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第22話 幕間:世界が終わった日の続き

 葬式には行かなかった。

 尾張さんの訃報を聞いた日。どうやって家に帰ったか、それすら覚えていなかった。

 ただ、家についてから、三十八度の高熱を出し、寝込んだ。
 
 このまま、死んだら尾張さんの後追いみたいだなぁ。

 夢うつつでそんな事を考えていた。別にそれでもいいと思えた。

 風邪は三日で治った。しかし、家から出る気にはなれなかった。

 尾張さんの世界は彼女が言った通りに終わりを迎えた。

 それが、望み通りの終わりだったとはとても言えないし、彼女が本当に終わりを望んでいたとも思えなかったけれど。

 そして、僕の世界も同時に終わりを迎えた。

 いや、終わらなかった。
 何故かまだ、続いていた。
 
 それを認めたくなかった。  

 家から出れば、終わらない日々が始まる。彼女はもういないのに。

 そんな事を認めるわけにはいかなかった。
 だから、葬式には行かなかった。彼女との最後のお別れだとか、よく出来た娘でしたとか、そんなテンプレな決まり文句で、彼女の人生を締めくくって欲しくはなかった。

 引きこもって、1週間後。

 普通に母親に家から叩き出された。

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