗った姿を確認できた。

あんなところまでいけるか…

サップをなめてました。はい、海パン無いから

海に入れません。

そんな感じで海を眺めていたら

色黒のいかつめのお兄さんがやってきた。

テツローが変なイントネーションで

「マコト兄ちゃん」と呼ぶ。

そうか、この人はこの街の、みんなの兄ちゃんなのか。

どうやら釣りのインストラクターを仕事にしているマコトさんは

昼間は暇だから海の調査にきていたらしい。

今夜は仕事ではなく自分が楽しむための釣りにいくそうだ。

漠然と「釣りがしたい」と考えていたけど

さすがに初対面の人にはお願いできないか

と思っていた。

そのあとはみんなとお別れして

七福の向かい側にあるカフェ

「キヨコンネガイ」で井戸端会議。

アイスコーヒーを頂きながら

なんとなくの時間をぼんやりと過ごす。

夜はテツローは仕事のため、ぼくは

自分で何をするか決めようと思い

七福に戻ろうとカフェを出て歩いていると

1台の車が目の前に泊まった。

ん?あっ、マコトさんだ。

「夜の釣りに一緒にいくか?」

「えっ?いきます!」

考える前に反応していた気がする。

なんてタイミングでの出会いだろう。

あと15秒ずれていたらすれ違うことはなかったのだ。

これにも運を感じる。

17時に七福まで迎えに来てくれたマコトさんは

一湊の釣り場に連れて行ってくれて

手際よく仕掛けをつくってくれて

大いにぼくの釣り欲求を満たしてくれた。

南国だけあってカラフルな魚もいて

釣る楽しみと見る楽しみと

どちらも存分に楽しむことができた。

ありがとう、マコトさん。

−−−−−−−−−−−−−−

夜は屋久島焼酎「三岳」と新鮮な刺し身。

かずきがニューヨーカーから聞いた

おいしい焼酎の飲み方がある。それは

「ちょい水」

???

初めての聞いたときは笑ったが

たしかに焼酎9に対して水1を注ぐことで

「う、うまい」

さらには屋久島の湧き水(超軟水)で

割るからさらにうまい。

ニューヨーカーおそるべし。

炭酸で割ってみたりも試したが

やっぱり湧き水のちょい水が一番。

こんな食を続けていると胃が喜ぶ。

明日は屋久島を一周、そして帰宅だ。

本日も快眠なり。


屋久島延長戦

朝7時過ぎに起床する。

疲れてるけどワクワクが勝つ。

屋久島一周のプランは「反時計回り」

まずは朝ごはんを食べるために

永田地区の豆腐屋「芝とうふ店」へ。

朝から豆腐なんて、優しすぎる。

できたてほやほやのお豆腐セット

豆腐のうえにのってるのは

パンの耳ならぬ「豆腐の耳」

もともと身体の一部であったかのようになめらかにのどを通る豆乳

酸味のあるグァバジュース

右上は豆腐のお菓子。

朝から贅沢を堪能して、

豆腐屋の近くの湧き水をペットボトルにつめて

目指すは横河渓谷(よっごけいこく)

車で近くまでいけて、歩くのは10分ほど。

大自然の美しさ、

川がつくりだすかわらかい風は

人口のビルの間を通る風と比べて

カクカクしていない。

そこでまたテツローcoffeeの出番。

さっき汲んだ湧き水を沸かして…

今度は豆が多すぎて濃いね。とぼやきながら

渓谷をあとにする。

そこでぼくの決意は決まった。

「帰るのは明日にしよう」

16時発のフェリーを予約していて

急いで屋久島一周回れば間に合うけど

「なにを生き急いでいるんだ」

そう渓谷に警告された気がしたのだ。

すぐに明日の朝一の便に変更の電話をして

車に戻ると…テツローが

「ほらっ、いったじゃないですか」

と地元民でもないのにどこか誇らしげな顔。

延泊しちゃうほどの魅力が、ここにはある。

彼が移住したのも頷ける。

そして次なるターゲットは「大川の滝」

これで「おおこの滝」と読むらしいが

地元のじいちゃんは普通におおかわの滝って
言ってたから

どこかの時代の誰かがただ間違ったのかもしれない。

日本の滝百選にも選ばれるこの滝は

見るものではなく、体感するものだ。

岩を登ってすぐ近くまでいける。
(いっていいのかはわからないけど)

水しぶき、轟音、風、マイナスイオン…

もうとりあえず洗われる感覚。

滝が好きな人は行くべきスポットだ。

道中で猿やら鹿やらに出くわす

自然すぎて人間への警戒心があまりない。

車で近づいても…避けない。

そりゃあそうだ、ここではぼくたちが部外者。

毛づくろい中に大変失礼しました。

そして、次は屋久島時計7時の位置にある

「平内海中温泉」

なんと、いつもは海の中にあり

干潮時のみ姿を現すという変わった温泉だ。

しかも混浴…

そのときは地元のおじいちゃんがゆっくり

海を眺めながら温泉で身体を癒やしていた。

テツロー曰く観光シーズンは若い男女も

入ったりしているらしい…

とまぁ、くださない邪念は海水の塩で清める。

湧き出る温泉と海水が混ざっているので

なんとも言えない肌触りが心地いい。

大自然の前で全裸になると

人は無力であることを自覚できる。

さっぱりしたぼくらは次なる温泉を目指す。

噂によると死ぬほど熱いらしく

46度以上の温度ということで

42度ですぐにのぼせるぼくにとっては

致死量、いや、致死温?

しかしトライすることに価値があるのだ。

いざ「尾之間温泉」へ。

見た目は、地元の温泉。

300円で入れる、そして無防備な猫は

さわり放題という特典付き。

浴場に入ると…まず熱風。

精神を極めたような

武術の達人のような老人が

温泉の横で精神統一している。

だれも湯船に入っていない…

テツローはなんの躊躇もなく入る。

「えっ、いけるやつなん?」

なんだ、大したことないパターンかいなと

脚をつけた瞬間に電撃が身体を走る。

「ん?いたずら好きのピカチュウいない?」

全身をつけたころにはのぼせるというよりは

茹で上がるという感覚に近かった。

昨日は川の水でキンキンに冷やされたのに

今日は温泉でブクブク茹でられる。

「こ、これが屋久島のGAPか」

人はGAPに魅了され、中毒になる。

屋久島に魅せられた者は「屋久中」という

聞き間違えること100%の称号を得る。

茹でられた僕とテツローが向かった先は

「猿川ガジュマル」

ガイドブックにも載っていない。

目立つ看板もない。

地元の人に聞いたり、ガイドさんに案内してもらわないと

おそらくいきつくことはできない。

現にテツローも入口を把握していなかったため

来た道を戻ることに…

駐車スペースもわかりづらい。

そこから歩くことに10分ほどで

ガジュマルの群生地にたどり着く。

ガジュマルの成長の仕方が独特で

枝からひげみたいなのを垂らして

それが地面に着いたら、どんどん太くなって

まるで根っこが宙に浮いているように見える。

ここでは自然に成長したガジュマルの姿を

その歴史を体感することができる。

−−−−−−−−−−−−−−

「千尋の滝(せんぴろのたき)」

千と千尋の神隠しを想像した人は、

どうぞ勝手にそう思っておいてください。

想像することはその人の勝手ですから。

この滝は近くまではいけないものの

そのスケールは圧巻。


そのあと屋久島のなかでは栄えている

安房地区をドライブして

「クリスタル岬」

新たな遊び方を開発する。

遊び型の詳細は七福の旅ノートに記載した。

気になる人は七福を宿泊してほしい。

そして、懲りずに地元スーパーを物色する。

そこでおいしそうなお刺身を調達して

夜は七福でご馳走+三岳ちょい水を頂く。


かずき&こころ夫妻の生い立ちを聞くと

実はぼくとの共通点がたくさんあったり

僕の奥さんの高校の後輩であることがわかったり

出会うべくして出会ったのだろう。

いろんな人の人生を感じることができた。

延泊してよかった。

屋久島のみんな、ありがとうございました。

次は家族を連れいきます。

#一度は行きたいあの場所

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