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本の棚 #149 『デザインが日本を変えるー日本人の美意識を取り戻すー』

美意識を取り戻す、とあるように

「日本にはもともと美意識あったよね?」

という認識。

この自覚を果たしてどれだけの日本人が

持っているのだろうか。

欧米のブランドを身に着け、まちを歩く。

身に着けているもの、家にあるもの、

その他普段使っているもので

日本ブランド、日本デザインと呼べるものは

どれだけあるだろう。

「わび・さび」という茶の湯の精神にあるように

日本を日本たらしめてきたデザインの力が

この国にはたしかに存在する。

日本人が気づいていない日本がまだある。

MAZDAの考えるデザインとは。

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“マツダエレガンス”
日本のいにしえから脈々と伝わるシンプルな美、引き算の美学を突き詰めていく

ものづくり、組織づくり、まちづくり…

いろんなものに精通する引き算の美学

もう十分すぎるほどに

足し算された街は自然と引き算され

組織もスリムになってくる。

問題は“美しく引けるか”というところか。

つまり大事なのは、カタチと言葉ーまるで車の両輪のように2つが並び揃ってこそ初めて相手を動かす力が生まれるー

デザインしたものを相手に伝えるときに

まずはカタチとしなければならない。

イメージは伝わりにくい。

でもそれだけでは不足している。

不足を補うのは言葉だ、と筆者は言う。

そして言葉だけでもだめなわけで

この2つがバランスよく設置されて

回転することで、前に進む。

ちょうど車の車輪ような話で

人のコミュニケーションも片輪だけでは

どうもバランスが悪く、前に進むことではなく

バランスをとることそれ自体に

パワーを使うことになる。


私は人を動かすための一番強力な手段は、その日を感動させることだと考える。

なにかの本で読んだことがある。

人を動かすのは「感動」と「利益」だと。

利益はつまりお得、メリットとも言い換えられる。

メリットがあるならやるよ、という。

感動は、心が動かされる様をいう。

記憶に残り、何か恩返ししたい、

この感動を他の人にも伝えたい。

こっちのほうが内側から湧き上がるような

自発的な感じがするから好きだ。


マツダ社内において“変態”というのは誉め言葉である。少なくとも私がそれを口にするときは最大級の賛辞を贈っていると思ってもらって構わない。

変態、バカ、狂ってる…

突き抜けたもの、人を感動させるものを

作る人たちは、どこかおかしい。

おかしいからこそ人の心を動かせる。

だから変態を増やそう、バカ大歓迎。

そういう人が輝ける環境を

どんどんつくっていければ

おもしろい国になる。

iPhone
本来ならこのデザインは日本から出てきてほしかった。

スティーブ・ジョブズが禅に精通していたことは

様々な著書で語られている。

そしてiPhoneのデザインの基盤には

禅の思想がある、とのこと。

「たしかに、禅を感じる」

そんな調子にのったことは言えないが

これだけ永く愛されていることが証明してくれるように

日本的なものを多くの人がほんのりとでも

感じているからだと、ぼくは思う。


いかにシンプルに、いかに味わい深く作っていくかー私はそこに日本的ものづくりの指針があると気付いたのである。

ものをなくすことで豊かさが生まれる。

豊かさにつつまれると、ものは少なくなる。

高度成長期を終えて30年が経ち

緩やかで、なだらかな丘を降りていく、

そのなかで日本は今まであったものを

少しずつ手放していく。

しかし数は減って、いや減ることで

奥深さ、味わい深さは

さらに洗練されていく。


マジョリティとマイノリティの狭間を“揺れ動く”作業

建築家の谷尻さんとの対談。

空間づくり、家づくり、車づくり、

作品になってはいけない。

けれども世論に迎合しすぎるとつまらない。

その中間の一点を狙うというよりは

常に変化する、対応する、

そのために感じ取る能力が必要だ。

それだけじゃなく自分たちのぶれない芯、軸

これを持っておくことが

時代という激流に振り落とされないための

一つのポイントになるかもしれない。

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#読書 #デザイン #マツダ #ものづくり

#ブランド #組織 #前田育男

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