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世界終わろう委員会

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僕は知らなかった。なんでもないはずの日常にいつか終わりが来ることを。 初瀬四季が送る青春恋愛ボーイミーツガール。  たとえ世界が終わっても、あなたと。  未…
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2019年10月の記事一覧

第9話 幕間:金目鯛

「金目鯛が赤いのは天敵から隠れやすくなるかららしいですよ?」  少年が、なにやらスマホ…

第10話 話がある

 翌日の始業前。  僕は、隣のクラスの椎堂-シドウ-さんを訪ねた。  その辺を歩いていた…

第11話 最低

「どこから見てたんですか?」  恐る恐るそう質問する。 「あなたが、なにか、ブツブツ…

第12話 幕間:初デート前半

 夕暮れの教室で、少女がボソッと零した。 「明日、付き合ってくれない?」 「喜んで!」…

第13話 確かなもの

 なにも、言えなかった。 「先月、帰り道で通り魔に殺されたって。あなたの方が詳しいはず…

第14話 幕間:初デート後半

 テントを購入した帰り道、どこかでお昼ご飯を食べる事になった。  なにを食べるか、話し…

第15話 おかしい

 おかしい。尾張さんにさわれる。  尾張さんの背中に触れた手を、肩にまわす。  尾張さんは死んだ。確かに殺されたはずだ。  そして、今ここにいる彼女は、実体のない幽霊のようなもの。もしくは、僕の妄想の産物のはずだ。  肩から、彼女の顔に手を移動し、頬をつまむ。 「ひみにふん。はにふふおよ。」  尾張さんが何か言っている気がする。 「椎堂さん。」 「なに?」 「幽霊って触れるんですか?」 「はぁ?」 「はへはゆふへいよ。いいはへんははひははい。」

第16話 好きだったのよ

「私ね、尾張さんのこと好きだったのよ。」 「いきなりそんなカミングアウトされても困るん…

第17話 前提がおかしい

「そもそも、私が死んでいるっていう前提で話を進めるのやめてくれないかしら。」  尾張さ…

第18話 結局

 通算15人。  尾張さんの、呼びかけを完全スルーした生徒の人数である。 「これで、決定で…

第19話 覚えてないわね

「覚えてないわね。」  一応、尾張さんに犯人を聞いてみたが、答えは予想のとおりだった。 …

第20話 幕間:世界が終わった日

 その日は嵐だった。  前日の深夜から降り出した雨が、時間を経るごとに勢いを増し、学校…

第21話 また明日

 流星群?と、疑問符を浮かべている尾張さんではなく、椎堂さんが発言する。 「そういえば…

第22話 幕間:世界が終わった日の続き

 葬式には行かなかった。  尾張さんの訃報を聞いた日。どうやって家に帰ったか、それすら覚えていなかった。  ただ、家についてから、三十八度の高熱を出し、寝込んだ。    このまま、死んだら尾張さんの後追いみたいだなぁ。  夢うつつでそんな事を考えていた。別にそれでもいいと思えた。  風邪は三日で治った。しかし、家から出る気にはなれなかった。  尾張さんの世界は彼女が言った通りに終わりを迎えた。  それが、望み通りの終わりだったとはとても言えないし、彼女