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Q思考 ウォーレン・バーガー

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2020年6月の記事一覧

疑問を「疑問視」する

意見の割れた問題について「隔たりを乗り越える」のに役立つような思いやりのある疑問は、「部屋の風通しを良くする」のに役立つ。つまり親しい友人、近所、同僚、兄弟、義理の姉妹、長男など、近しい関係の人たちとの間柄をよくすることができる。尋ねることは、人間関係のさまざまな課題に対する理解を深め、関係修復の可能性を試すために使えるのだ。 仮定の疑問「お義父さんはどうしてこうも付き合いづらいのだろう?」と例にとると、疑問を疑問視する(「それは本当か?」「彼は本当にだれにとっても付き合い

「考えの違う人」の視点で考える

こうした質問は異文化への配慮があり、相手を十分に理解し、敬意があり、人を引きつけるものでなければならない。相手のそばに身を置き、状況を理解しながら質問を重ねる「文脈的探究」が必要になる場合もある。同じようにジャンル越境のエキスパートが用いたアプローチを見ると、考え方の異なる人たちの世界に飛び込んで、「一緒に床に座り」、その視点からさまざまな問題を見つけることに優る方法はなさそうだ。 そこまではできなくても、「自分の殻から抜け出せるような習慣をつくること。たとえば、自分が同意

質問で「共通項」を見つける

質問はペンキの缶の蓋をこじあけるテコのようなものだ。「しかしテコがもっと長いと、缶の中のペンキをかきまわすこともできる。つまり質問が大胆なほど、物事を本当に引き起こすきっかけになる」いい質問を使えば、人の心の中にあるアイデアや答えを刺激できる。 さらに異なる文化や考えを持つ人たちを分け隔てている「壁」を質問で壊すことも狙っていた。このことは、現在のように価値観の分裂した時代にはじつに重要だろう。人々が大きく異なる観点から問題を見ているときは、一方の側が他方の側に自分の答えを

「自分で考える」ように仕向ける

手がけたプロジェクトの中でも興味深いものの一つは、ガンジス川の浄化プロジェクト。さまざまな問いを駆使してこの問題についての理解を深めたうえで、地元住民に次のような質問をぶつけた。 「ガンジス川の状況をどう感じていますか?」 「ガンジス川の状況を子どもたちにどう説明しますか?」 「汚染」という言葉を使わないなど(ガンジス川を神聖なものと信じている人たちに不快感を与えるかもしれないからだ)言葉遣いには気をつけ、「川を大切にする」といったテーマで質問や討論が進むように工夫した

「あなたは、人生をどのように変えたいと思いますか?」

「失敗するリスクを冒してもする価値のあることは何か?」という質問には、人の想像力に火をつけ、それぞれの心に語りかけ、多くの人を一つにまとめる力がある。 この『戦略的質問』は、広い心と慈しむ気持ちを持った質問が特徴。オープンで好奇心に満ち、ときに挑発的でありながら、決して「正しい」とか「正しくない」といった決めつけをしない、いわば正しい質問をすれば、文化的にも、政治的にも、気質的にも自分とは大きく異なる人たちと意義深い対話ができる。このような質問は人と人のあいだにある壁を超え

「失敗するにせよ成功するにせよ、本当にする価値のあることは何だろう?」

新たな取り組みを始めるときには、まずは次の問いを通じて失敗の可能性に向き合うべきだと考えている。 「もし失敗したら、どう克服しよう?」 私たちは失敗をただ漠然と、誇張されたかたちで考えがち。それは、失敗を具体的にイメージしたくないという気持ちがあるから。リスクのある何事かをしようとする人に対して「もしうまくいかなければ何が起こるのか?そして、その失敗で生じる困難を修復するには何が必要か?」を思い浮かべてから始めることを提案する。 すると、どんな失敗でも、それまでの努力が

「失敗しないとわかっていたらどうする?」

人が失敗する主な理由は、失敗を恐れることです。自動車運転にせよ大学受験にせよ、根本的な変革を起こすときに大事にしている基本的な考え方は、「早く失敗して、失敗したらそれに感謝することです」 「あなたは、失敗しないとわかっていたらどうしますか?」 本気でこの問いを考えたら、きっと居心地が悪くなるはずです。なぜなら失敗の恐怖が偉業に挑戦しようという気を抑えていることに気づきます。そうして人生は退屈なものとなり、驚くほど素晴らしいことは起きなくなります。けれども恐怖を乗り越えられ

「失敗しないとわかっていたらどうする?」

『力強い質問』には、伝染しやすいという特徴がある。「あなたは、絶対に失敗しないとわかっていたら、何に挑戦するだろう?」 小さな変化を起こすとはちょっとした行動を起こすことだが、この問いはそこからさらに大きなことを考えるきっかけになる。 「もし〜だったら?」という問いによって、野心的な思考の妨げになっている制約を一時的に取り除くという話を紹介した「もし費用の問題がなかったら、どういうやり方をするだろう」個人においても、新しいアイデアを追求する、あるいは人生の変革に乗り出そう

「これをやってみたらどうなる?」

新しいキャリアを見つける最も素晴らしい方法は、「これをやってみたらどうなる?」と考えて次々と実行していくことだ。 これはいくぶん直感とは違うように響くかもしれない。というのも、新しいキャリアについてほとんどの人は、たっぷりと時間をかけ、十分に調査し、綿密に計画を練ってから行動すべきと考えるものだからだ。職場や仕事を変えようとするときには、自己啓発書を熟読し、周囲の人に相談してアドバイスを求め、「本当の自分はこれだ」という天啓が降りるのを待ち、ようやくそこから新しい方向に自分

「ふりをする」

日々行っていることをすべて書き出して、どんな小さなことについても「なぜ自分はこの決断を下したのだろう?」と考えるのだ。たとえば、「なぜ、僕はこの歯磨き粉を使っているのだろう?」と問う。その理由は、僕が12歳のときに参加したキャンプで、何人かの友だちが『すごいいい歯磨き粉だ』と言っていたからだ。これこそが、もう30年もこれを使っている理由だった。 日々の行動や選択にも同じことが当てはまる。この実験をすると、「私たちがいかに多くのことを無意識にしているかがよくわかる」私たちは、

「自分がやってみたらどうなるだろう?」

人生全体を実験に次ぐ実験ととらえて生きる 1日に数百回感謝の言葉を口にする。電灯にスイッチを入れる際に、ついた照明に『ありがとう』。エレベーターのボタンを押して、エレベーターが到着したら『ありがとう』地下に落ちて鎖骨を折らずに済んだことに『ありがとう』など言い続けているうちに気がついた。毎日、無数のことがうまくいっているのに、私たちはたった三つか四つの『うまくいかないこと』にとらわれている。 毎日の些細な実験の積み重ねによって、私たちに、変化に向けた最初の小さな一歩を踏み

ほんの少し変えてみたらどうなる?

「実験」などと言うと白衣や顕微鏡のイメージが思い浮かぶかもしれない。あるいはカエルの解剖をしたときの気持ち悪さを思い出す人もいるだろうか。だが実験とは、疑問に答えるためにいろいろと試してみること。何か新しいことやこれまでと違ったことについて考え、それを試しにやってみる。そして結果を評価する。これが実験。 「人生のあらゆる側面がある種の実験。そう認識すれば、人生をもっとよく理解できるかもしれない」 何でもやみくもに試すだけでは偶然の結果しか生まれない。だが、新しい方法や実験

「自分がついやってしまうことって何だろう?」

ときに、私たちは自分が本当にやりたいことや得意なことに気づけないことがある。これもまた、現実から一歩下がって、自分の行動を客観的に、あたかも他人が全索するように振り返ることが大切である理由だ。 「自分がついやってしまうことって何だろう?」 時間を忘れてしてしまうことも、自分がなすべきことを教えてくれているのかもしれません。というのも、何を考えずにしていることは、自分が自然に楽しめること、得意なことであることが多いからです。自分が気になること、大好きなこと、上手にできること

「子供のころに大好きだったものは何だろう?」

「これまで自分に働いてきたものは何だろう?どうすればそれをもっといまの生活に取り入れられるだろう?」鑑賞的探究は、いまの強みに立脚するのが普通だが、ときには過去を振り返ることによって、現在と将来の生活をどう改善できそうかを考えてみてもいいかもしれない。 「子供のころに大好きだったものは何だろう?」 6歳とか8歳のときに夢中だったものは、おそらくいまでも好きなものです。子どものころを振り返ってどんな生活が好きだったか、何に興味を持っていたかのリストをつくり、「それがいまも心