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【エッセイ】どうしても気になるコト

フランスでペット販売が禁止になった。

素晴らしいと思う。日本もそうなればいいのに。

私も実家に愛猫が二匹いる。今年十三才になるトラ猫のナッツ君は、とにかくよく喋る。

かたや、お姉さんニャンコのココはまったく鳴かない。扉を開けてほしければ爪で掻く。何かしてほしいことがあれば世にも美しいブルーの瞳で訴える。だからたまに鳴くと、何事かと皆で駆けつける。

同じ猫でも随分違うと思っていたら、ある時気になる記事を見つけた。それは犬や猫の販売を、生後四十五日から五六日以降に法改正すると言うものだった。早すぎる母との別れは、のちの問題行動につながるらしい。

心当たりがなくもない。ナッツは里親募集を見て生後一ヶ月で引き取ったが、ココはブリーダーの意向で生後四ヶ月を過ぎるまで引き渡されなかった。

どちらも目に入れ、ねじくり回されても痛くはないし、ナッツが問題とも思わない。むしろ愛しい。でも、確かにココは落ち着いている。

ある時、しきりに鳴らされるクラクションに外に出てみたら、ココが道の真ん中に鎮座ましましていた。私は慌てて抱きかかえ、ドライバーに陳謝し道を開けた。ココの顔を見ると、どうして私がどくの、とでも言いたげな顔をしていた。

そんな彼女は我が家に似合わぬ素性の持ち主で、来た時もご丁寧に血統書がついてきた。正直こんなものいらん!と思ったけれど、断るわけにもいかないので頂戴した。

血統書にはココの両親、祖父母、さらに曽祖父母の出生まで記されていた。それによると、彼女の曽祖母はアメリカにいたらしい。問題はその名前だ。

O B A S A N

何度も見返したが、アルファベットではっきりそう書かれていた。

飼い主はどうしてこの名前にしたのだろう。意味をちゃんと理解していたのだろうか。

あれから十四年経った今でも、私は気になっている。(ちなみに画像はまだ若かった頃のココとナッツです)

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